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「新卒でVCに入る」という選択肢がもっとあってもいいし、そういう文化をつくりたい

突然ですが、新卒採用でベンチャーキャピタル(VC)に入るひとって、どれくらいいると思いますか?

おそらく「それほど多くない」と感じるのではないでしょうか。金融やコンサルティングの仕事を経験した人が中途で入る業界、というのが一般的な感覚かもしれません。

僕らはそのイメージを変えていきたいと思っています。

「新卒でVC」という道がある

実はVCでは大学生のインターンがとても活躍しています。Skylandでもこれまでたくさんのインターンに参加してもらってきました。ありがたいことに、彼らはとても優秀です。Skylandに限らずですが、VCに応募してくれるインターンのレベルは総じてかなり高いと思っています。

じゃあそんな彼らが卒業後、どういった進路を選ぶかというと、ほとんどの人は大企業にいきます。インターンは受け入れられるけど、VC側に新卒で採用する体力がなかったり、そもそも新卒採用を考えていないことが多かったからです。

もちろんその後、再びVCやスタートアップ企業に戻ってきてくれる人もいるんですが、もしも彼らがはじめからVCなどで働きたかったのだとしたら、ある意味で寄り道をしているようにも思います。

だから僕としては、新卒VCも、新卒スタートアップも、あるいはスタートアップを自分で始めるという道も、すべて寄り道をせずに選択できるようにしたいんです。

VCとして生きていきたかったら、Skylandでもいいですし、他社でもいいですし、人によってはいきなり学生時代からVCとして独立すればいい。少なくともそういう道があると示すべきなんじゃないか、と考えはじめました。

これまでもインターンをしてくれている学生に「卒業後もVCとかスタートアップに触れて過ごすといいよ」みたいなことは伝えていましたが、必ずしも自ら実行できていなかった側面はあります。

僕も2022年にファンドでまとまったリターンが出るまでは、会社として新卒社員を雇うための体力がなかったからです。

意外と大変なVCのお金の話

ここでVCの「お金まわりの話」についてもう少し掘り下げてみましょう。

VCはファンドを立ち上げ、いろんな方に出資いただき、それをスタートアップに投資します。投資がうまくいくとリターンが得られますが、そこに至るまでには時間がかかります。

その間、VCは自社組織を運営するために、ファンドから一定の管理費というものをいただきます。その金額は一般的に年間2%程度とされています。

たとえば100億円のファンドをやっていると、その2%ですから2億円。そのお金でオフィスをかまえ、メンバーを雇うことになります。年に5人くらいは雇えるかもしれません。

では、たとえば5億〜10億円のファンドだとどうでしょう。僕の最初のファンドは5億円でした。5億円のファンドの場合、その2%は1000万円です。それで1年間、VCを運営しなければいけません。自分1人が食えるか食えないか、という状態ですよね。オフィスを借りるのも大変でした。

10億円のファンドでも年に2000万円です。オフィスを借りるにしても、月50万円より安い場所じゃないと厳しいでしょう。マンションの1室のようなスペースになってしまうので、まだまだメンバーを雇うというよりは、本当にデスクを置くだけ、みたいなイメージです。

実際、僕もコワーキングスペースをお借りしていたところから、はじめて自分たちでオフィスを借りるときはどかっとお金が出ていくので非常に焦った記憶があります。

基本的にファンドの運営者は、まわりが思うほどお金がありません。50億円くらいのファンドを持つまでは、正直、人を雇うこと自体がおっかなびっくりです。

選んでもらうテーブルに乗ってもいなかった

こうした事情から、Skylandでもこれまでたくさんの優秀なインターンの方に手伝ってもらっていたにもかかわらず、新卒採用に踏み切れていなかったのです。これは大きな課題でいつかクリアしなければと思っていました。

そして体力とは別で僕らの「意識」も足りなかったかもしれません。

最近は大手企業からスタートアップに転職する人の話をよく聞くようになりました。投資先の会社に優秀な人が入ってくれるのはとてもうれしく思います。

と同時に、そもそも新卒のときに採用できたんじゃないか、いや絶対に採れただろうな、とも思っています。僕らは単純にそこの努力を怠っていたんじゃないか。

なぜなら彼らの中には、学生のときにすでにスタートアップやVCに興味を持ってくれていた人も多いからです。Skylandにインターンに来たり、うちだけではなく業界全般にアクセスしてきてくれていました。

ただ、これまでVCやスタートアップがそれほど新卒の募集に積極的になっていなかったので、優秀な学生に選ばれるための戦いのテーブルに乗ることができていなかったんです。

まずはVCの「合同説明会」を開催します

そこではじめの一歩として、10月1日に「ベンチャーキャピタル合同説明会」というイベントを開催します。Skyland Venturesをはじめ、ジャフコ、Beyond Next Ventures、East Ventures、ANRIといった国内VC5社合同での説明会となります。

これはベンチャーキャピタル業界を挙げて優秀な学生を採用していくために、「ちゃんと説明の場を設けようよ」と、ANRI代表の佐俣アンリさんの発案ではじまったものです。

当日は僕も終日ブースにいたり、ウロウロしていたりしますので、会場でいろんな方とお話したいと思っています。

大学生であればだれでも参加可能ですし、第二新卒の方もOKです。

VCは投資事業です。専門知識が求められるイメージもあるので、経済学部や商学部で金融・経済・経営などの勉強をしていないとむずかしいのでは、と思われますが、必ずしもそんなことはありません。

文学部の人でもいいですし、法学部の人でもいいです。むしろ会社法とかを学んでいたら最高にウェルカムです。理系出身で活躍している人もいます。そういう裾野の広さがまだ知られていないとも思っています。

優秀な学生がVCで得られるもの

では逆に僕らVC側から若い人たちに提供できるものとしては何があるのでしょうか。

その問いに対し、僕が一番大きいと思っているのは、目の前にいる人がダイナミックに成長していく瞬間に立ち会えるということです。僕らが出会った時には2〜3人のグループだった学生たちが、投資を受けて会社をつくり、50人、100人規模の組織になり、場合によってはもっと大きな企業になっていきます。

目の前の人が成功する体験を共にわかちあえる、ひとつの感動的なタイミングに立ち会えることもあります。

少し前にSkylandにインターンとして入ったメンバーがいました。彼は入社して2週間後くらいに、アイデミーという投資先が上場したプチセレモニーみたいなものに参加したんですけれど、そのときに「VCってすごく良い仕事をしているんだと実感しました」と言っていました。

もうひとつ大事なこととして、VCという仕事には当然アップサイドがあります。これはもっと伝えていかなければと思っています。VCの成功報酬として運営会社とそのメンバーが得る金額にはけっこう夢があると思います。

あとは新卒うんぬんとは関係ないのですが、VCは女性にとっても働きやすい職場であると言われます。リモートワークとの併用がしやすいので、たとえば出産後にも復帰しやすく、長く働きやすい業界です。実際に僕のまわりには出産してからもVCとして活躍されている方がたくさんいらっしゃいます。

Skylandのメンバーにも「VCはたくさんの人にとってすごく働きやすい仕事場なんだよ」と話しています。

ハードルが高い、コミュニティが閉じているというイメージを持たれがちですが、実際はだれに対しても開かれていますし、文系理系も問いません。実はけっこうオープンな業界なんです。


最後に。

新卒採用っていわゆるポテンシャル採用とされています。学生の場合、まだ社会人経験がないので、中途採用の方のようにアピールできる実績はないと思っている方も多いでしょうが、そういう方も歓迎ですし、すでに学生時代から起業していたり・スタートアップに関与している方もいます。多様な方とやっていきたいと思っております。

そして僕は大前提として、新卒世代の皆さんのことを「普通に戦力」だと思っています。これから大きく成長するポテンシャルを持った、大事な戦力です。

ぜひ合同説明会でお会いしましょう。

(参加者の募集は9月30日までです)



「VC x 新卒」という話では、グロービス・キャピタル・パートナーズの高宮慎一さんの記事がとても参考になるのでよかったら読んでみてください。


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