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おばちゃんIC(インテリアコーディネーター)とゲンカツギ

家を建てるということは一生に一度あるかないか。近年では煩わしさから賃貸と決めている方もいらっしゃるし、転勤族とかご実家の関係とかで建てられない人もいらっしゃる。それでも夢のマイホーム、自分のお城は一度は考えたことがあるだろう。宝くじが当たったら・・・と希望と落胆を繰り返している人もいるな〜。

清水の舞台から飛び降りる気持ちで契約書に印を押す日から始まって、家が出来上がるまでには様々な「ゲンカツギ」が登場する。ゲンカツギは験担ぎと書き、意味は「ある物事に対して、以前に良い結果が出た行為を繰り返し行うことで吉兆を推し量ること。また、良い前兆であるとか悪い前兆であるとかを気にする、すなわち、縁起を気にすることや、縁起を気にして物事の成功を願った行動を行うこと」
(ウィキペディアから)

契約や着工、棟上げなどはおなじみの大安や一粒万倍日など運の良い日を選んで行うし、家相や方位で間取りを決めたりする。地鎮祭で雨が降れば「雨降って地固まる」とこじつけたり、風水の「黄色は金運!」と色を選んだりもある。とにもかくにも「運の良い」ことを取り入れたいのが家を建てる時である。

以前に吉方位を元に家を建てたい人が神社で占ってもらい、家の向きや位置、間取りなどこと細やかに指示されてきた人がいたが、窮屈すぎる内容でみてて苦しかった。住みやすいとは言い難い間取りで、奥様はとても不満そうだった。はたして今、幸せにお暮らしかどうかはわからない。
このように極端に気にする人もいれば全く気にしない人もいる。結婚式も安いからと仏滅にされる人もいる時代である。地鎮祭は行わず神社でお札を頂いてくるだけとなり、棟上げの餅投げは滅多に見ることがない。気にしないというより関心が薄く、家を建てるということは地域ではなく個人の感覚なのだろうと思っている。

しかし、いくら「運の良い」ことを盛りだくさんにしたいと思っても、そうとも言っていられないのが最近の住宅事情。田舎であれば土地も広く間取りに余裕があるが、人口の多い場所では土地の値段も高く予算的に小さくなりがちだ。また、自家用車が2台以上の家庭も多く、家屋の大きさに影響する。必要な部屋と設備をどう確保するかをパズルのように組み合わせていくことになるので家相なんて気にしていられないのが実情だろう。

ICとして参加するのは間取りが決まり契約が終了してからが多いのだが、設計段階で考えてくれてればと思うことがいろいろある。そのうちの一つがエアコンだ。
暑さが尋常じゃない現代、いくら家の性能が良くなったとはいえエアコンは各室に必要だ。この設置位置と室外機の置く場所が最後に頭を抱える問題となってくるのだ。エアコンやコンセントなどの位置を決める時に室内のレイアウトの確認をすると「あれ?」となることがある。
それは「北枕」になってしまうこと。間取り的に北枕になる場合もあるし、エアコンの風当たりを考えたら北枕になってしまうこともある。北枕は縁起が悪いと思っている人が多く、他はあまり気にしないのに北枕は気になってしまうみたいだ。自分だけならともかく家族のこととなれば決めかねるのも無理はないが。

縁起が悪いと言われる理由は仏教において亡くなった方を北枕で寝かせるから。お釈迦様が頭を北にして亡くなられたので、お釈迦様と同じ姿勢で寝かせると極楽浄土に迎えられると仏教では考えられているそう。亡くなった方の安息を願って北枕で安置されているのだが、死者と同じ方角で眠るということが悪いイメージで残ってしまったと考えられている。そして北枕を忌み嫌うのは日本人が多く、お釈迦様と同じ姿勢で寝るのは縁起が良いとしている国もある。

なので、おばちゃんICは力説する。
「北枕が縁起が悪いというのは間違いで、本当はメチャクチャ縁起が良い。風水的にも北枕は金運アップと言われている。家族や人とのつながりを強化てくれる。安眠できる・・・・・・・・(諸説いろいろ)むしろ北枕の方がいいですよ!!」

長年染み付いた思い込みはなかなか取れないので、話した後も浮かぬ顔をされていればその場でパソコンで検索して見せてさしあげる。大概感動して納得してくれる。(私の話は信じてくれてなかったんだ・・・とちょっとがっかりもするが)
これで縁起の良いとされる事が1個加わり、「困った」が「良かった」に変わる。設計や営業への不満とならずに済んだのである。
いくら気にしていない人とはいえ、縁起が悪いものは嫌らしい。当たり前だが悪いよりは良い方がいい。ゲンカツギは何気に大切なのだ。
ちなみに風水的には北枕はとても良いが、エアコンの風が直接当たるのはエネルギーを乱すのでよくないそうだ。

ついで話で室外機の話もすることがある。室内のエアコンの位置によって室外機の位置が決まるが、その際に鬼門線と言われる東北と西南を結ぶ線上に設置すると壊れやすいらしい。これは室内でも鬼門線上に精密機械を置くと壊れやすいと言われている。(私的には実感したことはないのだけど)どうしても避けられない場合は仕方ないけど、できれば避けといたほうがいいんじゃないかな〜と重たくならないようにお話しする。そもそも気にしてない人だしこんな話必要ないよな・・・と思うのだが、壊れる=お金がかかると連想するらしく、意外と食いついてくれる時がある。無理する必要はないし、室内のレイアウトや外観の見た目などを考慮して、受け入れられる範囲で行えばいいだろう。

私自身は神社仏閣が大好きで、弓道をしていたこともあり、日本の伝え守られてきた風習や形式が好きだ。おみくじや占いも大好き。運の良い日や風水的なものも気にする方である。なので周りの人たちよりゲンカツギを気にすることが多いが、普段は一人でひっそりと楽しんでいる。
知っていれば「困った」を「良かった」に変えることもできるゲンカツギは、おばちゃんICならではの知恵袋的秘策なのだ。

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