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おばちゃんIC(インテリアコーディネーター)は目の観察で心中を把握する

私はインテリアコーディネーター業でもその他の業務でもヒアリングを大事にしている。初対面で正面切って問われると誰でも話しにくく言葉も出てこないもので、何気ない世間話を交えながらできるだけリラックスムードでお話しいただけるよう配慮する。そして、最初の30分ぐらいでお客様の性格や考え方を把握して本題に移るのだが、以前は表情の観察で何がお好みか、どこが分からないのか、どこで迷っているのか、何を大切に思っているのか、こだわりはあるか などいろいろな情報を得ていた。しかしコロナ禍ではマスクでしっかり顔を隠してしまうようになり、表情が読めず、声のトーンもはっきりせずで苦戦した。

情報源は「目」のみとなったが「目は口ほどにものをいう」という諺通り雄弁に語ってくれる。本当に目は心の動きそのままに動くのだ。
好きか、嫌いか
驚き、感動
ガッカリ、悲しみ
迷い、決断
楽しいか、飽きたか
機嫌が良いか、悪いか・・・

注意力が落ちてきたり疲れて思考が止まると目も止まる。遠くを見ているように視線が彷徨っていると思考がどこか別のところに行っていらっしゃる(笑)。楽しかったり興味がある時は目は大きくなりキラキラしている。妄想ができなくて分からなくなってしまうと下向きになり止まる。恥ずかしかったり隠したいことがあったらパチパチまばたきの回数が多くなる。迷ったり悩んだりしている時はクルクルとよく動く。嫌な時は眉間に皺も寄ってくる。
目の下のクマや力強さで健康状態も把握できる。体調によって思考力や集中力は変わってくるからそれを踏まえてお話をする。

観察しながら心の中でフィルターをかけて絞り込んでいく。分からないようだったら説明を重ね、迷っているようだっら情報を広げていく。そうやってこのお客様にとって必要な内容は何か、どの程度の内容が必要かを心の中でひとまずまとめるのだ。

気をつけなければならないのは、じーっと見ないこと。誰だって自分の顔を注視されたら気分は良くない。
私が目を見て情報を得ていると話したら得意先の営業マンが「僕もやってみます!」と張り切っていたが、お話しする間ずっとお客様の顔をじーっと見てしまい、嫌われたと涙ながらに報告してくれた。そりゃ嫌でしょ。私も拒否する。

人の話を聞くときには(人に話をするときには)目を見て と言われるが、程度があるだろう。その加減が難しいとよく言われる。

おばちゃん的テクニックはこうだ。
まず、真正面には座らない。半身ほどずらして向かい合う。わざとらしくないよう資料を机に広げながらさりげなく斜め方向に椅子をちょっとずらす。
メモをたくさんとる。書くという動作で頭と視線の上下運動が多く発生するので頻繁に顔を見ているがわざわざ見ているように感じない。
寸法の確認とか、ゼスチャーで体を動かす(私が)。お客様はその動きに気をとられ、視線が逸れるので顔を見てても気づかれない。
じーっと見るのではなく、3秒に1回のペースでチラチラと見る。チラチラ見るだけでは不信感が発生しやすいので、手元→お客様の顔→資料→お客様のお顔→メモ→お客様の顔 というふうに見ている。
見る際は黒目ではなく目尻あたりに焦点を合わし、ぼやっと周囲を見ている。目が合わなければ不快感は少ない。ただし、共感したり、大事なことは黒目をみてお話しする。口元あたりを見なさいと書かれている指南書をみたことがあるが、女性は口元を見られるのが好きではない。マスクをしていても「マスクに何かついてたかも!と焦る」と言っていた人がいた。

観察結果による提案を行なって良い反応が返ってくると、とーっても嬉しい。時に「なんで私の好きなものがわかったんですか!!」と驚かれる時がある。目が雄弁に語ってくれた結果なんですよと心の中で呟きながら、心の中でガッツポーズをする。
きっと私の目も「嬉しい」になってるはずだ。

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