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スポーツ指導でのアイメッセージとユーメッセージの使い分け

みなさんは、アイメッセージというものをご存じですか?
アイメッセージは、アメリカの心理学者 トーマス・ゴードン氏が提唱したコミュニケーション技法です。
ゴードン氏は、人を育てるにあたって強制を加えたり、罰を与えるのではなく、建設的に話し合う体験を重ねることが重要だと考えていて、それを実践する方法の1つとして考案したのがアイメッセージだそうです。

この記事では、スポーツ指導においてアイメッセージを活用して頂ければと思って書いています。
以下では、スポーツ指導を例に挙げてアイメッセージの説明をしています。


アイメッセージとユーメッセージ

アイメッセージとは何かを理解して頂くために、比較対象としてユーメッセージと一緒に説明をしたいと思います。

アイメッセージとは

アイメッセージは、「私」を主語にした意思表示です。

【具体例】

  • (私は)もう少し肩の力を抜いた方が良いと思うよ。

  • (私は)あの場面では強い気持ちでプレーして欲しかった

  • (私は)もう少し負荷の高い練習が必要だと思う

アイメッセージのメリットは、主語が私になることで相手への配慮が感じられる言葉遣いになるという点です。
自分の感想や感情を伝えて、その上でどのように行動するかは相手の自主性に任せるコミュニケーションになります。
そのため相手との衝突が生まれにくいと言えます。

アイメッセージのデメリットは、相手の行動を促す力は弱い、相手の自主性が低いと適切なことを伝えても成長を促すことができないという点です。

ユーメッセージとは

ユーメッセージは、「あなた」を主語にした意思表示です。

【具体例】

  • (あなたは)肩の力を抜くべきだ。

  • (あなたは)あの場面で気弱になったから点が取れなかった。

  • (あなたは)もっと練習の負荷を上げるべきだ

ユーメッセージのメリットは、主語があなたになることで相手に直接的で強いメッセージを伝えることができ、相手の行動を促しやすいという点です。
あなたを主語にすることで相手に強く踏み込み、行動することを指示する表現になります。
要求が早く明確に伝わるという効果もあります。

ユーメッセージのデメリットは、相手への要求や指示は表現できるが、その背景にある自分の思いが伝わりにくいという点です。
また、相手に支配的な印象を与えてしまうので敬遠されたり、反発を受けるなど関係が悪化することもあります。

スポーツ指導の現場では使い分けが必要

アイメッセージとユーメッセージの違いを知るとスポーツの現場ではこれらを上手く使い分ける必要があると感じる指導者は多いのではないかと思います。
指導経験が長い指導者は、体験からそれを理解されていると思います。

コミュニケーションのベースとなるのはアイメッセージ

スポーツの指導に限ったことではありませんが、基本的にはアイメッセージをベースにコミュニケーションを取ることが望ましいと言えます。
これは相手が何歳であっても同じです。

人間は誰でも自分の尊厳を大切にして接してもらうと嬉しさはもちろん、安心感を感じるものです。
そして自分のことを大切にしてくれる相手を信頼するようになります。
スポーツの指導では、明確な結果が求められるだけに厳しいことを選手に伝える必要性は高くなるため、人間関係のベースに信頼関係が必要になるのです。

改善点の自覚を促すためのユーメッセージ

ユーメッセージは、使い方によっては相手に不快感を与えたり、傷つけてしまうことにもなるコミュニケーション方法ですが、スポーツの指導においてそんなことのためにユーメッセージを使うことは望ましくありません。
では何のためにユーメッセージを使うのかというと、それは選手の自己洞察、反省、行動、変化、成長を促すためです。

誰でも都合の悪いことからは目を背けたくなりますが、明確に勝敗が出るスポーツにおいては現実を突きつけられる機会が多くなります。
そして、競技や所属するカテゴリーなどによって違いはありますが、次の勝負の機会はすぐにやってきます。
そのため、現実から目を背けている時間はありません。

そんな状態の中でも選手は結果を求められたり、引退の危機を感じたりしてプレッシャーが掛かってくると現実逃避をしたくなります。
そんな時は、選手に現実と向き合い、改善していくことを求める必要が出てきます。
そこでユーメッセージが効果的に働くことがあるのです。

まとめ

どんな競技でも優れたコーチはアイメッセージとユーメッセージを効果的に使い分けているように感じます。
アイメッセージで丁寧に信頼関係を築き、ここぞという時にはユーメッセージを使って選手の気持ちを引き締めています。

アイメッセージは、友好的な関係性を築くために必要なコミュニケーションですが、それに対してユーメッセージが不適切なコミュニケーションだということではありません。
それぞれの特徴を理解して、必要に応じて使い分けることが理想的です。

何かの競技で指導をする立場にある方は、この2つのメッセージの使い分けを意識してみて下さい。
まだ上手く使い分けができていない人は、意識して行うことで選手との関係性にも変化が見えてくると思います。
アイメッセージとユーメッセージの使い分けは、コミュニケーションの質を向上させてくれるでしょう。

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