見出し画像

『カラオケ行こ!』

最高の綾野剛のPVだった。


私は、和山やまの『女の園の星』が大好きだ。同じ作者というつながりで『カラオケ行こ!』も読もうと思った矢先、映画化されることを知った。私には原作厨の素質があるので、映画がどれだけ良くても原作のことが脳裏を過り100%映画を楽しめないことが容易に想像できた。だから、漫画を読むのは映画の後のお楽しみにすることにした。

ムビチケの特典

映画を見終えて、漫画も読了した今、その選択は間違っていなかったと思っている。

映画はとても面白かった。ずっと温度低めな感じでふざけている。この感じが、和山やまらしさをよく表している。

漫画を読んでから思ったことなのだが、和山やまの漫画にはよく吹き出しの外で、心の中で思ったこと(それがツッコミになる)が文字として書かれている。それを俳優に読ませるのではなく、表情の演技やカメラワークで代用したのがとても良かった。人物の心の中のツッコミをナレーションとかで入れてしまうと、一気に安っぽくなり、テレビドラマっぽくもなるので私は苦手な演出だ。そのバランス感覚が絶妙だと思った。

聡実くん役の子もとても良かった。よく、あんなに絶妙に冷めた演技と思春期っぽく怒る演技と歌が上手い子を見つけたものだなと驚いた。

綾野剛は言わずもがな強面とお茶目の両方いける器用さを見せていた。歌も全部綾野剛が歌っていたのかしら。『ルビーの指環』上手かったなぁ。あとスーツとサングラスが似合いすぎている。もう全てのシーンがサービスのようなものだった。黒シャツはやっぱり良い。

原作ではおとなしかった合唱部の後輩くんが映画ではトリックスターみたいな位置付けだったのは原作を先に読んでたらもやもやしてたかもしれない。でも、2時間で面白くするには必要だったのかな、と私は映画先行だったからこその余裕があるので考えることができる。

ちょっと引っかかったのは、本当に細かいことなのだけれど、コンクールで3位=銅賞だったということ。基本的に、吹奏楽とか合唱のコンクールは全ての出場校が金・銀・銅のどれかがもらえて、金賞受賞校の中から代表が選出されるというシステムだと思うから3位なら金賞であるべきだろうなと思ってしまった。そこだけ。

平日の朝にしてはお客さんがたくさん入っていたし、注目度が高いことを実感した。これをきっかけに和山やまを好きな人が増えてくれるといいな。

この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?