「親の仇」

#月香

「親の仇」という言葉は、私にとって刺さって取れないほんの小さな魚の骨だった。血が繋がっているのは一緒なのに、兄弟でも祖父母でもなく親の仇。それでも子の仇とは言わないのだ。子どもは鳥籠の中、守られる存在であるはずなのに。メロン味の飴にも似た座りの悪さを覚えるのは私の景色が薄いからなのか、色彩を欠いてしまったのか、正義のヒーローを謳いたいのか、きっと答えは私の外側からしか見つからない。いつしか嫌悪にすら変わった私のそれを、「親の仇みたいに憎むんだね」、そう言ってあなたは笑った。

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