せかいへいわちゃん(紀尾井文学会)

私達は全員他人で、別個体で、一人一人の自我でさえその日その時に合わせて刻々と変わりゆく…

せかいへいわちゃん(紀尾井文学会)

私達は全員他人で、別個体で、一人一人の自我でさえその日その時に合わせて刻々と変わりゆくからこの自己紹介欄に述べられるようなことは何にもないのかもしれないけれど、強いていうなら私達は偶々皆、今このとき紀尾井文学会に所属しているのです。 各ノートのハッシュタグはペンネーム。

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  • 日記・エッセイ・評論

    紀尾井文学会会員が自由に日記やエッセイ、評論、感想文などを投稿します。

  • 習作の投げ場所(小説)

    書いてみたはいいもののデータフォルダに眠ってる。そんな作品たちを習作という形で投げてみようという場所です。特に会員同士、ここへ投稿しておけば気軽に読み合い、コメントしあえます。 習作はきっと、あなたにとってジャンク品でも誰かのヒントになる。

  • 習作の投げ場所(詩・俳句等)

    小説以外の作品の習作置き場です。こちらも自由に使ってください。

最近の記事

書きかけ

脳死で文章綴るのが楽しくなっちゃってまただめになっちゃった・・・ 頭使わないとなあ  若いうちの苦労は買ってでもしろ、なんて言うけれどさ、その気がない人にものを買わせるのって押し売りだし、実はキリマンジャロ無酸素登頂並みにやっべー苦労だってことを隠して買わせたら、やっぱりそれって詐欺っていうはずだし。結局これもさ、無垢な私ら若者に在庫の積み上がった苦労押し付けようっていう資本主義者の陰謀なわけ。社会主義者ならきっとこう言うよ。 「若いうちは須らく苦労すべきである」  ああ

    • 仮置き

      「遺書」 書斎の仙人掌に水をあげてやってください そろそろ花が咲く時期です  * * *    八紙垂華生梨の死がこの世に滴り落ちなかったとしたら、幸福はまた異なった形で人々の間に偏在し続けたことだろう。  けれど八紙垂華生梨は死んだ。  死因は、溺死。  仄暗き水の底へ沈みゆく彼女。全身に縛り付けた荒縄、抱え込んだ罪の重さ。  死を渇望する意志に反して、彼女の若い肉体は生けるための呼吸を求めて喘ぐ。肺へと逆流していく海水、血の味。四肢が無為に痙攣し、残った酸素が吐き出

      • 明星の人魚姫

         ロビン・E・アンダーソンは、ただシガレットを一服いれてやりたいだけだった。  薄暗い、静謐な空間。周囲には誰もいない。そんな場所で一服したい。  そう、例えば海の底なんかがいいな。水面からは遠く、陽の光も届かない。手を伸ばしても指先が見えないくらいの場所だ。  全身がスケスケの深海魚とか、雷鳴が形になったみたいな奇妙な形の海月とか、そいつらの他には何も居ない。例えば、ここは禁煙区域だとか、副流煙は健康を害するだとか、訳のわからん無粋なことを言うやつはみんな怖がってこんなに深

        • 流星夜のヴィーナス 二日目(仮)

           流星夜の二日目。相変わらず地に堕つ星々は盛況だ。  僕らはと言えば、この狭い星を廻るにもすっかり飽き飽きしてしまっていた。  だって宿泊施設とスペースポートくらいしかないんだもの。その他は全部湿地だ。まあ、肉食のサンジュウアゴヌマワニとか、猛毒のクスミススケハチモドキとかと戯れたいなら、そっちに遊びに行くのもいいかもしれないけど。  ぼくは嫌だね。  なけなしの無人土産屋で買った七色にひかるキノコのストラップ、それをじゃらじゃらとつけたカバンをホテルの床に放り投げる。もちろ

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          流星夜のヴィーナス

          まだ冒頭なので完成するまで自己満仮置き  天の川銀河の天気は晴れのち流星群、見上げれば夜空を埋め尽くす百万の光芒。アンドロメダへの直行便が運行停止になるのもやむなしって感じだった。 「次の便、一週間は出ないってさ」  それでも、ぼくは愚痴る。旅のトラブルでなにが一番面倒かって、予定通りの移動ができないことほど嫌なものは無いと思うんだ。  スペースポートセンターの屋上。この星は少し湿度が高いな。銀の手すりにもたれかかる彼女の首筋が汗に濡れていた。 「お土産でも買ってこうか」

          我が逃走

          我が逃走 #砂糖酒  ねこちゃん大好きー!!って話です。ねこちゃん大好きだから一時間半で書いたよ! by.水無月透子(砂糖酒)。  今日に至ってみて私は、運命の神が私を旧アジア圏辺境の小さな島国日本国に誕生させて呉れたということを、深く感謝せずには居られない。それはこの小さな島が、もはやその総体としての誇りを失い何一つ己で考えられなくなってしまう程に夢も希望も危険もない国だったからである。我々青年の胸には、凡ゆる力と方法を尽くして一刻も早くこの終わりゆく国家から脱出せねば

          雪と膨張

          #夜衣満月 今日が雪だってことで大昔に書いた物を思い出したので投稿します。自分ではあんま好きじゃないです。もっと明るく爽やかな作風が理想なので習作フォルダで供養されるのが御誂え向きの作品なのです。合掌〜    いつぶりかに立つ玄関先は変わっておらず、唯一荒木から鈴木に一文字だけ据え換わった表札を横目に男と会った。男は背の高さと比例するように腰の低い態度の、しかしそれが決して嫌味にならない雰囲気をたたえた柳のような青年だった。自分より五つほど若くみえる。  助けていただけま

          アドルフ・アイヒマンの部屋

           薄暗い部室は埃っぽくて、朽ちかけのパイプ椅子に腰かけた三人の高校生が携帯ゲーム機のボタンをかちゃかちゃと言わせている雑音で満たされている。これは学生ハッカー集団ではけしてない。何をしているのかといったら、ぼくらは室長の命令でトランセルを育てているところなんだ。  あ、トランセルってご存知だろうか? ポケットモンスターっていうゲームに出てくるサナギの形をした生命体。ちょっとアンニュイな感じのなんともいえない瞳をしている。で、キャタピーがレベル7になるとトランセルに進化して、さ

          アドルフ・アイヒマンの部屋

          君に、月が無くなる前に。 (仮題)

          君に、月が無くなる前に。(仮題) #砂糖透子   片手でマッチの火をつける方法を知ってるか? 勿論、擦るだけじゃなく取り出す所からさ。  まず、小指、薬指、人差し指でマッチ箱を挟み込むようにホールド。箱は表向きだ。内箱は、火薬付きのマッチ棒の先端がこちらを向くようにセットしておく。リンの使われた茶色い側面は小指の方にある。  次に、空いている親指で器用に中の箱を押し出す。どれだけ押し出すかはそれぞれの手の大きさに拠る。開いた状態で、柔軟に指のスナップを利かせて、小箱を360

          君に、月が無くなる前に。 (仮題)

          君と私の無回答エンド

          君と私の無回答エンド #砂糖酒   Q. あなたが機械でないと証明するために表示された写真の中からあなたが写っているものを全て選んでください ──承認されました。フォームを送信します。リクエストが処理されるまでお待ちください。  これであとほんの10分ほども待てば箱が開くだろう。そうすればもうこっちのものだ。警察が来るまでに完了するか冷や汗をかいたけれどこの調子なら心配ない。だってまだ殺してから1日も経ってないし。何としても警察なんかに捕まりたくないのだ。なんで殺したの?

          流体力学

           大学の頃に付き合っていた相手が「アルファ・ケンタウリ星人」を自称していたという話は、少なくとも飲み会で披露するネタとしてはまず滑らない。そして明らかにくだらない冗談だとしてすぐに笑いと酒に流してくれるので深く追求されることもなくていい。けれど青春の思い出を冗談みたいに扱うこと、そこにちょっぴりの後ろめたさもあった。  そのアルファ・ケンタウリ星人、之淵緒川とは10年前にあの日空港で別れたっきりだ。成人した男が泣いているのを見たのはあれが最初で最後。  3年くらいはだらだらと

          「親の仇」

          #月香 「親の仇」という言葉は、私にとって刺さって取れないほんの小さな魚の骨だった。血が繋がっているのは一緒なのに、兄弟でも祖父母でもなく親の仇。それでも子の仇とは言わないのだ。子どもは鳥籠の中、守られる存在であるはずなのに。メロン味の飴にも似た座りの悪さを覚えるのは私の景色が薄いからなのか、色彩を欠いてしまったのか、正義のヒーローを謳いたいのか、きっと答えは私の外側からしか見つからない。いつしか嫌悪にすら変わった私のそれを、「親の仇みたいに憎むんだね」、そう言ってあなたは

          人魚の日

          人魚の日 #砂糖酒   自分が人魚から生まれた人間だと知った時は相当驚いたものだが、特に生活に変わりはなかった。僕はもう成人して社会人になっており、一人暮らしで、ついでに彼女もいなかったからだ。親元を離れ自分で生計を立てている身としては、自分の親が実はどんなものであったとしたってそんなに関係なかった。これが、家族についてそれなりに打ち明けることが一種の誠実さの表れとして求められることもある恋人関係を持つ男の話だったら違ったかもしれない。あるいはそれに類するような親しい友人が

          題未定の手記

           時間が全てを解決してくれるというけれど、暦をいくら捲れど私の記憶に焼き付いた過去は消えてはくれず、むしろ時の重みを伴って思考をより固定化させていくばかりだった。進化の代償として得たこの脳みそが、私が記憶から解放されることを許してはくれない。  何度でも失敗する。それは私が君も君も私自身も、そしてあなたさえも信用できないからなのだ。私は私自身が、その存在それだけで無条件にこの世への生を肯定されると到底信じられはしない。私は本質的に、自分が何不自由なく食事できることでさえ私への

          ささやかな一言であっても、誕生日に祝辞を受ければ嬉しいじゃないですか。だから私は人の誕生日を祝いたいし、私も祝われたいんですけど、誕生日を公開しておいて誰にも声をかけてもらえないと、傷つくじゃないですか。それをあらかじめ避けるために、私は誕生日を公言しないようにしているんです。

          ささやかな一言であっても、誕生日に祝辞を受ければ嬉しいじゃないですか。だから私は人の誕生日を祝いたいし、私も祝われたいんですけど、誕生日を公開しておいて誰にも声をかけてもらえないと、傷つくじゃないですか。それをあらかじめ避けるために、私は誕生日を公言しないようにしているんです。

          救ってくれよと叫ぶ夜に声が出なくて

           誰に責められたわけでもないのに、気がつけば横道にそれていた。  帰宅して、タブレットを開くと充電が切れていて、七日ぶりにテレビをつける。  汗にまみれたスーツを脱ぎ捨てながらクイズ番組を眺める。ご当地の特産品とか、昔の俳優とか、全くわからないような問題ばかりだ。近頃の番組はどれもこれもつまらない、なんて確かにそう思うこともある。かといって昔の番組になにか特別な思い入れがあるわけでもない。そもそもテレビがつまらないのか、私が感受性を失ったのか。べつにテレビといわずネット番組も

          救ってくれよと叫ぶ夜に声が出なくて