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" タイム・オーバー・デス "について

この記事について何かしらの言及をするのであればかならず最後まで読んでください。

私 「バンギのねむるってTOD(タイム~)でしか使われないと思ってました」
某氏「あ~TODってよく知らないんすよね」

私はこの返しをされてびっくりしました。ただ、よく考えてみるとその通りで、現行である7世代において自発的に起こした時間切れで勝つ場面が無いのです。そもそも今世代と前世代において意味合いが違うようです。

・6世代
ゲーム全体に制限時間が設定されており、持ち時間は設定されていない。この全体の制限時間(30分)が終了したときに、お互いの数的有利・体力量を参照してゲームの勝敗を決定する。
(5世代のレートもこの仕様だったらしいのですけど、私自身がそこまで触れていないため言及しません)

・7世代
お互いの持ち時間が設定されており、ゲーム全体の制限時間は設定されていない。この持ち時間(10分)を使い切ったプレイヤーは無条件で負ける。TODではなく「時間切れ」と称される。

と、このようにレーティングバトルにおけるTODの仕様は世代を経て変わりました。現行世代の7世代の仕様はともかく、6世代に関してはイマイチイメージが付かない方もいると思いますので、一つ極端な例を上げましょう。

C'29:36〜28:22 守る(毒々玉発動)
B 28:25〜27:11 身代わり
A 27:05〜25:51 守る
B 25:50〜24:36 身代わり
A 24:30〜23:16 守る
B 23:15〜22:01 身代わり
A 21:55〜20:41 守る
B 20:40〜19:26 身代わり
A 19:20〜18:06 守る
B 18:05〜16:51 身代わり
A 16:45〜15:31 守る
B 15:30〜14:16 身代わり
A 14:10〜12:56 守る
B 12:55〜11:41 身代わり
A 11:35〜10:21 守る
B 10:20〜9:06 身代わり
A 9:00〜7:46 守る
B 7:45〜6:31 身代わり
A 6:25〜5:11 守る
B 5:10〜3:56 身代わり
A 3:50〜2:36 守る
B 2:35〜1:21 身代わり
A 1:15〜0:01 守る(最終ターン)

初めてこれを見た私「は?」
ちなみにこれはグライオンがこの通りに動くと、自陣の体力が満タンでゲームが終わるというものです。
お互いの体力が満タンの場合は3匹の体力の総量で勝敗判定が行われます。
グライオンの相方と言えば…ラッキーですね。

つまり、グライオン側は体力の総量で勝つことが容易であるため、このパターンに入ってしまったら確実にグライオン側が勝ちます。ちょっと馬鹿な話かもしれませんが、6世代レートはこれが戦術の一つとして扱われていました。むしろこれに該当する物を私自身含めてウキウキでやっていました。

めっちゃ楽

仕様は仕様なので、TODに吠えたところで何も変わりません。ですからレート上位を目指す構築を組む際には必ず数的不利を取りにくい、加えて初手TODを明確な負け筋に設定しないことが戦略の1つとされていました。
ポケモンシングルはゲームが終わるまで負け筋が付きまとうゲームです。急所、氷など経験はあるかと思います。ただ、グライオンで守ると身代わりを連打するとこれらの要素を排除してゲームを終わらせることが、つまりはパターンに入ったら運が介入しない択が発生しない事が分かります。
加えて、パターン化ということはそれに伴う思考量も大幅に減ります。考え無しにボタンを押すだけで勝てるというシステムはそれだけ勝利を確実にします。もちろん羽休めや自己再生、数的有利さえ取れば眠るの連打でこれが叶ってしまうのです。加えてそれらの技を技選択の1番上に設定することでDSを放置するだけでゲームに勝利することができます。

損をする人がいない

と、いうのは言い過ぎかもしれませんが、あながち間違ってもいません。プレイヤーはルールの範囲内の行為しかしていないため誰も悪くないのが事実です。加えて運が介入しないということはプレイヤーの思い通りにゲームが進むことの裏付けでもあります。これほど明確な勝ち筋は使いこなせばレートを安定して伸ばす手段にもなり得ます。対策法もある程度確立されているため6世代レート対戦においては対策しない方が悪いです。

ただし、レギュレーションによっては禁止事項

TOD自体レギュレーションに則っているとは言うものの、やはりそれを否定的に見る人間は少なからずいました。一番の理由は時間切れを狙うという行為がスポーツマンシップに反するという物が一般的でしたが、これはどうでも良くて、個人的にはゲームとして設定されている物が反映されない事が良くないのではと考えています。
ポケモンの技には放てる回数が制限される「PP」が設定されています。それが無くなると「わるあがき」が発生します。この仕様により、本来ゲームを続けた場合グライオンがまもみがをしてるだけではグライオン側が負けるはずです。その「PP」を回復する「ヒメリのみ」や、その消費を早くする「プレッシャー」などの特性があることからこの要素はゲーム性の1つとして設定されてることが明らかです。
ただし、様々な都合によりレーティングバトルには制限時間が設定されています。もちろんその制限時間を設定したのはゲームではありますが、この様な問題も発生してしまっている事も事実であり、このゲーム性を大事にするという考え方を持っている大会、対戦交流会においてはTODを禁止する事もあります。私自身主催する大会等も勝敗が明確でない場合は最後まで対戦、もしくは両者の議論によって合意の上で勝敗を決めます。これはゲーム性の1つである「PP」という仕様を重く見ているからです。

結局のところどうするの

これに関してはそのレギュレーション次第です。ただ、7世代レーティングバトルにおいてこのシステムが事実上廃止されている以上、基本的には現行の大会もそれに従った方が望ましいと考えています。ただし、TODにも場面によってプレイヤーの意図が変わってくる事も事実です。勝ちが確定した場面で相手に降参を促す為に行う事もありますし、逆にまともにやり合ったら勝てない事を察した場合に「バトンタッチ」や「とんぼがえり」等の選択を複数回挟む技を駆使して時間を稼いで時間切れを狙うなどの意図もあります。
また、この仕様があることによって逆に対戦が早く終わるといったメリットも存在します。指定時間内で対戦数を稼ぐほど有利なレギュレーションにおいてはあえて設定することで参加プレイヤーにストレスを与えない事も出来ます。
私自身はTODを設定すること、しないこと双方にメリットがあると考えているため、その大会・対戦会のレギュレーションやコンセプトによって定めるか否かを決める事が大切だと考えています。
仲間大会機能において設定できることも含めるとこれも1つのゲーム性なのかもしれません

一番大切なこと

これはプレイヤー全体でレギュレーションを把握出来ているかが大切だと私は考えています。この認識がプレイヤー間で違っていると、対戦中にTODが成立し得る状況になってしまった場合にそれぞれが自分に有利な判定を要求し始めます。ですからそのような事態を防ぐためにも、運営はこの基準を明確に設定し、参加者にアナウンスすることを忘れてはならないのです。

以前参加した大会にて、これが明確でないが故に、戦略的に取った数的不利がTODによる負けに繋がってしまい、トーナメントで敗北してしまったため、そのプレイヤーは少々納得がいっていないように見えました。このような事案を減らすためにも、無益な争いを避けるためにも、この問題に関してはきちんと考える必要があるのです。

・参考
【S13最高最終2144】Natural Loop

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