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ハイボール濃いめでお願いします#17吞まれるから飲む、それがアル中 其ノ伍(終)

女の家に転がり込むのが得意な男も、四十も半ばに成れば国からの支援金もあり、お一人様暮らししながら真面目に飲み屋を一人で回していた。
心身ともにズボラだけど真面目な面もあり、曜日ごとのお客さんの入店状況が解らない為、新店オープンから暫くは休み無しで営業。
暇な時は掃除をするがエアコンを消し忘れる凡ミスを連発するのはご愛嬌。
いや、やっぱり抜けてる……歯と同様に。

普通だったらとっくに野垂れ死んでいるマッキーは地獄に仏、渡りに船な状況が舞い込んでくる星の下に生まれたアル中オジサン。
常連さんに歯科医がいたため、ダニでやられた片足の代償に頂いた手帳の効力を使い医療費無料で入歯を作って貰い、歯抜け呼ばわりから卒業できた。

子供を産んでくれた前の嫁アキちゃんもマッキーが正式な身分証明書を手に入れたからか、時間が経ったからか、大きくなった娘と三人で会う機会を月一回設けてくれた。

月に一回とはいえ仲睦まじく親子の時間を過ごしてるので「よりを戻せば?」と言ってみたが
「すぐに甘えて駄目になる」と自分の甘さに気付いてる発言をしていた。
だったら計画的に子作りしろよと思うのが世論なんだけど、通じないのが周りは解っているので聴いてるコッチが切なくなる始末だった。

元闇金のエイちゃんに任されてた店は最初は順調だったがマッキーの出勤日数が減ると売り上げは減りオーナーの奮闘は雀の涙で店は閉店。

またまたマッキーは狭い歌舞伎町の店を転々とし、フェイスブックを始めると元週刊ナ○クル○の編集長に「あの伝説のAさんですか?」と、友達申請される変態界隈の大御所Aさんに拾われて週3勤務の仕事に有り付けた。

任された店は基本ワンオペで(店が狭く一見さんは皆無)閉店作業をきっちりしてもエアコンつけっぱなしで怒られても改善の余地は無くAさんは根気よく雇っていた。

週3勤務で生活していけるのは、国からの補助とマッキーを慕ってくれた女性のお客さんが飲みに誘ってくれた帰りにお布施(一万円)をくれていたからだった。
マッキーは生粋のヒモ体質で、不意打ちに出された諭吉を何の躊躇いもなく頭を下げて頂く素質を持ち合わせている。

ヒモ&クズ&アル中な男は、好きなように生き過ぎたしっぺ返しがやってきた。長年のアルコール摂取による内臓へのダメージは大きく入退院を繰り返すようになり、病院で安静にしても退院すれば朝から呑む日々。

反省も節制も自粛も彼の生き方には無く、死ぬまで好きな酒を喰らう赤塚不二夫スタイルを貫いている。
そんなスタイルは弊害も多く、仕事を続ける体力は削がれ、Aさの店を辞める事となり彼の天職と言える飲み屋家業は終幕を迎えた。

無職になって家から一歩も出る気力は無くとも酒は買いに行く元気はあり、国からの絶大なる補助で私腹は干からびず、マッキーを不憫に思う女性から食事に誘われれば帰りにチップ頂く一人ユニセフ基金。

身体を蝕むアルコールは費える事は無く、自宅で吐血し救急車で運ばれても入院先のベットでまた吐血。
街頭アンケート100人中100人が余命半年もたないと思う彼の行く末だが、東京オリンピックが延期されてもバッハが銀ブラしようともパラリンピックの閉会式が無事終わってもマッキーの心の蔵は正常に稼働している。

呆れるほどの見上げた生命力としか言いようがないが、これが現実です。
ちなみに今年の始めに牧野はスノボーに行ったと情報が入りました。
皆さんが支払う税金は、クズの娯楽費に使われていることもあるようです。

完結。






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