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愛情の感じ方

「愛されている実感がない。」これは女同士の恋愛トークでよく聞く不満ベスト3に入るだろう。私自身そう感じたことはあるし、そう感じる付き合いをしたことがある人は少なくないだろう。

私は昔から男友達が多く、リアルな男性の意見を聞いたり、某高級会員制スナックで約10年アルバイトした経験上、クソみたいな男(失礼)から、本当にいい男、かっこいい男たちと(ママの解説付きで)接する機会があった。

ちなみにママは、銀座の名店でNo.1として活躍したのち、自分の店を開いた。その店は39年続いた。一見さんお断りだったので殆どが常連のお客さんだったが、皆30年以上その店に通っていた。昔は勝新太郎をはじめとする昭和の名俳優や某政治家も通っていたそうだ。

その店はパワースポットのような場所だった。どんなに疲れていても落ち込んでいても、お店に行くと帰る頃にはめちゃくちゃ元気になっているのだ。そして皆どんどん運気が上がる。どんどん出世していったし、プライベートも充実していった。だから30年以上も通い続けたのだろう。

ママは、私が人としても女性としても最も尊敬し、そして最もお世話になった人だ。両親や夫、友人達も会ったことがあるが、皆ママのことが大好きだ。

話が逸れてしまったが、私自身の経験、そして様々なタイプの人、付き合いを見てきて思うことがある。愛されている実感がない、と感じる理由は2つだ。

一つは、残念ながら実際にそれほど愛されていないパターン。そしてもう一つは、相手の愛情を感じられない自分の感じ方の問題。

- 実際に愛されていないパターン

それほど愛されておらず、適当にあしらわれる、雑に扱われるといったパターンについてはここに書くまでもない...ただ私はそういう類の相談をされても、「そんな男やめた方がいいよ。」とは言わない。

恐らくそんなこと耳タコな程言われているだろうし、第一そんなこと言ったところで、スパッと別れられる程強くも自分の幸せにも貪欲じゃないだろう。

本当に幸せになりたい人、自分にとっての幸せが何なのか分かっている人は、自分を大切にしない男とはスパッ!とはいかなくても、苦しみながら自分で別れの決断を下す。

ただそんなことより何より、彼のことが大好きでたまらないのだ。それはそれで良いと思う。結局自分が納得するまで、とことん向き合うしかないのだ。それに幸せの感じ方は人それぞれだ。自分にとっての幸せがその人に当てはまるとも限らない。だからちょっとの助言はしつつ、基本的には温かく見守っている。

まぁ一つ言えることは、どれだけ忙しい人も遊び人もズボラな人も、「この人と一緒にいたい。ずっと自分の側にいて欲しい。」と思う人に対しては、その人を悲しませたり傷つけることはしないし、手放すようなことは絶対にしないだろう。

- 自分の感じ方に問題があるパターン

「じゃぁどんなときに愛されてるって実感があるの?」そう聞かれたとき私は即答できなかった。

今私は夫にめちゃめちゃ愛されている実感がある。ただそれをどんな時に?と言われると、別に連絡はマメじゃないし(むしろほとんどない)、いつだって仕事第一で家に帰ってきたときは疲れ切っているから、まともに私の話を聞いてくれないときもある。というより家にいても常に仕事をしている。せっかくの休みは、できれば家から出たくなくダラダラしたい人だからデートもそれほどしていない。

この夫の行動を、どう「私は愛されている実感がある!」と納得してもらえるのだろうか...と思い即答できなかった。

夫の行動にフォーカスすれば、もしかしたら私は不満が出てくるかもしれない。ただ私が愛情を感じるのは”分かりやすい行動”だけではないのだ。

いざというときは私を第一優先にすることが分かるし、どんなに疲れていて仕事が大変なときも、何かお願いしたら笑顔で「いいよ」と言ってくれる。私の機嫌が悪くなりそうな一歩手前を察知して、爆発しないようにケアもしている。笑

そういうことが分かるから、夫の「やらないこと」に意識が向かないのだ。

「私に愛されている実感ってどんなときに感じる?」と夫にも聞いてみた。そしたら私と同じように、うーんと少し考え込み「何かしてくれたとかそういうことじゃないんだよな。」と言った。「例えば今毎朝お弁当を作ってくれていることに愛情は感じるけど、別に作らなくなったからって愛情を感じないわけではない。それに毎日作っていても、それを当たり前と思い愛情を感じない人もいるよね?」と言った。そして、「愛情は受け手の感じ方じゃない?」と。

なるほど、と私は自分が伝えたかったことが明確になった。

- 相手の立場に立つ

愛情をどこで感じるかは、相手の日々の言動や行動によるものが多いと思う。一方で、それだけでははかれないものだし、そこでしか愛情を感じられないと辛いとも思う。人の行動は付き合う前、後で変わるだろうし、時間の経過とともに変わるのも当然だ。また自分のそのとき置かれた状況や環境によっても変わる。

お弁当の話じゃないが、必ずしも愛情と行動が比例するわけではないと思う。(比例するケースもあるが...)

大切だと思っていたら連絡はマメにくれるはず、好きだったら毎日でも会いたいと思うはず、記念日はちゃんとお祝いするはず、約束は守るはずetc...

たしかに大切な人にはそうする確率は高い。ただそれはあくまで自分が思う「大切だったらこうしてくれるはず」であって、相手の気持ちと一致しないこともある。

元々必要なこと以外連絡したくない人、する習慣がない人はいるし、サプライズやプレゼント選びが得意でない人もいる。そしてこれまでの経験上、彼女や奥さんとの細かい約束やルールを好む男は少ない。そんな人と約束ばかりしても、相手は悪気なく忘れてしまうし、その度にイライラしなければならない。

約束を守らない=大切にされていない→喧嘩のループは私の中では不毛なループなので、基本的にルールも約束も作らない。だから、夫もここぞという時の約束は絶対に覚えていてくれる。

愛情の感じ方といえば、恋愛以外に家族との関係もある。私は父にかなり厳しく育てられた。どれくらい厳しいかと言えば、「北朝鮮ってこんな感じなのかな」と本気で感じていたくらいだ。当時はあまりの厳しさに、とても愛情があるとは思えなかったし自分は父に嫌われているとさえ思っていた。ただ時間が経ち、それは父の強すぎる愛情だと分かった。そして当時の話を聞くと、父もかなり大変な状況だったのだ。そんな中でどうにかちゃんと育って欲しいと必死で、厳しくせざるを得なかったんだと思う。

父の行動が何か変わったのではない。私の感じ方が大きく変わったのだ。

相手の立場に立つこと、相手を理解することが、もしかしたら幸せへの一番の近道なのかもしれない。



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