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(小説)Youは 出張しに 日本に行っても お姉ちゃんのことで 頭がいっぱい!(5話)

の続きです。

 高山のホテルで迎えた金曜の朝。午前八時すぎにホテルを出て町の中心で開催されている宮川朝市を見に行きました。平日ということもあって地元の人より観光客、特に外国人のほうが多かったです。まぁ、わたしもその一人なのですが。川沿いの道には地元の野菜、果物や民芸品を売っている屋台が立ち並んでいました。そこから橋を渡って右に曲がって黒一色の古く美しい町並みが広がる通りを沢山の観光客に混じって歩きました。建物は一部は現在も住民が住んでいる民家ですが多くは観光客向けの土産物店や飲食店になっています。それを過ぎると陣屋という一六九二年から一九六九年までのおよそ三百年の間使われた昔の役所の跡を見に行きました。この時代の役所の建物というのが他に残ってなくて貴重なものとなっています。来た道を戻って途中にある喫茶店で一休みしてそこで紅茶を飲みました。最後に高山昭和館に行きました。今から五十から七十年前の街の雰囲気を伝えてくれる貴重な場所です。中には昔の学校の教室や商店、病院を再現しているところがあってうちの国の同じ時代とも似たようなところがあって面白かったです。

 市内を一通り回り終えて、ホテルに預けてあったキャリーケースを回収した後、特急ひだで夕方五時過ぎに高山駅を出て、富山で新幹線に乗り換えて東京に向かいました。午後十時前に東京駅に着いてそこから乗り換えて錦糸町のホテルに入りました。

 土曜日の朝が来ました。少し長かった日本滞在も今日までです。午後六時十五分の成田空港からの帰国便の時刻に間に合うように買い物していきたいです。わたしはホテルを九時頃に出て錦糸町駅から電車に乗りました。総武線の沿線には大きめのショッピングモールがなかったのでいったん東京駅に戻って京葉線に乗ることにしました。十時すぎに電車を幕張豊砂駅で降りて目の前にある巨大なショッピングセンターに入り食品売り場に行きました。もしかしたらもう見ることはないかもしれない日本のスーパーと言いますか食料品店をじっくり楽しむつもりで買い物しました。ジャネットさんを含む同僚コ・ワーカーズに頼まれたヴィーガン・ウェイパーを自分用も入れて十缶買いました。このウェイパーですが、数年前にようやく地元のアジア系食品店に入荷するようになって、二十三ドルでレギュラーの赤いのが売られていますが、ここだと八百五十円位で買えます。ただしここから一般の人が持ち帰ることができるのは税関の規制もあってヴィーガンタイプのみです。他に買ったものはめんつゆ、白だし、昆布などです。例のウエルカムスイカの残高もここできっちり使い切りました。時間が余ったので他の店もウインドーショッピングしてみました。

 わたしは、午後一時半過ぎに幕張豊砂駅を出て、電車を乗り継いで千葉駅で降りました。いったん改札を出て窓口で成田エクスプレスの特急・指定席券をもらって成田空港に向かい三時前に空港駅に到着しました。航空会社のカウンターにキャリーバッグを預けて出国手続きを済ませて免税店を冷やかしました。出発時間が近づき、エコノミークラスの客が搭乗口に呼ばれたので係員に搭乗券を見せて機内に入りました。私の乗った飛行機はたくさんの思い出とともに離陸しました。これからまた大海原の上を十時間くらい飛びます。機内食が済むとぐっすり寝てしまいました。そして無事着陸してバスを乗り継いで帰宅しました。地元の空港の国内線のカルーセルは派手な観光宣伝でちょっと有名ですが、国際線の方はベルトコンベア以外何もない殺風景なものでした。これからお姉ちゃんや会社の同僚たちへの思い出話に花が咲きそうです。

(完)

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