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吸血鬼ドラキュラ神戸に現る

土曜ワイド劇場で放送された2時間ドラマ
「吸血鬼ドラキュラ神戸に現る」
という作品をご存知でしょうか。

岡田真澄が吸血鬼の役で、当時20歳の岸本加世子に「結婚しよう」と迫る物語です。

私、この作品めちゃくちゃ見たくてですね、昨年の12月にテレ朝チャンネルで再放送されたのを春先で知り、ガッカリを通り越して一人でブチギレては、Youtubeにうpされている土ワイ次回予告集を見て悶々としていました。

1:45~ 吸血鬼ドラキュラの予告です。
予告だけ見ると、ドラキュラがなんだか可愛そうに見えるのですが、本編は全くそうじゃなくて、むしろ紳士的に振る舞う変態ストーカーなんですよ。

まぁ、そんなこんなで、つい先日、本編を見る機会がありまして、
「キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」と胸躍らせながら拝聴致しました。

以下、ネタバレ含めた感想です。

ヒーロー役・光郎は若い時のスター錦野旦。
ある日、仕事中に婚約者の絵里子(岸本加世子)から呼び出され、
「吸血鬼にさらわれるかもしれないから別れよう」と切り出されます。
どうやら、中世の城で結婚式を挙げ、お相手の吸血鬼に血を吸われ、吸血鬼にされてしまい、挙句の果てに杭を打たれて殺されてしまうという非常にカオスな夢を見たそうです。その時に出てきた赤いバラがとても印象的だったらしく、「吸血鬼にされて殺される」と別れを言い出した、というわけです。
当然、光郎は受け入れられるはずもなく、婚礼を挙げる予定の教会に連れて行って、説得をします。絵里子も、これは思い過ごしだということにして、マリア様にお祈りします。
でもね、マリア様から赤いコウモリが出てきて、絵里子は気絶してしまうのですよ。絶対悪夢から仕込んでますよね、これ。

タイトルに「神戸に現わる」とあるだけあって、不審死が多発する神戸。
時を同じくして、コウモリは大量発生してるし、死体は火葬しても灰にならないし、安置室の死体は起き上がるしで、これだけで怪談短編集一冊作れるんじゃないかと思うレベルで怪奇現象が多発しているのでした。

ある日、絵里子が働く雑貨店の女店主さんが、突然男の声で
「君はまもなく幸福な花嫁となるだろう。私…ドラキュラ伯爵の永遠の花嫁に」と告げます。
絵里子はその時のことを光郎にいいますが、よせやいと止められます。
そんな中、余興のマジックショーが始まるのですが、なんと手品師は夢に出てきた吸血鬼!(仮面をしているので素顔は見えない)
さすが紳士、人を掴む術は心得ているようで、ぬこを出してしまう器用さ。
吸血鬼は手品師特有の客いじりを装って絵里子の元に近づき「あなたのことは何でも見通せます」とズケズケと絵里子の経歴を言い出します。こいつストーカーというか絵里子ガチ勢やん…
そして「両親ともう一度会わせる」と言って、あの赤いバラを見るように指示します。
そうすると、本当に絵里子の両親が現れ…たと思ったら、幻術オチで終わるのですが、終わったと同時に絵里子は気絶してしまいます。そりゃそうだよなあんなストーカーに追い回されたら。

帰宅後、絵里子は不穏な予感を察知し、謎の男に連れ去られてしまいます。
連れ去られるとき、何らかの魔術にかけられたような描写があるので、マジ吸血鬼変態やんけ…と思ったのは言うまでもないです。
おまけに馬車をこしらえてまで(まぁ中世の一般常識しか持ち合わせてないのでしょうが)お迎えするのですから、推し活の気合の入れようが違います。
連れてこられた古い洋館で待っていたのは、仮面を外した吸血鬼・ドラキュラでした。
夢の中で一回会っているとはいえ、初対面の女の子に向かって
「ご存知のはず。夢の中でお会いした…」
この台詞、イケメンだから口にすることを許されるのであって、
キモメンが言ったらぶん殴ってもいいです。

警察から届いた絵里子の私物を手がかりに、洋館にたどり着いた光雄は絵里子を見つけます。
ドラキュラは、絵里子を400年待ち続けたことを明かし、絵里子に求婚します。
当然絵里子からは拒絶されるのですが、拒絶理由が「自分が吸血鬼だからか」と勝手に自虐しだすわ、絶対愛するはずだとせがみ出すわ、「私の恋人♡」とニヤつきながら絵里子の頬をなでるわと、変態行為をしていたのでした。これガチ勢を通り越して、ただのメンヘラ変態じゃねえか。
おまけにあやしいくすりを飲まされた絵里子ちゃん…うわぁヤンデレじゃねえか…

光郎はどうにか絵里子を助け出そうと、吸血鬼研究をしている志村医師と協力することになります。
志村医師(以下、先生)は、この作品でいうヴァン・ヘルシング教授ポジションです。
強力な助っ人がおっさんの医師ってなんとも日本らしいですよねww

それで、ドラキュラのアジトへ激チャして向かうわけなんですけど…
光郎お前車あったやろ…なんでチャリなんだよ…何パンクさせとんねんというツッコミを心でしましたw
その頃洋館では、ドラキュラが絵里子の手のひらに牙でバラの入れ墨を掘っていたのですが、どう見ても手をぺろぺろしている感じにしか見えなくて、うわこいつマジモンやんけ…と光郎と一緒に引きました。
男二人で敵地までチャリで来て、無能刑事に邪魔されながらも、ドラキュラの心臓に釘を打ちます。
ところがどっこい、コウモリの大群が現れて、ドラキュラの身体はどこかへ消えてしまいます。

なんとか絵里子を救出した光郎ですが、絵里子が取り調べを受けている最中、突然先生は慌てて資料館へ向かい、調べ物をします。

なんと絵里子は「エリカ・ミューラー」というドラキュラの花嫁の生まれ変わりだったのです。

な、な、なんだってー!!!

と思うじゃろ。実は絵里子が洋館に連れてこられたシーンでエントランスに肖像画がバカでかく飾られていたのです。どんだけガチ勢なんだよこの吸血鬼。

その頃ドラキュラは命からがら逃げ戻り、杭を抜いては
「エリカーーーーーー!!!!!」
とエントランスの中心で、重すぎる愛を叫ぶのでした。

無能刑事は無事フラグを回収し、ドラキュラの栄養にされ、魔除けのにんにくは腐り、いよいよ後がなくなる光郎たち。
太陽を味方につけようと白夜の季節であるスカンジナビアへ高飛びしようと画策しますが、またしてもドラキュラの妨害に遭い、計画は失敗。
光郎は「吸血鬼は処女にしか嫁にしないらしいから…」と口にしてしまいますが、疲れ果てた絵里子は「いいのよ…」とやる気まんまん。
でも、光郎さんナイスガイね。こんなことで抱きたくないの嫌だよね。
けど、絵里子ちゃんの気持ちもわからなくないから複雑なんですよね。
あんな変態ストーカーなガチ勢に抱かれたくないわな。たとえ顔がイケメンでも。

魔除けの十字架とにんにくは酔っ払いにむなしくもぎ取られ、ついにドラキュラが絵里子を攫ってきます。
先生の健闘もむなしく、連れ去られた絵里子。
虫の息の先生に、聖なる木で作られた杭を託された光郎は、先生と涙の別れをし、絵里子を救出すべく、洋館へカチコミします。

婚礼の儀式が迫る中、洋館ではドラキュラと絵里子がいちゃついていました。ドラキュラさんや、お前絶対絵里子ちゃんといちゃつきたいがためにあやしいくすり飲ませただろ。

洋館にたどり着いた光郎ですが、会場入口は結界らしきものが貼られ、近づくことすらかないません。
それどころか、お付きの侍女と化した女店主さんに攻められ、腐った血を飲まされそうになります。でも、余興と称して熟女とくっつかせるのはどうかと思う…www

絶体絶命に陥る光郎ですが、先生の言葉を思い出して、なんとか力を振り絞ります。
代わりに血を差し出す…なんて健気なんや。
この申し出に対して、手下どもは光郎に群がります。しかしさすがはヒーローポジション、とっさの判断で杭とそこらへんにあったサーベルらしきもので十字架を作り、なんとか手下の群れを追い払います。残るはドラキュラ一人です。

どうにかドラキュラとタイマンを張れる状態を作ったわけですが、相手は吸血鬼。人間と吸血鬼の力の差がありすぎます。
ドラキュラに至近距離で追い詰められるも、近くにあった花瓶で窓を割り、太陽光を屋敷中に入れます。このすきに洋館から脱出するのですが、ドラキュラは最期の悪あがきとして巨大化し、
「悪魔は、人間一人ひとりに棲んでいる!私は、必ず蘇る!!」
と断末魔を残し、消滅しました。

ドラキュラの消滅で、バラの入れ墨もなくなり、いつの間にか絵里子が着替えていて、物語はハッピーエンドで終わったのでした。でめたしでめたし。

どうしてこの作品が見たかったのか

作品の存在を知ったのは、上記にある土ワイの次回予告集です。
和製ドラキュラのドラマがあること自体は知っていましたが、映像として見たのはあれが初めてでした。
当時、まだ2時間ドラマという枠が定まっていなかったこともあり、ホラーテイストの作品を多く放送してたみたいです。
初見で見る岡田真澄の吸血鬼姿はとても妖艶で、もっと和製ドラキュラ物のドラマや映画を作ればいいのにとも思いました。
この作品の予告をきっかけに、吸血鬼モノの小説を書くようになりました。
それが「教会と吸血鬼」です。
予告だけ見て「あっこれ吸血鬼が人間の女の子に突然求婚するやつなんだな」と勝手に想像して書いたやつです。
作中は、女子中学生が求婚されていますが、実際元となった作品を見てみるとやっぱり吸血鬼って変態なんだなと思いました。ていうか予告だけ見ると変態ぽさまったくないからびっくりした。
でも、考えてみると、400年の愛って年数が年数なだけに重くなるのも当然ですよね…そりゃこじらせるわ。
ともあれ、ググればきっと見つかるので、よかったら見てみてくださいね。

2019.7/27追記:本放送からまもなく40年。そろそろ続編が制作されてもいいような感じがする。というか私が二次創作で書きたい。

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