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最終幕〜菫色の小部屋

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全ての人々が自身の感性に誠実に生きることができるよう、ショップカラーの「菫色/Mauve」に願いを込めて、2015年より文学・アート・モードを横断する展覧会を開催してきた「菫色の… もっと読む
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菫色の記録室|1|最終幕〜菫色の小部屋展

 吉祥寺で見る最後のクレマチス・アーマンディの季節が去り、花水木も花びらを落としました。輝くばかりの新緑を眺めながら、移転準備作業に勤しむ巡るましい日々を過ごしています。  《最終幕〜菫色の小部屋》展(2023年12月)から季節は巡り、迎えた初夏。敬愛するアーティストの皆様が最終幕に寄せて下さった作品とメッセージを、感謝を込めてひとつひとつ辿りながら、これからやってくる未来へと思いを馳せています。改めまして、小さなギャラリーを大切に思って下さったアーティストの皆様とお客様へ

追想|#菫色の小部屋_終幕《7》

「菫色の小部屋、終幕——2015 - 2023」のお知らせをポストしたのが2023年3月4日、一年前の今日でした。  早いものであれから一年。  三年間の休業を経て営業再開した吉祥寺での最終年(2023年)を、アーティストの皆様、執筆者の皆様、そしてたくさんのお客様に支えて頂き、夢のような時間を過ごしながら、無事終えることができました。改めまして、ご厚意に深く感謝申し上げます。  その際に募集した「#菫色の小部屋_終幕」へご参加下さった皆様のコメントとお写真を、パンデミッ

追想|#菫色の小部屋_終幕《6》

「菫色の小部屋、終幕——2015 - 2023」のお知らせをポストしたのが2023年3月4日、一年前の今日でした。  早いものであれから一年。  三年間の休業を経て営業再開した吉祥寺での最終年(2023年)を、アーティストの皆様、執筆者の皆様、そしてたくさんのお客様に支えて頂き、夢のような時間を過ごしながら、無事終えることができました。改めまして、ご厚意に深く感謝申し上げます。  その際に募集した「#菫色の小部屋_終幕」へご参加下さった皆様のコメントとお写真を、パンデミッ

追想|#菫色の小部屋_終幕《5》

「菫色の小部屋、終幕——2015 - 2023」のお知らせをポストしたのが2023年3月4日、一年前の今日でした。  早いものであれから一年。  三年間の休業を経て営業再開した吉祥寺での最終年(2023年)を、アーティストの皆様、執筆者の皆様、そしてたくさんのお客様に支えて頂き、夢のような時間を過ごしながら、無事終えることができました。改めまして、ご厚意に深く感謝申し上げます。  その際に募集した「#菫色の小部屋_終幕」へご参加下さった皆様のコメントとお写真を、パンデミッ

追想|#菫色の小部屋_終幕《4》

 「菫色の小部屋、終幕——2015 - 2023」のお知らせをポストしたのが2023年3月4日、一年前の今日でした。  早いものであれから一年。  三年間の休業を経て営業再開した吉祥寺での最終年(2023年)を、アーティストの皆様、執筆者の皆様、そしてたくさんのお客様に支えて頂き、夢のような時間を過ごしながら、無事終えることができました。改めまして、ご厚意に深く感謝申し上げます。  その際に募集した「#菫色の小部屋_終幕」へご参加下さった皆様のコメントとお写真を、パンデミ

追想|#菫色の小部屋_終幕《2》

「菫色の小部屋、終幕——2015 - 2023」のお知らせをポストしたのが2023年3月4日、一年前の今日でした。 早いものであれから一年。  三年間の休業を経て営業再開した吉祥寺での最終年(2023年)を、アーティストの皆様、執筆者の皆様、そしてたくさんのお客様に支えて頂き、夢のような時間を過ごしながら、無事終えることができました。改めまして、ご厚意に深く感謝申し上げます。  その際に募集した「#菫色の小部屋_終幕」へご参加下さった皆様のコメントとお写真を、パンデミック

追想|#菫色の小部屋_終幕《1》

 「菫色の小部屋、終幕——2015 - 2023」のお知らせをポストしたのが2023年3月4日、一年前の今日でした。  早いものであれから一年。  三年間の休業を経て営業再開した吉祥寺での最終年(2023年)を、アーティストの皆様、執筆者の皆様、そしてたくさんのお客様に支えて頂き、夢のような時間を過ごしながら、無事終えることができました。改めまして、ご厚意に深く感謝申し上げます。  その際に募集した「#菫色の小部屋_終幕」へご参加下さった皆様のコメントとお写真を、パンデミ

ミストレス・ノール|菫色の小部屋の最後のカーテンを閉めて

*  2015年4月から2023年12月まで。吉祥寺の地にて扉をひらいた「菫色の小部屋」こと霧とリボン 直営SHOP&ギャラリー「Private Cabinet」は、本年12月をもって8年の歴史に幕を下ろしました。  最後の展覧会となった《最終幕〜菫色の小部屋》展では、総勢65組の多彩なアーティスト作品を展示。会期中は全国から45組以上のアーティストの皆様が駆けつけて下さり、共にお客様をお迎え致しました。  小部屋に溢れたはなむけのブーケや贈り物、お便りには、そこここに菫色

ヨネヤマヤヤコ|モーヴ色のとばりの向こう

 菫色の小部屋への招待は手書きのお手紙で始まりました。  雨宮まみさんからのお手紙でした。はじめて行くときは迷うかも、と出不精な私を彼女が連れて行ってくれることになりました。  モーヴ色のとばりをくぐり抜けるとほのかに清冽なラヴェンダーの香りが漂い圧倒的な美意識に彩られた空間が広がっていました。柔らかな菫色を帯びた灯りのもとで設えのひとつひとつに目を留めては感嘆の声を上げたり、ノール様の解説に耳を傾けては試着してみたり。菫色の小部屋は一見こじんまりとした印象を受けますがゆ

森 大那|菫色集

 部屋の灯りを点ける時、その瞬間にだけ、見たこともない景色が出現する。  毎日眺め、眼をつぶっても暮らせるほど馴染みがあるのに、その瞬間だけは、子供の頃に一度だけ足を踏み入れたような気がする夜の遊園地、夜の砂漠の上をゆく郵便機の出発時刻を待つ飛行士の待合室、いわく付きの古酒たちが秘された城塞の地下室を目撃する。  それはピカソ的分解、ベーコン的歪曲、モネ的融解、セガンティーニ的輪郭、ルドン的陰影、ルソー的温度、デ・キリコ的遠近法であり、その一瞬を、私たちは追い求めているのだ、

丹所千佳|すべては輝ける色の午后に ~菫色の小部屋の終幕に寄せて

 その美しい小部屋は、すみずみまで主の美意識が行き届いていて、たいそう居心地のよい空間でした。置かれているものすべてに、やはり主の、あるいはその作品を手がけた人の、感性と情熱が宿っているように思えました。私がそこを実際に訪う機会は数えるほどでしたが、忘れがたく、うっとりした記憶として大切に残っています。 *  菫色の小部屋と名づけられたその場所を思い出すとき、わたしの愛するさまざまな色もまた脳裏をよぎるのでした。たとえば菫色、魔法の宵の空の光、ガラスの島で作られる玻璃のき

玉田優花子|Hommage au boudoir violet

*  本年9月の松下さちこ様個展《惑星の花びら》に私も一部日程在廊させていただきまして、お目文字が叶いました皆さま、またコラボコフレ『植物書翰集 第一巻 アイリスと菫』をお求めくださいました皆さま、本当にありがとう存じました。サロン風完全予約制ならではの、ゆったりとした心とこころの交流を愉しめましたことに、この場をお借りして、改めて深くお礼申し上げます。SNSやブログ等に丁寧に綴ってくださいましたご感想も、とても嬉しく拝見致しました。身体と精神が健やかであるための、「私だけ

高柳カヨ子|遥か美の名の下に

 美意識というものは一朝一夕に形成されるものではない。    それは注意深く己の心に分け入り、貪欲な好奇心と飽くなき探究心を持って、自らの定める美とは何かを追求し続ける精神なのである。    菫色の小部屋に揺るぎなく確固として満ちていた存在、それが美意識というものなのだ。    霧とリボンと出会うきっかけとなったのは、ネットの海の中の微かな美の光跡を追って辿り着いたある作品であった。    その後長くこのブランドのフラグシップ・モデルとなる「O・SA・GEブローチ」である。

高田怜央|菫色の呼び覚まし -Resurrection(s) in Violet-

* 魔女たちの香り  小さい頃、よく魔女に出会った。髪や衣から古く湿ったいい匂いがするからすぐにわかった。ときに街角の市場で、ときに博物館や図書館で、ときに遊びに行った誰かの家で、魔女たちはまちまちの格好をしながら、ゆったりと時間に溶け込んでいた。  スコットランドでは、どの街にも魔女がいる。北の険しい山間の方の小さな町や村では、箒に乗ってとんがり帽子をかぶった絵姿の看板を吊るしたお店をたまに見かけた。たいてい、薬草や香料の瓶が棚に並べられていて、虹の端から端までの色をそ