関係性を育むことを大切にしたWISCフィードバックの仕方
これまで医療機関や教育機関で、WISCの実施とフィードバックを300件ほど行ってきました。
先日私の所見を読まれた若手の方に、SVを依頼されることがあり実施させていただきました。
「役に立ちました」と言っていただき、大変うれしく思いました。
また以前より、臨床で出会うお母さん方が、「WISCは以前取りました。結果も聞いたけど、なんか良く分からなかった」とおっしゃることも時々あり、なんかもったいないなあと思うことも多々ありました。
私も、現場に出てから試行錯誤でフィードバックをしてきているのですが、幸いにして、保護者や教員や医師から「よくわかった」と言われることはあるにせよ、「わからなかった」はなく、戸惑いを感じていました。
そこでこの機会に、私の経験が役に立つならばと思い、ツイッター上でWISCの解釈やフィードバックのSVについて呼びかけてみたところ、1週間で100件ほど「いいね」をいただきました。
この結果からニーズはあるのだろうと思いました。しかし、直接所見をお見せすることもできませんし、どんな解釈やフィードバックをしている心理士かも分からない状態でSVを申し込む方もいらっしゃらないと思います。
そこで、私が普段行っているフィードバック面接の流れを開示させていただき、いくつかポイントを書こうと思います。
解釈については、それぞれのデータで異なってくるので、解釈の目の付け所を述べていこうと思います。
検査は支援のためにあります。支援にどう生かしていくかを大切にしたフィードバックになります。
おそらく多くの方々にとっては基本的なことの再確認になるだろうとは思います。ほとんど何も特別なことはしていないと思うのですが、経験が浅い方のお役に立てればと思います。
WISCフィードバック面接の実際
小学生のお子さんとお母様にフィードバックを行うという設定で書いてみます。(設定時間は30分)
1.検査でのがんばりをねぎらい、その後のことを聞く(1,2分)
1時間~2時間ほど、時間を共にした戦友なので、「この前はお疲れさまでした。がんばったもんね~。」「あのあとどうだった?疲れちゃった?」などと一声かける。
お母さんにも「どうでした?」「お子さん何か言ってました?」などと声かけをする。
ここは、あえて意識しなくても自然に言葉がでます。
2.今日の時間の目的をお伝えする(1,2分)
「今日は結果をお伝えさせていただきますね。」
「お時間は30分になりますね」⇒ポイント1.ちゃんと時間枠を伝えるのはとても大事
3.検査目的の確認、共有をする(2,3分)
「この検査は〇〇さんが学校で、どうやったらお勉強しやすくなるかそのヒントをもらうためのものだったですよね」、「〇〇さんが得意なことと苦手なことを知って、普段の生活での声かけのヒントを得るためでしたね」などと、心理師側の理解をまず伝える。
「という目的だと思ってますが、いかがですか?大丈夫ですか?」と一回保護者やお子さんに振る。⇒ここはポイント2.目的の認識が心理士とクライエントでずれている場合も案外ある。ここがずれると以下は失敗に終わってしまう。
動機付けが浅い方もいる。そういった場合も「先生に言われて受けたけど、別に自分としては、特に何も希望はない感じなのね。」など動機付けが低いことを了解しましたというメッセージも伝えておくことが大事。「でも何か分かるといいね」など踏み込み過ぎないことに注意。
4.目的の共有が出来たら、WISCの説明をする(5分)
「WISCってこういう検査なんですよ」と概要を説明する。A4一枚に「WISC-Ⅳとは?」をまとめておき、それに沿って説明する。⇒この説明用紙はSVに来ていただいた方にはお見せします(いやらしい。まあ、みなさん簡単に自分で作成できると思います。)
「ああいう絵の問題あったよね」、「書き写すやつあったよね、それのこと」など、お子さんに具体的な下位検査を思い出してもらいながら説明すると「ふむふむ」とうなずいてくれる。子どもがうなずくとお母さんもちょっと安心した顔をされる。ここは結構大事。
きちんと、パーセンタイル、標準出現率の意味、正規分布のことなど伝えておくのも大切。「セイキブンプってのがあってさ」とわざわざグラフを書いて説明する。
一通り説明したら、質問、分かりにくかったところはないか尋ねる。(実際に出てくることはほとんどないが、ちゃんと尋ねておく)
ここで、ある問いかけをする⇒最大のポイント!!
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