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カウンセリング料金について

「安く買えた、ラッキー!」

日本ではこの感覚が染みついているように思う。

いいものを、安く。

という感覚だ。でも、ほんとは、

いいものは、高い。

それが自然なのではないだろうか。ものには適正価格がある。

カウンセリング料金には、カウンセリングの技術料(技術を維持向上させるための研修料)、カウンセリングの環境設定料(部屋の家賃や光熱費、備品の維持、予約や事務連絡のための通信費)、カウンセラーの生活の糧が含まれる。

それぞれを過不足なく算出していった結果、現在の日本の物価からみれば、個人開業の場合、最低でも1セッション1万円前後となる。

それ以下の場合は、どこかを削っていると考えられる。

技術料なのか、環境設定なのか、生活費なのか。企業努力でどこかを削れば、見かけのお得感は出る。でもそれは見かけにすぎない。

削った部分の質は落ちる。

あるいは、寄付や補助などを利用して、利用者負担額を下げている事業者もいるだろう。その場合は、寄付や補助をした側の意向がカウンセリングに大なり小なり影響するだろう。

完全に独立した個人カウンセリングを目指す場合は、そういった意向は影響しない方がいい場合もある。すると料金は、低くは出来ない。

だから、カウンセリング料は、そのくらいが妥当なんだな。

このことは比較的多くの方に、頭ではご理解いただきやすい。

問題は、その先だ。

その金額を払って、カウンセリングを受けてみようと思えるか。だ。

カウンセリングの場合、商品は体験と言える。

つまり、10時~10時50分まで、カウンセリングルームで話をして心が動く体験、カウンセラーとの関係性の質、そういったものが商品だ。

その商品を利用した結果、クライエントの悩み、主訴が解消することが目的である。

参考になるのは、夢と魔法の王国。
あそこも商品は、パーク内での体験である。

入場者のほとんどがリピーターであろう。

特に関東圏では、多くの人が子どもの頃1度は行き「満足した」からまた行くのだろう。

かつて、おじいちゃん、おばあちゃん世代が若い頃、出来て間もない東京〇〇ランドへ行った。そして子の世代が行った。そして孫の世代が行く。その子もきっと。

ものすごいリピート率だ。
世代をまたいでリピーターを生み出している。

入場料が値上がりしている。
私の学生時代は5500円程度だったと記憶する。
今はその倍する。

それでも、人は行くのだ。
ランド側も、その金額に見合うサービスを提供し続けている。

「〇〇ランドいいよ」「そうだね。また行きたい」と共有し続けられるものがあるのだ。

でも、おじいちゃん、おばあちゃん世代が、いちば~ん最初に行ったときは、どんな体験になるのか、ほんとのところは、分からなかったはずだ。

ミッ〇ーに会える。どうやら楽しいらしい。話題だから行ってみるか。といった期待があっただけだろう。

そこで、もし、期待を裏切っていたら、こんなに繁栄していないはずだ。

「話題になっているから来てみたけど、なあんだ、こんなものか」

こう思ったら二度と行かない。

カウンセリングも同じで、いちば~ん最初に体験するときは、実際のところ、どんなものか分からない。

だから、初回に来てもらうまでのハードルがめちゃくちゃ高い。

そこを、こういった言葉の力で宣伝したり、カウンセラー同士の口コミで紹介したり、各々カウンセラーが工夫している。

ミッ◯ーのような、わかりやすい広告塔を作れないのが辛いところだ。

しかも内容は夢と魔法ではなく、悲しみや苦しみの現実と向き合うという、心の闇や影の部分だ。

カウンセリングルームは、闇と影の小部屋。

夢と魔法の王国に比べて、まったくもってワクワクしない。全く魅力がないどころか、むしろ敬遠したいようなキャッチコピーだが、必要としている方はいらっしゃるのだ。

必要としている方に、我々の存在を届けることが大事だと思う。

そして、実際の所、商品の質や魅力は、一度体験してみないと分からない。

これがすべて。

体験してみて、リピートしようと思えば、また来ていただける。
思わなければ、来ていただけない。

クライエントさんお一人お一人に、カウンセリングへの期待があり、それに応えられる場かどうか。

これだけの話だろう。

料金の話に戻るが、だからこそ、初回の体験を提供するために、カウンセラー側も全身全霊をかける。

そのため、初回無料では割に合わない。
あの王国も、初回無料では入場できまい。

こういった事情があって、料金が定められている。

カウンセリングならでは、という体験を一度してみる。
という決心をしてお越しいただくことをお願いするより他にない。

我々には、クライエントさんの期待を裏切らない体験を提供するという覚悟が必要だ。

クライエントの決心とカウンセラーの覚悟が出会う場が、カウンセリングの場と言える。

カウンセリングの成立条件の一つは、決心と覚悟がそろうこと。だと思う。

ワンコイン500円と一万円。お互いにとって、どちらがより決心と覚悟を必要とするだろうか。

こういう諸々が考慮され、料金が定められている。

こんなことを思いながら、今日も一人、闇と影の小部屋で、ご来室いただく方とのカウンセリングを行っております。


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