小倉の思い出

北九州の小倉に行った。
2年前にはじめて行き、好きになった。

今回の目的はふたつ。
九州に唯一残るストリップ劇場「A級小倉劇場」と酒場めぐり。

ストリップは昨年はじめて見て、魅了された。

はじめては、浅草ロック座。
ツイッターですすめるかたに感化された。
踊り子さんは素敵だし、たのしそうに踊るあるバックダンサーさんにもひかれた。

ストリップにかぎらず、ショーパブのようなところへ行ったことはなかった。
しかし彼女にひかれ、出演しているショーレストランなどへ行くようになるから人生どうなるかわからない。
きっかけをあたえてくれたことに感謝している。

小倉では、8軒ハシゴした(多いな)。

なかでも、Barアゴラネオスさんはよかった。
雑居ビルの4階にあり、性別や指向にかかわらずたのしめる、あたたく、ちょっぴり淫靡なお店。
短い髪の似合う快活なママさんの作る美味しい肴をつまみながら話すのがたのしい。

翌日は、昼からA級小倉劇場へ。
再開発の進んだ小倉駅の駅前にあって劇場のある一角はパチンコ屋、ピンク映画館、酒場、風俗店などが入り組み、鉄鋼業華やかなりしころの脂ぎった活気をおもわずにはいられない。

劇場の入口には原色の派手な看板と、踊り子さんの大きなポスターが貼られ、呼び込みのかたが座っていた。
券売所でチケットを買って2階へ。階段には踊り子さんのポスターがところせましと貼られている。
2階のロビーにはうなぎの寝床のように椅子とテーブルがならび、無数の灰皿が置かれていた。煙がとどまりやすいのか目に染みる。

ロビーの奥にある古めかしい映画館のような扉の先に、ステージはあった。

場内は小さなライブハウスといったかんじ。

メインステージがあり、花道の先に盆(回転する円形の踊り場)がある。
ステージは低いが、座席に段差があり見やすい。最後列はかなり高く、鉄パイプの足置きがあった。
客席とステージも驚くほど近い。手を伸ばせば踊り子さんに届きそうだがもちろん禁止だし、そんな客はいない。

誤解をおそれずいうなら、ストリップは裸の女性が扇情的に踊るのを男性がたのしむイメージだろう。
否定しないが、内容は大きく変わった。

ストリップである以上、裸になるのは守りつつ、アイドルのライブのような演出やエアリアルなどのアクロバット、物語性に富んだステージなど、エンターテイメント性、メッセージ性が重視されている。

熱心な女性ファンもすくなくない。
ストリップにかぎらず、異性を相手にしているものが同性に認められるのは、すてきなことである。
ストリップがこのようになったのは日本の性風俗のしあわせな奇跡とおもうけれど、話が脱線した。

A級小倉劇場では「栗鳥巣」さんのステージにときめいた。

演目は「夏祭り」。
舞台に男物の浴衣を吊るして彼のイメージを作り、ステージははじまる。

彼と過ごす夏の夜のひととき。
花火をしたり、肩寄せあったり、そんな時間が進んでいく。

しかし、しあわせはつづかない。

その先の時間、すなわち彼へのおもいを栗鳥巣さんがかなしいまでにストリップにされ、息をのんだ。

劇中、彼からのプレゼントのピアスを栗鳥巣さんは、耳ではないどこかへつける。
彼へのおもいと官能を両立した奇跡的な瞬間で、いまでもドキドキしている。

物語を紡ぐ表現力、官能美を実現する鍛え上げられたからだ。
サブカルの豊富な知識に、軽妙な話術など栗鳥巣さんに魅了された一日になった。

すこしでも興味を持たれたかたは、いちどご覧いただけるとうれしいです。

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