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職場の中高年「元引きこもり」「双極性障害持ち」「鬱抜け&鬱再発抜け」対応

 ジジイが多い職場を指揮しているとき、とりわけ「あそこならポンコツを押し付けても大丈夫だろう」的な扱いをされることがあります。気のせいかもしれませんが、職歴は立派なのに何らかの理由で長期経歴に空白があったり、いい歳して大学院中退後勤務履歴が無かったり、見た瞬間「あっ」と察することが多いのです。

 作業の仕方を教えていて、呑み込みが早くて優秀なはずなのに、現場に出すと「上手くしゃべれません」とか「声がかけられません」などの話になる。定時の電話連絡をしようにも架電を取ってくれないので何かあったのかと現場に急行してみると引き続き作業はしており、なんで電話を取らなかったのかと聞くと「電話だから取れませんでした」という返答で「あっ」と察するわけです。

 別にそういうのって誰もが多かれ少なかれあることだから、仕方がないことだと思うんですよ。無理なものは、無理ですし。異常に繊細な人が本人に向けられたことではない些細なことで傷ついて会社に来なくなってしまって、後から事情が何となく伝わってきて「あっ」とか。

 立派な学歴、立派な職歴があっても新しい仕事では通用しないことはあり、それでも何とか働いて定着して欲しいから「こうなんですよ」と教導を続ける日々であります。

 なんでそういうのが(とりあえずは)可能なのかと聞かれるんですが、なんでですかね。性格かも。ただ、大きいかなと思うのはいろんな人を見てきて、一歩間違えば私もあちら側に堕ちていくことが容易に想像つくからなんだとは思います。

 で、一回通しで仕事を完結させてみると、自信がつくのか、あっという間にできるようになります。な、簡単だろ。その簡単な、ちょっとしたハードルをクリアした経験がないから、ポンコツであると思いこんだり、ポンコツだからできなくて仕方ないと諦めたり、ポンコツだから今日はもう帰るとか言いだしたりします。大変だ。

 でも、二か月して、だんだん時間通りやってこない人が出てきます。油断、でしょうか。馴れたころに、来なくなる。みんな、一度は経験する壁、あるあるですね。何で来ねえんだよ。電話すると出ない。たぶん、電話だから出ないのだ。仕方なく、会社で使うセキュリティ死んでるスマホからLINEで呼び出すと既読もつかない。また、ハードル低いのからやり直しか。

 そして、辞めていく。一言あって辞めていくのはまだいいほう。だいたいが、風のようにいなくなる。一通り仕事が完遂できて、肩叩き合って明日はまたよろしくって笑い合ってたのに。親御さんから後で電話があって自宅で嬉しそうにしてましたって報告があったのに。ふっといなくなる。

 そんで、戻ってくる。何事もなかったかのように。またやりたくなりました、今度はちゃんとやれると思うのでっていう。謝るでもなく、しかしバツが悪そうにそういうことになる。どうもクリーニング屋の仕事に移ったものの二週間もたなかったらしい。いいよ。もう一回やり直そう。

 私も私なりに頑張っている方だとは思いますが、ご厄介になりますとやってきて、一年以上継続できる割合はだいたい一割強ぐらいですかね。ほぼ全員、いなくなる。でもまあそれで仕方ないのだと思ってますよ。

 最近では「バ畜」っていうんですか。若い人のバイト先の苛烈さから、やりがいやスキル的伸びしろを求めてこっち界隈に来る人が増えてきました。高学歴無職から日本語が不自由な疾患持ちまで、いろんなタイプが来るんですが、振れ幅が大きすぎて、今度は事務の子が心をやられます。大変だ。コールセンター上がりでタフなタイプだと自分では言っていたのに、景色が違うと感じることも変わるよね。まあ分かる。うん。

 なもんで、全体的にほんとどうでも良くなってきました。かなり本音で「まあいいか」って言えちゃうぐらいに、なんでも良くなるんですよね。ストレスからの逃避かもしれないし、人格的な陶冶なのかもしれない。毎日毎日いろんなことがありすぎて、いちいち驚かなくなってくるのです。ああ、まあそういうこともあるねと。

 いかれている人もいっぱい来ますが、いわゆる普通の認知の歪みなのか、知能に課題を抱えてフル回転の結果でもその状況なのか、いまひとつ私には判断がつかないんですよ。パターンはかなり分かってきましたが、おおまかに「ちゃんと薬を飲んでいれば普通に反応できる人」は、能力と人柄を分けて対応すれば戦力になることは良く分かってきました。おかしくなってたら「今日はもういいので帰って薬飲んで寝てください」とマネージャーさんに言わせられるかどうか。

 そういうのが、40代から60代中盤ぐらいまでバラバラと入れ代わり立ち代わりやってきて雇っていると、これ、例えば10年後とか20年後とかお前らほんとどうなってるんだろうと心配になります。ウチの仕事だけじゃ食ってけないだろうし、しかし、そこまで他人の人生に土足で踏み込むほどの関係でもないし、まあなかなかむつかしいのです。

 そして、やつらは状況によって簡単に悲観して「死ぬ」っていうし、昔はワイもいちいち真に受けて警察呼んだり社員さんを自宅に向かわせたりしていたけど、最近では「落ち着けや」「薬飲め」「ゆっくりしろ」の魔法のワードで自律的な回復を促すようにしました。こっちの身も持ちませんし。

 最終的には万能薬「しょうがない」ですね。全部、しょうがない。

 私も世間一般では負けず劣らずポンコツの部類なのでしょうが、そういう中高年ポンコツでも、これをやらせたら凄いとか、目利きがかなりイケてるとか、途中まで作り上げるのは上手い(しかし完成はしない)とか、いろんな特性はあります。決定的に集団生活が駄目であることと、上にいる人間が太陽のような暖かく包み込む系か能力はこれだと割り切って付き合う系でしっかり見張っていればどうにかなるのかなぐらいじゃないですかね。

 画像はAIが考えた『荒れ果てた大地で何か成し遂げようとすると、意図せずいろんな問題が起きる図』なのですが、なんかいろいろとアレな感じが…。


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神から「お前もそろそろnoteぐらい駄文練習用に使え使え使え使え使え」と言われた気がしたので、のろのろと再始動する感じのアカウント