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ジャズピアノを通じて楽曲制作をはじめた理由

ジャズピアノを続けていると、音楽理論を学ぶ必要が出てきます。例えば、セッションでアドリブをしていると、アドリブの際の音運びや活用しているスケールが音楽理論的に適しているかが気になってくるからです。

私の場合、楽譜がほぼ読めないので、セッション中に暗譜したフレーズを再現するアドリブがほとんどできません。そのため、コードに沿った上で即興演奏することがメインとなってしまいます。しかし、即興演奏中の音運びが、楽曲内で進行しているコードに対してどのくらい理論的に沿っているのかは、即興演奏しているアドリブ時にはわかりません。気にする余裕がないからだと思います。

何年もそういった演奏を続けていると、根拠なくアドリブをとっていることに限界を感じてきました。コードや曲全体のキーに沿っているのだけど、演奏している実感としては「アドリブやバッキングにコード感が感じられない」という現象でした。

そして、その状態を解決しようとコードやスケールや音楽理論の勉強をしても、セッションのアドリブやバッキングに効果を感じることはできませんでした。アドリブにおいて「このコードでこう弾こう」と考えながら弾くことは、楽譜に書かれたフレーズを暗譜してセッションで再現するのと同じくらい難しかったからです。なにより、覚えたフレーズをセッションで再現するのは、うまくいったかいかないかが「再現できたかどうか」に左右されるので、充実感はあまり感じられませんでした。

そんなある日、ビル・エヴァンスを撮ったドキュメンタリー映画「ビル・エヴァンス タイム・リメンバード」という作品を映画館で観ました。

http://evans.movie.onlyhearts.co.jp/

セリフを正確に覚えていないのですが、ビル・エヴァンスは「ジャズのアドリブはその瞬間瞬間に紡ぎ出す作曲。クラシックの作曲は長い時間をかけた作曲。時間のとらえかたが違うだけで、どちらも同じ作曲。」というような感じのことを話していて、とても印象的でした。

アドリブにおける即興演奏はその特性上、二度と同じ演奏を再現することができないため、選択した音運びをふりかえったり自己解釈することが難しいです。しかし、ビル・エヴァンスが言うように、ジャズもクラシックも時間のとらえかたが違えど、同じ作曲であるならば、時間をかけた作曲をすることで、自分のジャズピアノの技術もなにかしらで打開につながるのではないかと思いました。

MacとLogicProを所有していて、かつ仕事で動画向けのループミュージックをたまに作っていたので、DTMに真剣にとりくんでみることにしました。楽譜の読み書きができない自分にとって、DTMはコードの知識も活用できるので、とても馴染みがありました。

日常的にLogicProを触り、自分のための作曲をするようになると、ピアノの演奏にも大きな効果が出てきました。

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