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【Web記事】発注側があぐらを書く時代は終わった

10年ほど前。
Googleの検索エンジンがまだ未熟で、どんな記事でも記事を作れば作るほどお金になった時代がある。

記事の品質なんて関係なく、中身空っぽの記事でも、情報が間違っていても関係ない。日本語的に間違っていても問題は無い。

Webライターという職業の敷居がもっとも低い時代で、これまで文筆業に携わったことのなかった学生や在宅層でも、ライターになることができた。

この時代は圧倒的に、発注する側(出版社やWebメディア)がライターより優位にいた。

記事の品質なんて関係ないので、文字単価1円以下でもライターは殺到する。むしろ文字単価で1円払ってくれたら優良なメディアとさえ言われた。

1つの案件にライターが20人30人集まってくるなんてザラだった。

ライターは選び放題。

故に、発注する側(出版社やWebメディア)にライターは逆らえない。
制作時間が短くても、報酬が安くても、パワハラまがいの言動が飛び出しても、ライターが次々に応募してくる。

ライターとしては、仕事を打ち切られないように発注者の機嫌を取ることが大事だった。(もちろん、そうでない出版社やメディアも多くあったことは記しておく)

――と、そんな完全発注者優位の時代は、とっくの昔に終わっている。

Googleの検索エンジンの性能は格段に向上し、記事の品質担保や信頼性が重要になってきている。SNSや動画が、SEO記事よりも収益を上げられるようになってきている。

専門家の監修、知見のあるライターの執筆、メディア全体の戦略設計などをして初めて、成果が出る。

かつてのように、「作れば儲かる」時代では無い。
ライターにもある程度の専門性とスキルが求められる。

そんな専門性とスキルを持ったライターは、圧倒的に少ないのだ。「ライター」を名乗る人は多く居るが、専門性や一定以上の日本語能力を持ったライター、取材ライター、マーケティングのスキルを持ったライターなどは、ごく少数だ。

そのライターを、発注する側は確保しておくことが重要になっている。

そのためには、昔のようにライターを冷遇していたのでは無理だ。そのような扱いを受けたとき、ライターはさっさと見切りを付けて、別の発注者の元に行ってしまうだろう。

とはいえ、別にライターとしては、こびへつらえとか、高級PCをよこせとか、肩を揉めとは要求しない。

良い仕事をしていくために、お互いを尊重し、適切な段取りで進めて欲しい。

良い記事を書くために、仕事をする者と請ける物として対等な関係を築き、最低限の礼儀を持って接して欲しい。

それだけだ。

とはいえ、時代に逆行するように、未だにライターを初めとした仕事相手に対し、失礼な態度をとり続ける発注者が存在する。

ライターの皆様には、考えて欲しい。

多くの仕事がある中で、そうした横柄な態度を取る発注者と付き合い続ける価値があるのか。

発注者の方々にも、ぜひ考えて欲しい。

その態度を継続していく中で、本当に良いものが作れるのかを。

発注者とライターが互いを尊重し、お互いが良い記事を作るためにできることをする。それができて初めて、いま求められている品質の記事が仕上げられるのではないか。

世の中が、そう変わっただけの話である。


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