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職場の子との約束

私と同じ時期に入社してきた子と、ある約束を交わした。

私が仕事を辞めて、タワマンに住めるくらい稼げるようになったら叙々苑おごってあげる、と。

彼女は、幼き頃、おばけが見えていたという体質の持ち主。

職場におばけの気配を感じるらしい。

私がビビリ倒していたからだろう。

彼女と2人勤務だった時、

彼女は早番で、私は遅番だった。

彼女は早く帰れるのに、私の遅番が終わるまで待っていてくれたのだ。

なんて心優しい子だ。

本当は一人で職場に残るのが怖かった。

いい大人が、

「おばけが怖いから待っててくれない?」

なんて言えるわけがない。

それを察してか、私が泣きべそをかかずとも、彼女は私を待ってくれていたのだ。

この恩は必ず返さなければ。

そう決めたのだ。

それが叙々苑の焼肉をおごるという約束。

上京して7年経ったが、叙々苑に行ったことはない。

どうやらそこそこ値段がするらしいじゃないか。

だがそんなことは関係ない。

早く帰りたかっただろうに、私のために遅くまで残ってくれていたのだから。

おばけから私を守ってくれたのだから。

あとは、タワマンに住むくらいの稼ぎがあるのが条件。

まずはそこをクリアしなければならない。


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