習慣を変える

 在宅ワークを行うために必要な事はなにか。それは昔ながらの習慣を変えるという事である。

 習慣と言えば私たちが当たり前に身につけている、あるいは当たり前だと思っているいくつかの常識でもある。

 常識を疑ってみると言えばもう使い古された言葉かもしれない。しかし、常識とは意外と根深いものであり、私たちの日常的な行動を大きく規定している。

 代表的な例をいくつかあげてみよう。決まった時間に職場に行く、重要な文章には印鑑が必要、学校の卒業式は3月で進学や就職は4月、そして新年度という区分。などである。

 これは私たちの社会を構成する基本的な時間感覚であり、もっとも当たり前だと思っている大前提である。

 では、今、一体社会で何が起こっているだろう。ウイルスという見えない存在に肉体が侵されているかもしれない人や人。結果的に社会は否応なしに人の行動様式の変革を求めなければならなくなる。

 では、本当に行動様式の変革実践はおこなわれているのか。私はまだ、実に中途半端で曖昧な状態だと考えている。なぜか、それは私たちの行動がまだ常識の範疇に留まっているからであろう。

 行動様式の強制的変革を受入れる準備は出来ているものの、根本的な常識が私たちの行動の足かせとなっている。

 例えば決まった時間に職場に行く必要があるのだろうか、テクノロジーでそれを変える事はできないだろうか。また、本当に印鑑は必要な承認手段なのだろうか。議案と承認の関係をテクノロジーでサポートできないか。学校は3月に卒業して4月に進学や入学を行わなければならないのか。卒業に必要な単位があればいつ卒業して同じなのではないか、そして、いつから働こうが人生における時間の連続性に支障をきたすわけでも無いだろう。そこにテクノロジーの関与は十分に可能なはずだ。

 私たちは行動を変えることは出来ても、その行動の前提となる常識の上で行動を修正している。だから行動の変革に限界を感じるのである。もっと、根本の、より深層の部分で変革を行わなければならないのでは無いか。

 もし、今のままで良いなら、人と人の物理的交流を抑制しなければならない今の状況が過ぎ去るまで待てば良い。しかし、もし本当に変革しないと生存できないとの危機感があるのであれば、その大前提である「常に持っている知識」を変えなければならないであろう。そして、今がそれを行うめったに無い良い機会かもしれない。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?