マルタ→家→図書館

入り口開けると
我が家の匂いがする。この木の香りが落ち着く。

マルタは木の中に住んでいるのだ。
全部で4着ある洋服のポケットを全部漁ってみた。

4着目のズボンの右のポケットだった。
くしゃくしゃに丸めた
レインメーカーが出てきた。

「あったーーーー!!!!!」
マルタは叫んだ。
マルタの声が木の中でこだまする。

星の形の模様がついた
虹色のレインメーカー。
くしゃくしゃにしても破れない柔らかい素材でできている。どちらかというとふわふわだ。

だからこそ、ポケットに入れて
マルタはいつも触っていたくなる。
もちろん、間違えて雨を降らせてしまったことも
ある。

マルタは雨が好きだから
嬉しいけれど、
雨が嫌いな人って多くて、
みんな悲しい顔をするのが
マルタにとっては不思議だ。

どうして?
わたしは雨がスキ。

色んな音がするし、
色んな色に見えるし、
色んなものをうつすし、
虹も出る。

こんなに素敵なことってある?

みんな雨の魅力に気づいていないだけなのかもしれない

マルタはそう思ったと同時に、ハッとした。
ついつい、ふわふわのレインメーカーを触りながら
雨のことを考えると時を忘れてしまう。

「これ、キリトに返さなくちゃ!」

マルタは急いで図書館へ向かった。


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