美しき繊細模様 パーチメントクラフトの世界
今回は、2023年12月に自宅のアトリエを開放して開催された「優しい手仕事展」や2024年2月に姉妹都市交流会館で東海村国際交流協会が開催した「パーチメントクラフトサロン」で講師をされた高橋 由子(たかはし・ゆうこ)さんを取材しました。ご主人の研(けん)さんも芸術作品の制作を趣味にしており、おふたりそろったところでお話しを伺ってきました。
高橋さんのプロフィール
東京都小平市生まれ
短大卒業後、デザインを勉強し、主婦の友社図案部に入社。7年間勤務。
ご主人の仕事の関係で茨城に移住
そもそも、パーチメントクラフトとは
パーチメントクラフトは、ヨーロッパの伝統工芸で、日本では他のクラフトアートに比べるとまだ日が浅いため、知名度は低いようですが、その美しさに魅せられる人が年々増え続けているとのことです。
主に「白」で表現される繊細で清楚、レースと身紛うほどの美しさ。その魅力は日本人の感性にピッタリ合うようです。
【パーチメントクラフトのレシピ】
〇材料 パーチメントクラフト紙
〇手順 ①図案を描く
②図案をクラフト紙に写し取る
③エンボスペンで裏側からこすって押し出す
④特殊な針を使って孔をあける
⑤専用のハサミを使って形を切り取る
高橋さんは、同様のアート(技芸)作品として、メタルエンボッシングの制作も行っています。メタルエンボッシングは、錫のシートにペンのような専用の道具を使い、表面に凹凸を施して、美しい模様を作り上げていくもので、不思議な光沢と輝きを見せてくれます。パーチメントクラフトと同様、ヨーロッパ発祥の伝統工芸です。
パーチメントクラフトに出逢ったきっかけ
『友達から見せてもらったパーチメントクラフトで作られたグリーティングカードがパーチメントとの初めての出逢いです。レースの繊細さを手軽に表現できる楽しさに魅せられました。実際にやってみると意外に簡単で、空いてる時間があればすぐに楽しめることが続いている要因です』とお話ししてくれました。
これまでの具体的活動内容は
自宅を開放して教室を開きましたが、友人・知人のご協力もあり、水戸市やひたちなか市からも生徒さんが来てくれました。多い時には、20人ほどの規模になった時もありました。
最近は友だちやご近所の方々を対象にサロン的な教室を開催していて、楽しむことをメインに取り組んでいます。
なお、教室の名前は「クラフトサロンDidier」で、活動内容や作品紹介などをホームページで積極的に公開していますので、ぜひご覧ください。因みにDidierはフランス語です。
作品展などの実績とその評価は
これまで、原電テラパーク、アイヴィル(旧リコッテイ)等の村内での作品展開催はもちろん、近隣市町村(ギャラリーサザ等)や、東京・軽井沢・横浜等で開催されたグループ展にも出品するなど、精力的にご活躍されています。
最近の活動としては
▽2022年11月 歴史と未来の交流館でパーチメントクラフトワークショップを開催
▽2023年12月 自宅アトリエを開放し「優しい手仕事展」を開催し一般公開
▽2024年02月 姉妹都市交流会館で国際交流協会主催の「パーチメントクラフトサロン」
で講師を担当
日本での歴史がまだまだ浅いこともあり、他の技芸美術に比べると認知度が低いのかもしれませんが、東京、横浜、名古屋等の大都市圏では、多くの愛好者がおり、作品も高い評価を得ているようです。
なお、2022年10月に東京都美術館で開催された「現代手工芸展」に出品し、審査員長賞を受賞したとのことです。おめでとうございます。
今後の抱負は
いろいろな方の協力もあり、村内や近隣市町村でアート作品を見てもらう、体験してもらう機会が少しずつ増えてきています。このまま認知度も高まっていったらうれしいです。少しでも興味のある方にはいつでも教えますので、ぜひ声をかけてもらえばと思います。
なお、今年(2024年)の5月には、日立市で作品展を開催する予定です。ぜひ足を運んでいただければうれしいです。
取材を通して
世の中には絵画・写真・彫刻・書道・陶芸など多くの芸術があり、パーチメントクラフトやメタルエンボッシングは確かにまだ歴史が浅く、認知度が低いのかもしれません。しかし、その繊細さや美しさは見ていると吸い込まれてしまいそうなほどです。高橋さんのように自宅を開放して作品展を行うことは、そこに想いがあればこそできることで、誰にでもできることではないと思いました。
今回の取材を通して、東海村にはこんな素晴らしい芸術家がいるんだということを知ってもらえれば取材者としてうれしいです。
なお、ご主人の研さんも、由子さん同様芸術愛好家です。
研さんは、ヨーロッパの伝統工芸であるグラスリッツェン(先端にダイヤモンドの付いた専用のペンで、ガラスの表面に細かい線や点などを彫刻する技法)による作品を数々制作しており、次の機会ではじっくりお話しを伺いたいなと思っております。今回は参考までに研さんの作品の一部を紹介します。
▼取材・執筆・撮影担当者
田中克朋/取材・執筆・撮影
秋田県鳥海山の麓に生まれ、就職を機に茨城県へ。東海村には50年近く在住。会社員時代にタイ王国へ出張も含めて通算8年ほど駐在し、現在も現地の人たちと交流をしている。趣味は写真をベースにインスタグラム等のSNSで村内の風景を発信すること。「T-project/東海村スマホクリエイターズLab.」では若い世代に教わりながら楽しんでいます。
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