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本文内容の推測からリスニング(新課への導入)

新しい課への導入、どのようにしていますか。
中高の多くの授業で、oral introductionあるいはoral interactionによる題材の導入を行っていると思います。その後はどうでしょうか。いきなり本文を読ませますか。

今回は、oral introduction/interactionの次の活動として、本文内容の推測からリスニングへと繋げていく授業展開について共有します。

本文内容の推測

生徒に本文内容を推測させることで、彼らの予備知識を活性化させ、学びへの動機付けや背景知識の活用を促すことができます。題材の導入を終えたら、個人やグループで本文中にどんなことが書かれていそうかを推測して書きだすように指示します。

しばらく時間を取った後、個々の生徒あるいは各グループから推測した内容を報告してもらいます。報告してもらった事柄を板書していきます。この時点でのやり取りは日本語でいいと思っています。これから学ぶ内容ですから、まだそれを語る語彙が身についていないことが前提です。英語力・語彙力という蓋をいったん外し、純粋に題材について知っていること、知りたいことを考える時間と割り切って、日本語でのやり取りとします。

(例)推測した内容について報告された事柄を板書

本文全体のリスニングと概要把握

推測した内容を板書したら、その課の本文全体の音声を一度聞かせます。聞かせる際に、板書した内容が本文中に出てくるかを探しながら聞くように指示します。これにより、聞くことに対する目的が生じます

板書した事柄を各自のノートに書かせて、聞きながら〇をつけさせるのも一つの手ですが、わざわざそのためだけに板書内容を写させるのももったいない。お勧めは、板書された事柄に言及があったら黒板上のその記述を指さすというやり方です。聞いている間に生徒全員の顔が前を向いてみんなが参加している雰囲気になりますし、周りが指を指せば「確かに今そんなこと言ってたかも」のように聞き取りが苦手な生徒にもヒントになります。生徒たちが指を指したら、教師がうなずいたりしながら黒板上に印をつけます。

(例)推測した内容に言及があったら〇を

まとめ

このような形で「本文内容の推測」→「話題への言及の有無を認識」という流れで導入を行うことには、以下のようなメリットが考えられます。

  • 内容を推測することで、新しい課の題材に関する背景知識を活性化させることができる。

  • 新課のはじめの段階に、言語面でなく内容面を前面に押し出して生徒の関心を引きつけることができる。

  • 本文との最初の接触をリスニングを通して行うことができ、「まずは耳から」の実践となる。

  • 初回のリスニングに対して、「話題への言及の有無を認識する」という明確な目的を与えて取り組むことができる。

この活動の後には、板書されている事柄を利用して、「今度は字面で確認してみよう」のようにリーディング活動に移行することもできます。あるいは、板書を利用して、本文理解のカギとなる語句の導入へとつなげることもできます。

大がかりな事前準備も要らず、生徒側にも負担無く取り入れることができる導入活動だと思います。参考になれば幸いです。

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