見出し画像

Don't Teach English from the Teacher's Platform! 「英語は教壇で教えるな!」

日本語では教職に就くことを「教壇に立つ」といいます。恥ずかしながらこの投稿を書くにあたって、教壇を英語で"platform"と言うことを初めて知りました。

正直、教壇というものが、あまり好きではありません。教師が立っているところが生徒よりも1段高く、教師と生徒間の上下関係を表しているようで嫌なのです。

以前、自分の担任するホームルーム教室の教壇を撤去してみました。すると、黒板の上部に手が届かない先生や生徒が現れ、ようやく教壇の意味を実感することになりました。確かに、黒板が低い位置にあったら、教室の後の方の生徒たちは前方の生徒の頭越しに黒板を見ることができないでしょう。黒板がすべての生徒に見やすいようにある程度の高さを保つために、教壇は必要だったのです。

必要性は分かりましたが、それでもやはり教壇は好きにはなれません。私は授業中、できる限り教壇から降りることを意識しています。教師が教壇を降りる場面やそのメリットを考えてみます。

教壇を降りて授業をするメリット

まず、机間巡視のメリットはわざわざ語るまでもありません。教師の机間巡視により生徒の集中を高めることができ、必要に応じて個別のサポートを提供することが可能になります。生徒が抱える問題や疑問に対して、タイムリーかつ直接的に対応できるため、学習効果は大きく向上しますし、生徒の様子を直接見ることでより適切な評価にもつながります。

教壇を降りて生徒の近くにいると、生徒のちょっとしたつぶやきも聞き逃さずに拾うことが可能になります。生徒の反応に合わせて授業内容を調整したり、生徒がより積極的に授業に参加するのを促すことができます。

生徒の発言を引き出してファシリテーターの役割に徹することもあります。そんな時にもやはり教師は教壇から降りて、生徒とできるだけ近い目線でファシリテーションに徹するのが有効です。教師が一段高いところで教室をコントロールしているというイメージを取り払い、生徒主体のディスカッションを引き出すことができます。

よく、研究授業などで授業を分析する際に、教師と生徒の発話量の割合であったり、教師の発話の日本語と英語の割合を分析することがあると思います。私は、それと同じように、教師が教壇上にいる時間の割合を分析するのも有意義ではないかと思っています。

実際、私は自分の授業を振り返るとき、自分がどれくらい教壇にいたか、どれくらい教壇を降りることができたかを振り返るようにしています。あまり良い授業にならなかったと感じるときは、ほとんど50分ずっと教壇に留まってしまった授業であることが多いです。反対に、手応えのある授業では、授業時間中にほとんど自分が教壇にいなかったということもあります。

そんなわけで、授業の計画を立てるときにも、教師ができるだけ教壇にいないで済むような計画にしたいと思っています。それが「良い授業」の一つの指標になると考えているからです。

教壇を降りて授業を進める方法

では、どうしたら教師が教壇にいる時間を減らすことができるでしょうか。自明のことではありますが、以下のような方法が考えられます。

1. ペアワーク・グループワーク

ペアワーク・グループワークの活動を多く取り入れることで、教師が教壇から話をしている時間を減らすことができます。私は、必ずしも「活動」でなくとも、ちょっとしたことでも「隣の人と話してみよう」/ "Talk with your neighbors." と言って生徒が発話する機会を授業中に数多く設けるようにしています。

2. 講義内容の精選

講義形式で教師が教える内容を精選して、できるだけ短時間の説明で済むように心がけます。ヒントや考え方だけ簡潔に示し、生徒同士で説明し合う機会を設けてもいいでしょう。教師が一方的に解説として話す時間は、長くても10分までを目安としています。

3. 生徒に登壇させる

授業内容にもよりますが、生徒を教壇に上げて発表させたり説明させることが有益なこともあります。こうした状況をできるだけ作り出せるような授業計画をしたいものです。

4. 教壇から降りて話す

最後に、仮に講義のように教師が説明するにしても、教壇上からではなく机間を回りながら話してみてはどうでしょうか。板書はできませんが、パワーポイントのスライド程度であれば遠隔操作をしながら話すことができます。

理想としてはタブレットをスクリーンに無線でつなぎ、携帯して机間を歩きながら遠隔でスライドを操作して授業を進めたいものですが、ワイヤレスHDMIで検索すると現状では15,000円くらいするようで、簡単には手が出せません。タブレットをワイヤレスでスクリーンに投影する方法が他にありましたら是非教えてください。

パワーポイントのスライドであれば、ワイヤレスレーザーポインターやプレゼンターと呼ばれるもので事足りますが、デジタル教科書などを遠隔で操作したい場合、マウス操作を遠隔でする必要があります。私は「リングマウス」と呼ばれるものを持っています。操作性がもの凄く良いわけではないので、たまにしか使っていませんが…。

Don't Teach from the Platform! 

もちろんのことですが、講義自体を否定するものではありません。短時間で効果的・効率的に学習内容を伝達するには、講義は不可欠なものです。短時間の講義を行う際であれば、視認性や存在感の観点から、教師は教壇の上から授業を行うべきでしょう。

しかし、一方通行の講義式伝達は中高の英語授業において最低限に留めておきたいものです。それはつまり、教師が教壇にいる時間を最小限にしようということです。

Don’t study English at your desk all the time! 「英語は机で勉強するな!」 これは安河内哲也氏の言葉ですが、これを教師版に言い換えるなら、

Don't teach English from the platform all the time!
「英語は教壇で教えるな!」
ですね。

この記事が参加している募集

仕事について話そう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?