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心にうつりゆくよしなしごとを

「残ったお味噌汁は明日の朝に食べようか」
という私に、
「明日はお雑煮を作るから、今日の分は今夜に食べてしまおう」
と母は言った。

そうか。いつもと同じように“あした”がくるけれど、あしたはもう新年なんだ。そう思って不思議な気持ちになった。

ふと、去年の今頃の事を考える。
去年の今日は本当にくるしい状況だった。詳しいことは省くけれど、月明かりさえない真っ暗な海に、独り投げ出され、もがいているような感じだった。先のことが全くわからない。金銭的な心配もある。親も兄弟も友人も頼れない。もう生きることをやめたかった。今でもその時のことを考えると気持ちが重く、窮屈になってしまう。
しかし、去年あれほど毎日泣いていたにも関わらず、現在のわたしは「今年はここ数年で一番、幸せな年だった」などと惚けている。実に人間らしいと思う。

でも、本当にしあわせな一年だった。

ここ数年ずっと心を重くしていた状況が改善し、上手くいかなかった過去に、いくらかは胸を晴れるようになった。社会的に不自然でないということの大きさを痛感した。信じられないほど素敵な恋人にも出会えた。自分のことを特別に、ことさら大事に思ってくれる(そしてそれを伝えてくれる)人がいるというのは、こんなに心強いものなのだと知った。まるで心にずっとオレンジ色のろうそくが灯っているような安心感。そういうのをこの歳になってはじめて知った。

時間は進んでゆくから

状況が改善されたといっても、相変わらず周りの人にたくさん、たくさん支えられている。わたし一人の力だけで生きていくと考えると、途端に背筋が寒くなる。決して高くはないお給料。近いうちに恩返しできるように、もっと力をつけよう。完璧は目指さず、一歩一歩。今年手に入れた“曖昧なことを受け入れる力”。これを使って、波乗りするように生きて行こう。

あした大きな地震が起こるかもしれない。恋人との別れがくるかもしれない。職を失うかもしれない。憲法が変わって日本が戦争をするかもしれない。先のことはわからないし、考え始めると不安になる。時間は進んでいくから幸せな今に留まってはいられない。けれど、わたしは今とても幸せだ。多分、それが大事だ。未来のことを考えることと同じくらい大事なんだ。

タイトル通りの内容になっちゃったな。
どうか、心細い思いをしている人が、今夜ひとときだけでも心安らかに過ごせますように。良いお年を。

最後まで読んで下さっただけで、充分嬉しいです。 ありがとうございます♡