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延命治療の事

クロイツフェルト・ヤコブ病で入院中の主人の病院から、
「24時間の持続点滴に入るので、了承の為のサインが欲しい」と言われて、書類を取りに行った。
他にも、『今後の治療方針についての御家族の考え』みたいな書類も渡された。

つまるところ、延命治療をどこまで行うか、どういう治療を望んでいるか、という話だ。
点滴で栄養を送り込む治療の他、鼻から栄養を入れる『経鼻経管栄養』や、
胃に直接入れる『胃ろう』などについて。行うか、どうかの確認。


本当にありがたい事には、これについては主人は明言してくれていた。

「延命は点滴まで。それ以外の事はいらない」

だから、本人の希望通りにしてもらう事にした。

もし、本人から何も聞いていなかったら、私達家族はどんな選択が出来ただろう。
「もしも」の時の為に、自分ならどうして欲しいのか、伝えておく事は本当に大切だと思った。
残される家族だけで決断を背負わすには重過ぎる事もあるだろうし、
幸いうちの場合は無かったけれど、外野から誰かが口を出さないとも限らない。

書類の最後に、家族のサインと印鑑を押す欄があった。
私と息子と娘、3人で書いた。
ひとつひとつ、みんなで確認した。

面白かったのが、テーブルを囲んで真剣に3人で話している時、愛猫の黄菜子がずっと近くに来て「きをつけ」で座ってみんなを見上げていた事。

何故だろう。
どうでも良い話の時には全然気にもせず、そのへんで寝っ転がっているのに、大事な話をしていると、必ずと言っていいほど近くにいる。
そしてちゃんと聞いている(ように見える)。
ちゃんと家族をしている。

「黄菜ちゃんもサインする?」誰となく言いだして、重かった空気が和んだ。


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