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婦人的生活手引

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乙女視点の生活読本
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2016年2月の記事一覧

美への最短距離

シセイドウという言葉を聞くと、無条件に美しい女性を思い浮かべてしまう。手入れの行き届いた、それでいて少しも過剰では無く、生まれた時から今に至るまでずっと麗しかったのだろうなと思わずにいられないような美女を。 時代や流行に流されず、それでいて今っぽくて、クラシックとモダンを両立しているような洗練された美人。 面白いなと思うのは、私が観察して来たかぎり、どうやら「資生堂」や「花椿」という言葉からとびきりの美女を連想するのは、老若男女を問わず多くの人に当てはまると言えそうだとい

気粧の年頃

十代二十代の頃と比べて、私のお化粧はうんと薄くなった。 ファンデーションは使わなくなったし、マスカラを幾重にも塗ることも、アイシャドウで凝ったグラデーションを作ることもしなくなった。 あの頃大人は言った。「若いうちはお化粧なんてしなくて良いのに」と。今となっては全くその通りだと思う、肌の肌理もはりも今とは比べものにならない程に状態が良く、瑞々しく、潤っていた。皺一つなく、そのままの姿で十分に輝いていただろう。 それでもあの頃お化粧をすることが愉しくて堪らなかったことは事