来訪者43

マミが高校の同窓会に行って戻ってきた
みんなほとんど進学しているから
ギリギリまで参加するかどうか迷っていた
「もうほとんど会うことないし
完全に縁切ってもいいんだけど」
それでも今までの自分があったから
無いことにはしたくないと言ったマミ
友達のひとりにレズビアンのこと話したという
ひとりに話せばみんなに話したのと同じだって
たしかに・・・
「すっきりしたよ」って口では言ってるけど
いつものマミの声じゃない 上ずっている
がんばったんだね マミ
マミはずっと変わらず優しくて強い

「友達の間だけでもラクになったのなら嬉しい」
私の言葉に
「じっさいは性的指向がどうこうより
高卒水商売ってことのほうに引いてた
そっちの偏見のほうが大きいかも
だから同窓会出たからって
今後も気楽に付き合えるかどうかは相手しだい」
って笑ってた 笑ってはいたけど
マミが苦しんでいるのを見るのはつらい
家族に伝えるのはまだ先かな
気持ちが整うまで何年かかってもいいと思う
今日は3人揃った夕食なので焼肉にした

クラがホットプレートから
食べ頃の肉を私の皿に入れてくれる
「牛肉だからちょっとくらい生焼けでもいいから
なるべく何でも自分でさせて」
クラが私を甘やかすので
ときどきマミから注意されている
いつでも私の先生
こんな幸せがずっと続きますように

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