見出し画像

中学2年「アイヌの歌を歌いたい」【希望と勇気、克己と強い意志】の指導案はこうする!

こんにちは。
今日は
中学2年「アイヌの歌を歌いたい」【希望と勇気、克己と強い意志】の指導案はこうする!
このテーマで教材解説をします。

希望をもつ。
勇気がわいてくる。
努力は裏切らない。
などなど、
今日の内容項目を扱った
名言は世の中にたくさんあります。
ということは、
そこに道徳的要素がたくさん詰まっている!
ということですね。
でも、
希望と勇気の関係って?
努力と強い意志はどうちがう?
と聞かれると、
改めて考えたことはないので、
「うーん・・・」となると思います。
今日は、「希望と勇気、克己と強い意志」について
じっくり考えていきましょう!

では、解説です!

1 教材について
2 内容項目と教材
3 導入
4 発問
5 まとめ

順番に解説します。


1 教材について

A 主として自分自身に関すること
「希望と勇気、克己と強い意志」
目標・・・・・より高い目標を設定し、その達成を目指し、希望と勇気をもち、困難や失敗を乗り越えて着実にやり遂げること。

「アイヌの歌を歌いたい」(光村図書)
アイヌ文化を伝承する活動を行っている川上容子さん。

アイヌ民謡を歌うようになったのは、大人になってから。

川上さんの母親がアイヌ文化を伝承する活動を行っていたが、こどものころは特別興味があったわけではない。

歌手として活動をはじめた20歳ごろ、アイヌの音楽家のCDを聴いた。
ちょうど、祖母を亡くしたばかりの頃。それは、祖母の声によく似ていた。

30歳のころ、先輩のバンドから「アイヌの歌」を歌ってよと声をかけられた。

見よう見まねで歌ったが、アイヌ文化を伝承する団体の踊りや歌と比べると、とても人前で披露できるような歌ではなかった。

川上さんは、本格的にアイヌ民謡を練習した。

今では、各地のイベントやライブに出演するときに、アイヌ語講座で講座を務めるようにもなった。

川上さんは、誰もが見にこられるようなライブをしたいと考えている。

2 内容項目と教材

これはそれぞれ前半と後半でペアを作って理解しましょう。
つまり、「希望と勇気」で1セット、「克己と強い意志」で1セットです。

まずは「希望と勇気」について解説します。
人が希望をもつ時というのは、どんな時でしょうか。
☆プロ野球選手になりたい
☆いつまでも元気に生きたい

などが、希望の例としてあげられます。

では、勇気をもつ時というのはどんな時でしょうか。
☆勇気を出して好きな人に声をかける。
☆勇気を出して試験に挑戦する。

つまり勇気とは、
何かしらの目標に向かう強い気持ちと言えます。

勇気はゴールがあるから発揮できるのです。
そのゴール地点や付近のことを、希望と呼ぶのです。

希望があるから勇気がでる。
希望のない勇気は、ただなりふりかまわず勢いで行動しているだけです。
それは、道徳的価値が高い行動とは言えません。

続いて、「克己と強い意志」です。
これは「希望と勇気」によく似ています。
努力をしている時はたいてい、
目標に向かって頑張っていることのことを指すはずです。

時々、このような言葉を聞きます。
「あの人は努力家だ。」
仮にその人が努力家だったとしましょう。

それはいつの時点でそう言えるのでしょうか。
1回の頑張り? 1週間続けたら努力家?

「いやいや、1年は最低続けないと,努力したとは言えないでしょ。」
と言う人もいるでしょう。

努力の内容によりますので一概には言えませんが、共通しているのは、
『短い期間だけ頑張っても、それは「努力」をしているとは言えない。』
ということです。

努力とは長い期間頑張ることを指します。
その長い期間、気持ちが折れることなく、
頑張り続けることができたのはなぜでしょうか。

自分自身が「目標を絶対に達成するぞ。」と思っていたからでしょう。
つまり、努力とは強い意志によって支えられるものなのです。

このように、「希望と勇気」、「努力と強い意志」はそれぞれ1セットなのです。

教材研究では、
①「希望と勇気」か「努力と強い意志」か、どちらが重点の教材か見極める。
②仮に「希望と勇気」だとしたら、
『希望』はどの人のどの心か、『勇気』はどの人のどの心なのかを考える。
(※「努力と強い意志」でも同じ)
③『希望』『勇気』それぞれについて発問を考える。

という流れに沿って行うと、本質を捉えた授業ができます。


では、今回の教材「アイヌの歌を歌いたい」はどうでしょうか。
これは「克己と強い意志」が重点で間違いなさそうですね。


川上さんは長い間努力をしました。
誰が見ても、「一時期の努力」ではなく、「長い時間の努力」でしょう。
そしてその努力を支えるのは、
「アイヌの歌を歌う」という強い意志なのです。

川上さんは、何度もくじけそうになっています。

・母親から認められなかった。
・アイヌの歌の楽譜がなかった。
・アイヌの歌を独学で学ぶしかなかった。

こういった苦労を聞くと、
一人の人間として本当に頭が下がりますよね。

この教材は川上さんにだけ焦点を当てて書かれていますが、視点を変えて見ると、また新しい気付きが生まれます。

・川上さんの歌を聴いた人
・川上さんのお母さん
・川上さんのおばあちゃん

視点を変えて、これらの人が「川上さんになんというだろう。」という発問は、思考の幅が広がりそうですね。

「視点を限定しない」は授業展開と発問を考える上で基本中の基本です!
『発問の視点は1つに絞りなさい』と指導する人がいたら、
それは古い道徳ですので、無視して構いません。

このような遠い存在の人の作品は、
とにかく自分事として考えることが難しいです。
遠いところの遠い世界の、すごい人の出来事だ
という思いから抜け出せないことが、いつも課題としてあがります。

それを防ぐために、教科書に書かれていないことを考えたり、
批判的な思考を促したりする、という方法があります。
いずれも、発問によって促せます。

視点を変えたり、当たり前をひっくり返す発問で、
子どもの思考を活性化させていきましょう!

3 導入

ここから先は

1,761字

¥ 1,000

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?