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3年「スーパーパティシエ物語」【希望と勇気】の指導案はこうする!

こんにちは。
今日は『3年「スーパーパティシエ物語」【希望と勇気】の指導案はこうする!』
このテーマで教材解説をします。


希望をもつ。
勇気がわいてくる。
努力は裏切らない。
などなど、
今日の内容項目を扱った
名言は世の中にたくさんあります。

ということは、
そこに道徳的要素がたくさん詰まっている!
ということですね。

でも、
希望と勇気の関係って?
努力と強い意志はどうちがう?
と聞かれると、
改めて考えたことはないので、
「うーん・・・」となると思います。

今日は、「希望と勇気、努力と強い意志」について
じっくり考えていきましょう!

では、解説です!

1 教材について
2 内容項目と教材
3 導入
4 発問
5 まとめ

順番に解説します。

1 教材について

A 主として自分自身に関すること
「希望と勇気、努力と強い意志」
3・4年の目標・・・・
自分でやろうと決めた目標に向かって、強い意志をもち、粘り強くやり抜くこと。

3年生「スーパーパティシエ物語」(光村図書)

あらすじ
パティシエの辻口博啓(ヒロ)さんは、子供の頃からパティシエになる夢をもっていた。
ケーキのアイディアや、開きたいお店の設計図をノートに何冊も書いていった。

高校を卒業して、パティスリーで働くが最初はそうじや皿洗い、荷物運びや道具あらいばかり。でも、ヒロは3倍のスピードで仕事ができるようにあろうと決めてがんばった。

29才のときに出場した世界大会。8時間もの間アメ細工の制作に取り組み、見事優勝した。

30才で自分のお店を開いたとき、ヒロはこう言った。
「自分がどんな人間か分からなくなったら、小学3年生のときのことを思い出してみればいい。そこには、自分の夢のスタートがあるんだ。」

2 内容項目と教材

辻口さん(ヒロ)は、最後まであきらめず努力し、
その結果、世界一になることができました。

この内容項目とこの教材だと
「最後まであきらめないことが素晴らしい」
という美談を教えることになります。

もちろん、このことは大切な価値ですし、否定はしません。
しかし、「最後まであきらめない」ことは大切ではない、
と思っている子はいるのでしょうか?

「あきらめないことは大切」という道徳的な価値は、
わざわざこの教材で45分を使って考えなくても、
子どもは知っていることではないでしょうか?

そうなると、文科省が懸念する「分かりきったことを聞く授業」
になってしまう可能性が高いですね。

では、どうすればいいのでしょうか?

「努力をすれば、必ず成果が出る」
このことが学校では正しいこととして
教えられますが、果たして本当にそうか?という前提に立ちます。

野球をやっている子は、みんな頑張れば
イチロー選手のようになれるのでしょうか?

サッカーをやっている子は、
クリスティアーノ・ロナウドのような
スーパースターに全員なれるのでしょうか?

これは間違いなく、Noと言えますよね。

では、結果が出ないなら努力することは無駄なのでしょうか?
もしそうであれば、「あきらめないで頑張れ」という
励ましは、大嘘をついていることになりますよね。

どうやら、努力は成果を出すためのものではなく、
もっと違うよさがありそうです。

その別のよさを、授業で子どもとともに
考えていくのです。

では、「努力」について
どんな見方をすればよいのでしょうか。

教材で考えます。
ヒロは一生懸命下積みをして努力をしましたが、
世界大会で失敗して世界一になれなかったら、
これまでの努力は水の泡なのでしょうか?

考えが分かれそうなところですが、
無駄ではない、と考える子が多そうです。

そこで、「ヒロが手に入れたものはなんだろう。」と
発問をしてみます。
なんだか、パティシエの技以外に手に入れたものが
ありそうな気がしてきますよね。

そして、そのときに見るのは、
間違いなくヒロの心の中です。

このことから、
☆努力をすると、自分の心が成長する
という考える道が見えてきます。

また、ヒロはなんのために
努力をしていたのでしょうか。
「世界一のパティシエになる」ですよね。

では、その目的はどうやって見つけましたか?
人から言われたことですか?
それとも自分で見つけたものですか?

後者ですよね。
では、
「もし、人に『世界一のパティシエになれ』と
言われていたら、ヒロはもっと努力しただろうか。」
と聞いてみます。

「うーん」と考える子どもの姿が目に浮かびますね。

内容項目には「努力と強い意志」とあります。
強い意志は、適切な目標があるから、
強くなります。

人が決めたり、自分がやりたくなかったりする、
そんな目標だと「弱い意志」になってしまうのです。

このことから、
☆正しい努力をするには、自分で決めた目標が必要
というまた新たな考える道が見えてきました。

ヒロは、もともと才能があったから、
努力したら当然結果が出るだろう、
と思うかもしれません。

そう考えると、そうじや片付けといった雑用をしているころは、
どんな思いでやっていたのでしょうね。

・なんでおれがこんなことをしないといけないんだ。
・大事な仕事だから、一生懸命やろう。

同じ仕事でも、どう向き合っていたかで
ヒロの見方が変わってきますね。

一般的には
「続けたい気持ち」と「やめたい気持ち」を
場面ごとに判断する流れですが、
その心の揺れ動きよりも、
◎なぜヒロはあきらめずに頑張れたのか。
◎もし結果が出なかったときは、ヒロに何が残るのか。

これについて考えるほうが、
自分が同じように物事に向かって
努力する状況になったときに
使えそうな道徳的価値が
見つかりそうですね。

3 導入

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