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日本の山を守りたい、そこで鹿のお話⑤ 動物との付き合い方編

最初は4回シリーズのつもりでしたが、とても収まりきれませんでした…(苦笑)

鹿などの野生生物が増える理由と対策の続編です。

山には人が採取しなくなった木の実などが、里には農業廃棄物や果樹などがたくさんあります。

しかも、動物が山を下りてきて、それを食べても、追い払われることはない。

そもそもですが、過疎化した場所には、動物を追い払おうにも、人がほとんどいないのです…

だから、今どきの野生生物は、奥山と里山を行き来して暮らしている、と考えられているようです。

そして、鹿などの動物が里に降りて来て農業廃棄物を食べても追い払わないことが、のちのちの問題につながっている、と指摘されています。

どういうことかというと、鹿などの動物は、廃棄物であっても農作物はおいしいこと、追わない人間は怖くないことの2つを学んでしまったから。

だから、まずは廃棄物で味を覚えると、次には人間用の農作物を狙うようになります。



ですが、意外なことに、獣害対策の専門家のお話では、農地をねらう個体というのは、決まっているのだそう。

農地狙いの個体は、山に餌があったとしても、里においしい野菜・果物があれば、農地にやってきて、それを食べようとする。

だから、狩りで、山にずっといる個体を撃ち止めたとしても、農地の周囲にいる加害個体を駆除しない限り、農業の被害は減らない…

そうだったのか!ですね。

これは動物の生態をよーく観察しないと見えてこない盲点でした。

「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」という言葉がありますが、農地を狙う動物の習性を熟知しないと、効果的な対策をとることはできないのだそう。

この分野も奥が深いです。

ですが、一つ言えること。

昔の人がやってきたように、野生生物とは一定の距離を取り、棲み分けるのは大切な知恵のように思えます。

そのためには、宮島の年配女性のお尻ぺーん!に教えてもらったように、時には毅然とした態度を取る必要があるのだと思います。

それができなかったばかりに、後で鳥獣被害に苦しみ、動物を捕獲しても効果が出ず、ただでさえ少なくなった農家を離農に追いやることになっては、泣くに泣けません。


優しさを、必要な時には、厳しさとして表現する。

難しいことですが、鹿の課題からも、学べたらと思います。


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