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『リスクを生きる』を手がかりに。人の替えはいくらでもある?編

何かのきっかけで、聞き慣れた言葉の意味が、前よりもはっきりと、腑に落ちる感じでわかるようになって、ハッとしたことは、ないでしょうか?

例えば、少子高齢化、人口減少、働き手不足、市場の縮小、国際競争力などなど。

今の行動をすっかり変えるくらいに、私たちは、はっきりとイメージできているでしょうか?


本書のおかげで、そういうことか!とより具体的なイメージがもてたのは、「そもそも人員が足りない」という現象の意味です。

長引くコロナ対策で、ますます明らかになったのは、日本の「人口減」「マンパワー不足」。

それなのに、医療現場からみると、相変わらず、国も企業も「マンパワーありき」「人海戦術」で対応しようとしていたことが明らかになってしまいました。

特に政府の感染対策は、マンパワーの使い方があまりうまくなかった、と指摘されています。

具体的に言うと、人員不足なのに、「やっている感」を示すために、人員を割いていると思われた、と岩田先生は指摘しています。

なんでそうなるかというと、そもそも、資本主義というものが、「人間は増え続けるので、いくらでも替えがきく」という人口動態を前提にしてはじめて成立する制度だから。

だから、資本主義的な発想では、人類が未経験の「人口減」の要素を取り入れた制度設計ができない。

当然といえば、当然かもしれませんが、未経験だからできません、と言ってもいられません。

もう一つの課題は、教育や医療、行政サービスなど、人間が集団として生きていくには不可欠の分野にまで、資本主義、お金儲け主義が入り込んできていること。

今回のコロナ対策にも、その影響が(大きく)出た、ということですね。

さて、そろそろ話を人口減にもどしましょう。

「人口減」が進行し、これからまだまだ進行するならば、制度を設計するときに、「引き算」が必要になってきます。

その際に重要なのは、業務量に対してマンパワーが足りないことをまず認めなければいけない。

そうして、少ない人手で仕事をこなすためにできることは、原理的には2つしかない。

一つは、「無駄な仕事を減らす」、
もう一つは「働くインセンティブを高める」こと。

そうして、一人一人のパフォーマンスをいかに上げていくか?

馬を走らせるにも、「にんじん」と「鞭」を使い分けます。

ですが、現状では、日本の組織管理者たちは、「鞭」しか使わないことが多い、と内田先生は指摘されています。

具体的には、人事の業績評価など。

日本の賃金がもう20年も横ばいで、これは世界的にもまれな現象です。それは、その時々に取られてきた各種の政策の結果です。

いくら日本人が勤勉でも、これでは仕事の意欲が失われるのは、当然といえば当然、と納得できます。

ですが、食糧自給率の低さやエネルギー資源のなさ、国土面積や人口減少、円安の進行、国際的なプレゼンスの低下(魅力の低下)などを見ても、しょうがないもの、とは言っていられません。

制度ごと変えないと、個人的な努力では、限界があります。それでも、個人があきらめてしまって、自分にできることをしなくなったら、もっとまずいことになりそうです。


これからの「人口減」「マンパワー不足」の社会でどうやって働き、日々の生活を営んでいくのか?

本書は、コロナ対策を参考にしつつ、将来の自分の具体的な行動をイメージしてみるきっかけを与えてくれましたね。





ると、言葉を聞き慣れたからといって、意味がわかっていたわけではない、とわかります。


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