見出し画像

☆ちょっと目からうろこの差別のお話。

あのね! あのですね。

本当は今日は別のお話をアップしようと思ってたんですけど、滅茶苦茶「へえええ!」なお話をさっきお客様から聞いたんです。

なので、急遽変更。私の「へぇ~~!」をお裾わけ!

 *  *  *  *

この頃、やたら聞くでしょう、差別だ!とか、差別はやめろ!とか、差別主義者!!とか。
あれ、耳に残りますよね。
なんか差別しちゃったかな?悪い事しちゃったかな?とか、罪悪感を煽られるし、凄く悪者っぽい。
でもね。
聞いてたら、物凄く微妙~~~~な感じになったんですよ。

お客様(一見様だった)、いわく。
あ、ちゃんと耳半分用意して聞いて下さいよ。これ、「伝聞」って奴だから。
要注意ですよ。いいですね?
いいですね!?

えーと、なんでも。
とある会社で働くAさん:女性、アラサー。未婚。
Aさんは、同期の男性が役付きになる中、ヒラ社員だった。
Aさんは怒った。同期で同じ部署にいたのは男性ばかりだったから、これは女性差別だと、上司に怒って抗議をした。ハラスメントだ、差別だ。私が男性だったら役付きになっている。相応の待遇を要求すると。
――――その結果。
二か月後、役職を貰った。

がちゃん!Aさんはカップをお皿にたたきつけた。
私の実力じゃない。努力の賜物じゃないの。私頑張った。私ってヤる女。差別にだって負けなかったのよ!
なのに!
周りの雰囲気、メッチャ険悪だったって。

Aさんを持ち上げて、凄いと言う人に限って、影ではメッチャブーイング。
Aさんなんて、特に努力をしなかった癖に。資格も取らず、お得意先に日参もせず、能力が低いから、それなりの評価だっただけなのに。
「女性差別」と騒げば「優遇」が貰える。
何が女性差別だ。これは男性差別だろう。差別やめろ差別~~~!

カウンター前、ドドメ色。
いや雰囲気的に。

男女平等とか、それ良いのかなぁ。いや、世の中ではよく聞きますけどォ。
え?雇用機会均等法?
でもねーやっぱねー。
「完璧なリーフカプチーノ作れるからチーフバリスタ」は納得するけど、「普通のカプチーノしか作れないけど女だからチーフバリスタ」って、私は納得できない。
仕事なんだから、能力でランク付けしないとさー……って言いかけたら、彼女に、「あんたみたいな女がいるから駄目なのよ!」って超叱られた。

そこからはちょっと心を無にしてました私は。
女の癖に、女性差別を許している女の所為で差別が無くならないとか、男と女、同じように出世できないのは差別よ!とか。
そうか??? の嵐。
――――と。


「差別、と言うのは仏教用語で「しゃべつ」と言うんですよ」


カウンタの全員が   「「「「「!!??」」」」」  ってなった。


あ、申し遅れましたが、目からうろこはこれからですから。
今迄は前振りですから。

言ったのは常連さんの巌編集長。
文芸雑誌を作ってるお髭の編集長。
仕事中はずっとインスタントコーヒーを飲んでるから、手が空いた時に本格コーヒーが飲みたいんだ、と通ってくれてる常連様。
物静かで、いつもニコニコしているジェントルメーンなんだけど。
その静かな口調に、キーキー叫んでたAさんも、は?ってなっててちょっとワロ。

しゃべつ? 仏教用語?? そうなの??
「仏教の教えの基本は”すべての人は平等である”って事です。どうです、素晴らしいでしょ?
女性も男性もどの国の人も、みな平等です。それが貴方の望みなんですよね」

Aさんが、はっとして頷く。
「そ、そうよ。平等です。女性差別なんて本当に最低」
巌さんが頷きながら、彼女のコーヒーカップを手に取る。
そのまま口をつけようとして、寸前で彼女に止められる。巌さんは本気できょとんとしてたw
「ちょっと!それ私の珈琲!」
「え?」
「え?じゃないわよ、返して!」
「いや、貴方、しゃべつの無い世界が正しいのでしょ? それはこう言う事ですよ」


「言いましたよね、差別(しゃべつ)。
仏教の基本は「すべての人は平等」であって、そこにしゃべつはない。
差別(しゃべつ)とは何か。
"平等に対して、それぞれの物が異なる独自の仕方で存在している姿。さべつ。(weblio辞書)”
です。つまり、あなた、わたし、これはもう差別。
私が川で、貴方も川だとするでしょう。黒い川、赤い川、細い川、ふとい川、早い川、ゆっくりの川。それぞれが流れてきて、海にそそぐ。凡ての川が混ざり合って、一つの海になる。
これが、すべて平等、の姿です。
混ざり合って、それぞれの差異が無くなる状況。凡ての区別がなくなる状況。
つまり、貴方は私で、私は君。そして皆。君の物は僕の物、僕の物は皆の物。貴方の彼氏は私の彼氏。彼氏の彼女の貴方は私の彼女。親も兄弟も子も、みな皆、友達で家族で親子で恋人同士。
共に暮らし、供に食べ、寝てセックスをする。貴方と私の区別なく。
これが差別(しゃべつ)の無い世界です。」

静まり返ったカウンターで、エスプレッソマシンの音と、ダストボックスに叩き込まれるエスプレッソの出がらしの音が響く。
テーブル席の喧騒と、玄関ドアに着いたベルの音。

すっかり黙っちゃったAさんに、巌編集長がにっこり笑った。
「本当に差別って無くしたいですか?」


 * * * * * * 


もーね。へー!の連続でしたわ私。

確かに、巌編集長の言う「仏教用語」の差別(しゃべつ)と、普通の差別って、意味が違う。
でも、部分的には合ってると思うんだ。
私、「これは差別じゃない、区別だ」とか言う言い方が割と嫌いで、言い訳っぽいなーと思ってたんですよ。そしたらさ。同じ意味じゃん。少なくとも仏教的には。
つまり、差別ってそう言う事なんだね。
区別とか、差。個人差、個別差。
差別って、無くちゃ駄目なものなんじゃん!って今日思った。

私も貴方も無きゃ駄目。彼、彼女の区別なきゃ駄目。私の物は私の物。誰にも上げない。
差別、大事。

イケナイのは、差別をもとに虐めたり、依怙贔屓したりすること、なんだよね。
いや~~~~~、目からうろこ落ちました私。

トークの日、終了!
ではまた~~!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?