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ワカンダ王国の歩き方

『ブラックパンサー』(2018)のレポートを書け、って課題だったので見たけどちょっと何が面白いのか……ってレビューを目にしたとき、背景コミでひとつの作品だからなあ、その感想は分かる。って思ったんですよね。

そもそもブラックパンサーとは。ってところから解説が必要な気は1作目の公開時からずっとしていたものの、あれけっこう存在自体が中上級編というか、そもそも党派性の話じゃないですか。

かといって、たとえばBlack Lives Matterの前段にはBlack Lives DON'T Matterとされてきた歴史の積み重ねがあって、みたいに基本中の基本をくどくど説明するのも失礼な気がしません?
丁寧に説明したからって、聞く耳もたないひとには意味ないし、最初から知ってるひとには説明いらないし。
云々、なんだかんだ面倒をイヤがってきたツケが昨今のヘイト全盛、“論破”全盛社会につながっているのだとすれば、煙たくてもツアーガイドみたいなメモがいんたーねっつに在ることに、意義はあるのかもしれん。

なにせ「ワカンダ・フォーエバー!」ってチョロく雷同するムーブ、あれナショナリズムとヒロイズムが等価の台詞だけど、国民皆兵が過去の話でない昨今、無邪気に盛り上がれる? みたいな視点、本当に要らない?

……てなわけで、MCUフィクションの世界に足を踏み入れるとき、持っていれば楽しみの幅が広がるかもよ。参考になりそうな作品を集めてみました。

■(1)必ずもっていくもの

南北戦争の話は『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)の前段でもあるので概要だけでも知っておきたいね、ってなんだかバカみたいなことを書いていますが、昨今のネット界隈におけるノイジー・マイノリティ観察記によれば、本当に義務教育で習ってないのかも。マイノリティじゃなくてマジョリティだったらどうしよう。って心配になるのよ。

■(2)ちゅうい
彼らの話が頭に入っていてはじめてブラックパンサー党の話が理解できるので、実際に見る・見ないはおいといて、挙げるしかない2タイトル

■(3)やくそく
いわゆる「アフリカンアメリカンの現在を知るための必見リスト」ってありますよね。ここが本題に近づくまでのハードルを上げがちで、かつ、動画配信サービスに無かったりするとせっかく「見ようかな」ってなっても萎える。それは分かる、分かるんだがこの(3)と次の(4)はどっちかからせめて1作見てもらえるといいんだよねえ。

■(4)たのしみ
歴史の彼方の出来事ではなく、今と地続きの話を見るほうが楽しめるのは当然で、なんならキルモンガーが主演してるとかファルコンが出てるとか、そういうのでいいんですよ、そういうので。

■ここまで準備ができれば本編に行っても大丈夫です

■オマケ

ブラックパンサーが「アフリカ系」だけの、「アメリカ」だけの話ではない、というアプローチは『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』(2022)でも触れられていた通りです。

個人的には『ブラックパンサー』(2018)でキルモンガーがティ・チャラを嘲って言う
"But didn't life start right here on this continent? So ain't all people your people?" (人類はアフリカ大陸から始まったんだろ。てことは全人類を守るのがワカンダ王国の務めなんじゃねえの?)
つまり日本人だから関係ないんだよなー。じゃないってところまでご案内したいのですが、まあ今日はこのぐらいで。

■まとめ
(1)南北戦争
(2)キング牧師、マルコムX
(3)公民権運動
(4)BLM
それぞれから1作ずつでも見たうえで、ワカンダ王国を訪れていただければチャドウィック・ボーズマンが言いたかったこと/それを踏まえた最新作の解像度が上がる。そんな感じですかね。

a scenery of Wakanda, from IMDb

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