スキルアップでできないことが増えてきた

システムエンジニアとしての仕事を長く続けていく中で、毎年新しい知識が増え、できることも増えた。色んなことを効率化するためのアイデアも思いつきやすくなって、毎年自分自身がスキルアップしている実感がある。

スキルアップしているので、できる仕事の幅が広がって、転職もしやすくなったのかと思いきや、実際のところはスキルアップしたことでできなくなったことが多い。

例えば

システム開発にはウォーターフォール型開発と呼ばれる開発手法と、アジャイル開発と呼ばれる開発手法がある。
私が過去に経験してきた開発は、ウォーターフォール型の開発スタイルを採用したものが多かった。けど、最近になって本格的なアジャイル開発を経験した。そこでアジャイル開発の魅力を知り、システム開発は本来こうあるべきだ、という価値観になった。
アジャイル開発を経験したことで技術的な面や仕事への取り組み方の面でも成長した実感はあるけれど、今の価値観の状態でウォーターフォール型開発の案件にアサインされたとしたら、モチベーションが上がらずにうまく適応できる自信がない。

システム開発をするときには多くの場合ドキュメントと呼ばれる成果物を作成することになる。私が過去に経験した開発案件では、ExcelやWordなどMS Office製品のソフトウェアを使って作成することが多かった。
しかし今現在、NotionなどMarkdown記法をサポートするツールやサービスが多く、ドキュメントを作るならMarkdown記法がベストだと思っている。ExcelやWordでドキュメントを作る仕事は今では考えられない。もし今ExcelやWordでのドキュメント作成を頼まれる開発案件にアサインされたら、これまたモチベーションの問題でうまく適応できる自信がない。

とはいえ、現実問題として未だにExcelやWordでドキュメントを作成しているウォーターフォール型開発の仕事は思っている以上に多く存在しているのだろうと思う。そういう事情から、仮に今転職をしたいと思ったとして、どの企業でもうまくやっていけるという自信は全くなく、むしろ自分がうまく適応できる企業はうまく選ばなければいけないような気がしている。

時代遅れな知識や仕事の仕方に固執して、新しいものを学ばずに年を取ると、いずれは老害として組織の中でやっかいな存在になるのだろうと思う。
かといって、常に新しいことを学び続けてスキルアップを続けている人は、時代遅れなツールや手法を使わなければいけない仕事に直面したときにうまく適応ができなかったり、不満ばかりを口にする厄介な存在になってしまう気がしてしまう。

レガシーな開発スタイルとモダンな開発スタイル、どちらにもストレスを抱えずにうまく適応できる人はきっとそれほど多くないだろうと思う。
レガシーに慣れてそれで満足している人はレガシーな開発しかできないし、逆にモダンな開発に興味を持っていて常に向上している人は、レガシーな開発はストレスを感じすぎてきっと耐えられない。
何の文句も言うわずに両方に対応できるのは感情を持たないAIぐらいではないだろうか。

スキルアップを目指すということは、仕事の選択肢を増やすと同時に減らすこともしているのだと思う。


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