見出し画像

2023年10月&11月


528.無限大の日々 (八木ナガハル/駒草出版)

ハードSFの秋!『無限大の日々』で脳を焼くのだ

昆虫SF(大傑作!)、軌道エレベータ、進化論……クラシックなガジェットにディープな思索を込めた、少女と機械の遠大なる宇宙奇譚集

ストイックなSF魂と唯一無二の造形美を追求する、コミティア魂迸る筆致。張りぼてのサイバーパンクに飽きたらこれ!


529.激突カンフーファイター (清水良英/富士見ファンタジア文庫)

伝説のラノベ奇書『激突カンフーファイター』ついに読んだのだ。凄い!全然何言ってるのか解らないww

乳首を露出しがちな巡査を主役にヒーローと悪が交錯する超適当なストーリー!

ツッコミ不在のまま延々ボケ倒す会話のグルーヴ感は、もはや笑いを通り越してフィネガンズウェイクやバロウズの域!


530.PSYCHE (唐辺葉介/星海社文庫)

『PSYCHE』は読むダウナー系麻薬なのだ

死んだ家族の幻覚と暮らす少年の手記。モルフォ蝶、哲学的ゾンビ、カミュ……視えるものを受け入れ淡々と過ごしているだけなのに、精神が甘く腐っていく生々しい読書体験は脳が痺れて危険なほど

正気を蝕んで増殖する蝶の幻想。静かに人を呑む隠れた魔書なのだ〜。


531.闇の精神史 (木澤佐登志/ハヤカワ新書)

暗黒哲学伝道師・木澤佐登志の『闇の精神史』が発売なのだ

今回の目玉は何といってもロシア宇宙主義!始原生物モネラ、血液交換、魂のデジタル化…これまで文献の少なかった、不死と宇宙、進化を夢みた異形の思想が紐解かれる

アフロフューチャリズムやサイバースペースも。膨大な知識に溺れるのだ〜


532.好き?好き?大好き? (R・D・レイン/河出文庫)

戸川純に曲を書かせ、serial experiments lainに霊感を与えたサブカル稀覯書、R・Dレイン『好き?好き?大好き?』が河出文庫で復刊してるのだ

異端の精神科医が、分裂病患者との対話や東洋思想を詩篇へと昇華。生々しく引き裂かれた言葉が一部の人種の感性を呪って離さない

NEEDY GIRL OVERDOSEファンの方も~


533.ツルツルちゃん (仙田学/NMG文庫)

『ツルツルちゃん』静かなる一級奇書だったのだ……

いっけん学園ラブコメだが、キャラの行動原理がわからない。ストーリー展開のロジックがわからない。描写のバランスがわからない。温和なサイコパスが書いたラノベのよう

けれど読後に浮かび上がるのは他者性に対する怜悧な考察。「人の内面は解らない」という主題を解らせるために狙ってやってるに違いないと思うのだが、つかみ取ろうとするとツルツルと滑っていく、奇妙極まりない作品なのだ


534.麗しのシャーロットに捧ぐ ヴァーテック・テイルズ (尾関修一/富士見ミステリー文庫)

『麗しのシャーロットに捧ぐ』も復刊すべきなのだ

亡き妻の魂を球体関節人形に宿す妄執に憑かれた主と、彼を想うメイドの悲劇。しかし真実は反転を重ね迷宮を象る。人形は誰?時を隔て現れるメイドは誰?悪魔は誰――?

『ケルベロス第五の首』ばりのアンチミステリ&ヴィクトリア調ホラー!本格的変格過ぎて泡を吹く、表紙詐欺の極上ミステリ!


535.瀬越家殺人事件 (竹本健治/講談社)

今年最狂のミステリ奇書『瀬越家殺人事件』が入荷してるのだ〜!

ひらがな48文字を重複なく使った「いろは歌」×48シーンでミステリを練り上げてしまった、あまりに変態的な言語遊戯の局地。窓付き函&柾它希家ライクな挿絵が禍々しい漆黒の装丁もコレクター垂涎の美しさ

竹本健治は奇書しか書かん!


536.silence cosmo (田中豪/※自費出版)

流れてきた画像を拝見して一目惚れ、即買いした田中豪氏の画集『silence cosmo』めちゃくちゃ良かったのだ……

異形と内蔵が蔓延り巨大建造物が広がる赤い異界は、ベクシンスキと弐瓶勉の鬼子のよう。SFファンからゲームファンまで惹きつける静謐な異次元にくらっくら

boothで販売されてるのだ〜


537.夢に追われて (朝比奈弘治/作品社)

『夢に追われて』震えるほど良かったのだ!

コロナ禍から陶酔のキノコ奇譚へ変じる絶品「KINOCO-19」、7頁を句点のない一文で埋め尽くす「三途の川」、人面アリの駆除「クダアリの話」、ビルの底に佇む「溶解池」……

因果の壊れた夢の世界を彷徨うが如き極上の幻想文学!短い話多めで読み易いのも◎!


538.日野日出志ベストワークス (日野日出志/太田出版)

怪奇漫画界のレジェンド『日野日出志ベストワークス』が発売してるのだ

非常階段でもおなじみ『蔵六の奇病』や『地獄変』など最狂の傑作揃い!

ブラッドベリに影響を受けた異端の叙情が、枯れた日本の原風景、狂気、グロテスクの中に滲み出る。あまりにもピュアな「みんな死ね」の想いに、逆に元気が湧いてくる!

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?