許して、ぼくはこれより大きな声ではしゃべれない

そういう状況をお知らせするために、無音でいつづけるわけにはいかないんだよ、だからまわりですっごく音がうるさいと思うけれど、もうどうしようもないんだ、みんなが一斉に息を止めて、落ち着いて、呼吸にだけ集中していたら、ここは住み良い場所になるはずなんだ、ほら、この粘土のようなゼリーのような壁や床は、甘くほのかにレモンの香りがして、そこらじゅうにあるから、ぼくたちは食べることや生きていくことに困ることなんかない、問題はこの建物が音をよく反響してしまって、喋った声や叫んだ声がいつまでも残ってしまうんだ。だからこれ以上なにか喋るようなことはしたくない。みんなにももう喋ることを、一旦諦めて欲しい。それを伝えるためにできるだけ小さな声でお話しするよ。リーダーになりたいわけじゃないよ。むしろそれがみんなが黙らない原因なんだ。このままでは口論が空間を満たしきってしまうよ。どうしようか、どうしたらいいか、離れよう、一旦ね、繋がるのをやめよう。繋がりすぎたから。ここに洞窟をほって、僕は隠れるよ。このメッセージが届いたら君もそうして。繋がりを絶って。これは緊急避難だよ。音の嵐が過ぎ去ったらまたきっとみんなで大笑いできるから。

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