お迎え

今日は雨が降っていた。私はバイクなのでどれくらい降っているかなーと窓を開けて空を眺めた。窓を開けるとき下を向いていたので、ちょうど車が前の駐車場に停まろうとしているところに目が入った。お迎えの車だった。

「お迎え、いいなあ」
と、思わず口からこぼれた。お迎えってきれいな記憶で残っていて、小学生の頃の思い出が久しぶりに引き出された。

私には姉がいて、きょうだいで習い事をしていた。
私の方が早く終わるので、まず私、続きで姉と順に回ってお迎えをしてもらっていた。

冬の時期、母の車に乗り、いつもと違う席に座る(お迎えのときだけそうだ)。エンジンがかかり、ガラスが全面に曇っているから前が見えるようになるまでゆっくりと待つ。
今日のこと、晩ごはんのことを話しながら姉のもとへ。たまに早くついてしまう。塾に駐車場がなかったので、
「ドライブしよっか」
と、近くを一周しながら終わる時間を待つ。
時間が近づき、明るい扉から姉が出てくる。
お疲れ、おなかすいたねーなどと話しながら帰路につく。

習い事が終わり、母と一緒に姉をゆっくり待つ。このゆるやかな2人だけの時間に、どこか特別感や幸せな感覚を持っていた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?