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カラーブックスが好き、あと岡山文庫

本屋に行く。で、読みたいものはたくさん出てくる、のだが、旅先で荷物が多くなるしな、とか考えてしまうことがある。
Amazonのカートにいちおう気になった本を入れたりしておくのだが、やっぱり味気ない。気になる本屋で買い物したほうがいいには決まっている。さすがにZINEや中古本は一期一会なので、買わずにはいられない。
恵文社一乗寺店や誠光社では、カラーブックスのコーナーがある。京都にきたんだから、というわけでもないけど、カラーブックスの京都ものを少しづつ集めている。

たとえば148冊目の『京都ガイド』。昭和43年初版で僕が持っているのは50年に重版されたものだ。
京都のガイドブックなら、もちろんどこの本屋にもあるんだけれど、読んでて心地よい。作者(出雲路敬和)の語り口が頭にすっと入ってくる。
161冊目の『京都の年中行事』(臼井喜之介)は描写がいい。

『帰り道に後をふりむくと、折角さずかった知恵をなくしてしまう、という言い伝えがあり、お参りの帰り、渡月橋を渡りきってしまうまで、子どもたちはみんな真剣な顔をし、両親たちに手を曳かれて歩いていく。そんな姿も、桜の満開の春の嵐山を背景にしてなかなかほほえましいのである。』(「十三参り」)

『京都の年中行事』より

カラーブックスの文章は、落ち着く。京都検定のために知識を得ようといろいろガイドをめくるのだけれど、なかなか頭に入らないことが多い。いまのガイドブックが悪いという話ではない。多分いまのガイドブックのほうが正しい情報なんだけど、情報というより読み物重視のところ、そしていまどきの京都のエッセイにはない味がある。
日本史は物語として捉えた方が覚えやすい、というけれど、僕のように京都に住んでいるわけでもない旅行者としては、帰ったらすぐ忘れてしまう情報より、「なんか面白かったな」と思わせる語りのほうが、頭にすっと入ってくる気がする。

似たようなシリーズで岡山文庫(日本文教出版)、というのがある。これは誠光社さんにも少し置いてある。あとはやはり岡山の本屋にコーナーがあったりするのだが、カラーブックス同様、文庫サイズで岡山の「めちゃくちゃニッチ」な情報をコンパクトにまとめていたりする。
以前『木山捷平の世界』をあんまり考えずに購入したのだけれど、どこかにやってしまった……。数年後、自分のなかで木山ブームのときに読めなかったのが悔やまれる。どこにいってしまったんだ。俺の岡山文庫よ! リストを見ると、「これを一冊にまとめてるのかよ」と驚かずにはいられないものもしばしば。『岡山の花粉症』て! 『岡山の民間療法』(しかも上下巻である)も気になる。なんだか効きそう。コーナーを見つけたら、ひとまず一冊買っておこう、と思えるコレクター魂を熱くさせるシリーズです。

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