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菩薩と拝めたら誰でも菩薩

ライター:TonTon

好きになれない先輩がいた。
自分はその先輩の後を継いでお役をいただいた。
その日からあからさまないじめが始まった。
みんなの前で行儀が悪いと所作を注意される。
直接言ってくれればいいことをほかの支部の方に愚痴る。
地区法座はその先輩の一人舞台。
私が何を言っても無視か否定。
出会うことも辛かった。
自分の何がいけないのだろう・・・。
そう思うと何をするにも怖くなった。
自分の本当の気持ちにふたをして表面だけの出会いになった。

ある日、自分の気持ちがあふれてふたが閉まらなくなった。
支部長さんに聞いてもらった。なに一つ私は責められなかった。
「大嫌いです」と初めて本音を言えた。

それから間もなくその先輩は身体の一部を切除する手術をすることに。

手術の前日、思い切って手術で切除する部分に
「触っていいですか?」
とたずねることができた。

「触って」と応じてくれた。

驚いた。

もうなくなってしまう身体の一部に手をあてさせてもらった。
涙が出た。その先輩も涙ぐんでいた。
高い高いハードルを越えた気がした。

術後、回復して地区に戻ってきた先輩。
それからは自分を支えてくれる一人となった。
その先輩のおかげさまで自分の本音を意識することができ言葉にして自分で自分の心を観ることができた。
提婆達多だと思っていたその先輩は自分の本音と向き合うチャンスをくれた菩薩さまだった。

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