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逆噴射小説大賞2021ライナーノーツ①ニュービーパルプスリンガー的雑感

 無事に三発の弾丸を撃ち切ることが出来た!
 おれはやりとげたぞ!ワオーッ!!



 よくきたな。おれは逆噴射聡一郎ではなく文鳥てきなカーカーポーてきな鳥類だ。
 未だ募集期間は終わっていないが、興奮冷めやらぬうちにこのコンテストについて初参加なりの感想や今回提出した作品についての話をしようと思う。とりあえず今回は全体的なことについてだ。
 普段のおれの文体を知るおまえはさぞ驚いていることと思うがこれは敬愛する逆噴射先生へのリスペクトーオーなので大目に見て欲しい。
 同時に、常日頃から逆噴射先生文体に慣れ親しんでいるおまえもまた大目に見て欲しい。おれが先生を意識した文を書くのはこれが初めてでありたんなるMEXICOニュービーにすぎない。ハイハインをするベビーのように見守ってくれればさいわいだ。



 そこには想像以上に広大な荒野が広がっていた。MEXICOの秋はいまだ熱い……。


・それはカラカラに乾きながらも豊かな大地だった


 おれは今年が初参加、その動機は『賞品がCORONA1ケースだったから』である。こう書くと真っ昼間から酒場に入り浸り飲んだくれるEND OF MEXICO一歩手前のろくでなしのようだがけっしてそんなことはない。普段は休み前の夜にビールを一杯だけという修道士めいてつつしみぶかい生活をおくっている。

 仮に大賞に選ばれたとて別に華やかなデヴューが果たされなくても良い。執筆環境……家庭の事情……年齢……その他諸々の理由により、プロを目指すのではなく書くことをあくまで趣味として楽しんでいたい。世の中には割とそんなエンジョイノベリストがいるんじゃないかと思っている。しかしコンテストとなるととかくプロ志向のものが多い。おれは日頃からそう感じていた。
 だがそんなエンジョイ勢とて、たまには腕試しをしてみたいのだ。
 そんな時に出会ってしまった。今年の祭開催を知らせるツイートと。
 賞品は後腐れなく物がいい。そして勝者の喉を潤すものがCORONAであるなら何も文句はない。最高だ。
 つまり逆噴射小説大賞イクォール=最高という図式がこの時点で成り立つことはどんなあほでも分かるだろう。

 実際に参加してみると数々の素晴らしい点があった。



 まず思ったのは「参加者、メチャクチャ他の作品読んでる」とゆうこと。
 公開型のコンテストではあるが選考を行うのはあくまで我らが逆噴射聡一郎先生及びダイハードテイルズの諸兄であり、作品に付いたスキの数や感想は選考結果に一切の影響を及ぼさない。裏を返せば感想もスキも難しいこと考えず好き勝手に付け放題ということである。スキだけに。
 これが大変新鮮なエクスペリエンスだった。
 おれは普段二次創作界隈に身を置く鳥類なので今回の試合はいわば完全なアウェイ。しかも『自分だけの話』はもうウン十年という単位で作っていない。銃弾飛び交う麻やくカルテルの抗争のさなかに丸腰で飛び込むかのような無謀な挑戦だったと思う。
 しかし蓋を開けてみればありがたいことに普段全く交流のない人々から次々と評価が舞い込んできた。
 これが想像していた以上に嬉しいものだった。
 利害関係一切なしの、作品に対する純粋なリアクションであると感じたからだ。もう一度繰り返すが審査の結果にスキや感想の数は何ら影響を与えない。つまりスキしたらスキを返してもらえるかも?というあまったれたロビー活動めいた目的ではないことは明らかだ。審査の有利になるようなことなど、おれはなにもかえせない。それなのにだ。
 確かなラブ……そしてリスペクトの存在をかんじおれはふるえた……。
 参加者は皆ライバルであると同時にコンテストを盛り上げようとする同志でもあった。そこには我先にと祭を楽しもうとする確かなアトモスフィアがあった。

 交流票ならば入れなくていい、本当に良かった時だけ評価して欲しい。いつわりのやさしさよりも本当のことだけが欲しい。おれは自分のつくったものに対しては普段からそうゆうスタンスであり、特に感想クレクレ行為などもしたことはない。しかし交流の生まれるところにはやはりその……いろいろ、いろいろあるんだ、多分。

 例えばベースボールでは三割も打てれば一流選手だ。
 それを考えれば、出す物出す物が毎回良いなんてことはありえないんじゃないか?
 それは日頃の付き合いがフォローワーに押させたいいねではないのか?

 そんな湿気ったドリトスめいた卑屈な考えを抱く夜がおれにだってある。
 だが、今回の経験のお陰で自作に対する評価を少しは自信を持って受け止められるようになったのではないかと思う。その点だけでも参加して良かったし、武者修行にMEXICOまで飛び出した甲斐があった。
 勘違いがあってはいけないのでここに改めて主張しておく。
 一次二次関係なくこれまでに受け取った感想はどれもありがたく噛みしめている。これは自分の創作活動に対するアティチュードの問題であり、人と関わることがヘタクソなおれのねじくれた性根の問題なのだ。それだけはどうか分かって欲しい。


 そんなおれ個人のどうでもいい話はさておいても、ただ面白かったからスキを付ける。続きを読みたいと思ったから感想を書く。そういった行為は実にprimitiveな読むことへの喜びに満ちており、MEXICOの荒野に沈む黄金の太陽のように眩しくかけがえのないものだ。
 書き手としてだけではなく読み手としても初心に帰ることが出来た気がする。重ねて、この貴重な機会を提供している親愛なる逆噴射聡一郎先生及びDHTの諸兄にラブそしてリスペクトを捧げたい。


 二点目。「800字、絶妙すぎるバランス」
 これについてはおれのようなニュービーからデンセツ級のタツジンまで、パルプスリンガーであれば皆頷くところではないかと思う。

 800字で小説の冒頭部分を読ませる。描写は簡素にして充分にし、続きを読みたいと思わせることも忘れてはならない。

 このバランスを成立させることの難しさは実際に挑んだ者にしか分からない。場合によっては800字で全てを完結させるよりも難しいかもしれない。しかも多数の応募作の中で埋もれないためには個性というスパイスが絶対に必要となる。
 800字。書き手としては挑戦しがいのある長さだが、読み手に回った時にはスキマ時間で楽しめる程よい長さへと変わる。
 このレギュレーシヨンを考えた逆噴射聡一郎先生及びDHTの諸兄は控えめに言っても天才なのではないか。


 他にも色々とサプライズはあれど、この二点については間違いなく逆噴射小説大賞が誇る、他に類を見ない素晴らしさなのではないかと思う。


・おれの2022年はもうはじまっている……。



 歴戦のパルプスリンガーは一年かけて己が弾丸を鍛え、磨き上げるという。大変身の引き締まる思いがする。
 提出した後から既に一年後への戦いは始まっているのだ。それを忘れず鍛錬に励もうと思う。
 おれと一次創作との関係が今後どう転ぶかはまだわからないがこのコンテストについては来年も必ず参加したい。
 Think, Everyday……
 Practice……Everyday……

 次は今回撃った三発の弾丸についての解説をする。来年へ向けた覚え書きも兼ねてだ。
 ウスイ=ホンの原稿でダイ・ハードな毎日が続く中だがなんとか形にしたいと思う。

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