お返しをもらうことについて。

ご飯を食べるよりも、睡眠をとるよりも、今は作品をつくらなければ・・・と思う時がかつてはあった。そこにいいものが出来るであろう可能性があれば、今、やらなければという気持ちでやっていた。多少無理をして、制作をする。たぶん、私はそういうタイプの人間だったんだろうと思う。でも、それをやり続けていると、どこかお返しがくる予感がしていた。それは大げさではなく命に関わるようなスケールのもので。

命なんて深く考えたことはないが、いままで生きてて同世代で病気や事故で亡くなってしまう人が何人かいた。私はそういう人の儚さや危なげな雰囲気をどこかで感じていて、それは作品からも、本人からも、感じる。よくわかるのは、笑い方だ。笑い方っていうのは心から笑っていないと、どこか一瞬違和感を作り出す。それは、知っている人は知ってる記号のようなもので、そんな信号を出している人をどこか気になってしまうが、自分も多少その気もあるので相手の世界に引きずり込まれないように一定の距離を置く。何もできないからしょうがないし、それが自分のライフラインなのだからそれで私が落ち込む必要は全然ないんだけど、どうしても忘れられなくてふと思い出す。

少し前にJ-waveでポップな曲がよく流れていて耳に残っていた。その歌っている人は歌だけではなく、演技をしたり、文章を書いたりもしている。少し前にくも膜下出血になったらしい。自分と年齢が一緒だったから興味をもった。その人は仕事をしている時が自分でいられる時だったという話を聞いた。していないと不安だっていうことも言っていた。なにかに駆られてものを作ったり、動いたりしているときっとお返しが来てしまう。くも膜下出血になってしまったけど、死ななくてよかった。