見出し画像

もはや服は着る物ではない


Wikipediaのランダムページ機能をご存知でしょうか?
自分の知識の貧弱さがよーくわかります。
今回はこれを使って偶然出会った記事を紹介します。今回は「装苑賞」。

装苑賞

装苑賞(そうえんしょう)は、新人デザイナーを対象とした公募のファッションコンテスト。1956年、女性向けファッション雑誌「装苑」創刊20周年を記念し、創設された。歴史が古く、現在では新人デザイナーの登龍門といわれ、これまでにコシノジュンコ、高田賢三、山本寛斎、山本耀司など数多くの著名デザイナーを輩出している。

装苑賞というのは若手デザイナーの登竜門となっている服飾のコンテストのことらしいです。野球で言えば甲子園、ショートショートで言えば星新一賞、漫画で言えばこのマンガがすごい!、お笑いで言えばABCお笑いグランプリでしょうか。

副賞でパリの服飾学校への留学が与えられるのでこれが躍進の源なのかもしれません。事実多くのチャンピオンがパリコレに出場しています。

ともかく、登竜門だけあって優勝者にはそうそうたる顔ぶれが名を連ねます。
最年少受賞者であり、アジア中でショーを成功させているコシノジュンコ氏、


画像1

これはロバート秋山さんが演じる「ヨーコ・フチガミ」
コシノ氏本人が公認しています。

Yoji Yamamotoで知られる「黒の衝撃」山本耀司氏、

画像2

1983年のヨウジ・ヤマモト。当時のトレンドであったゴージャスな服に対する黒すぎる黒。日本では「カラス族」と称された

2004年アテネオリンピックのユニフォームやKENZOブランドで知られる高田賢三氏などが挙げられます。

画像3

2004年アテネオリンピックの様子。 2020年の衣装と比べても遜色ないです。


まさに”大物”と呼ばれるにふさわしい方々なんですね。彼らのファッションは世界に羽ばたき、JAPANが発信するファッションのイメージを形作りました。
彼らがいなければ1980年代のパリコレは無いに等しいと言っても過言では無いでしょう。

装苑賞の立ち位置


じゃあ学生たちが装苑賞に命かけてるのかって考えたらそれは違うと思うんですよね。
結局選ばれるのは一人だけですし、そもそも服飾専門学校の大半の生徒はデザイナーとしてアパレル系企業やデザイン事務所に就職しています。
企業にて実務経験を積み、デザイナーとして実力が認められて活躍する場合や初めからブランドを立ち上げてスタートする場合が多いみたいです。(文化服装学院HPより

つまり装苑賞は一種の称号にすぎず、成功する人は何かしらの手段で成功するのです。(もちろん賞を取っていた方が信頼に繋がりますが)

結局のところ売れる売れないは本人のセンスに委ねられているのはどこの業界も同じなんですね。

実際の受賞作品

実際の受賞作がこちらです。

画像4

1960年 コシノジュンコさんの作品

画像5

1992年  木原知美さんの作品

画像6

2018年 南方一さんの作品

最近になるにつれてだいぶファンキーになっていることがお分かりいただけただしょうか。(最近が悪いというわけではない)

この2018年の作品「愛しきもの」のコンセプトがこちらです。

身近にいるペットや人が食用としている動物、野生の動物などにフォーカスし、服としてのかわいらしさや強さを表現するとともに、人々が日常でどれだけ動物から影響を受けているのかを、今一度気づくことができるストレートな作品にしたいと思いました。主に生地を織る前の生糸を使用しています。

つまり、服は”着るもの”から絵画などと同じくくりの”表現”・”作品”になったわけです。
ファッションショーというのは流行を作る場ではもはやなくなり、表現をすることが目的の場になったんですね。
このファッションショーを勝ち抜いたところでわかるのは”本人の中に潜む芸術センス”であり実際に消費者に刺さる服を作れるかどうかは分からない。
ここで評価されているのは芸大生であり服飾専門学校生ではないのです。
今後装苑賞は芸術方面に向かっていくでしょうし、それが時代の流れです。

まとめ

そもそもファッションが芸術のくくりである事を忘れていた気がしました。
芸術に絶対的な評価基準を設けることはできないんですね。

芸大について調べてみるとトップの東京藝大にはファッション学科がないみたいです。芸大でファッションが広まればファッションショーへの視線も芸術を嗜むものに変わるのかな、と思いました。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?