ゲームの中の私は

先日、友人とTRPGをやった。

とある施設に私を含め四人で潜入し、道中で拳銃を手にしていざ本拠地へといったところだった。

周りはセキュリティが固く、どのドアもカードキーでなければ開かない。近未来的な風景の中に私達は居た。私のキャラクターは倉坂陽くんという、合理的なことや真っ直ぐなことが大好きでトラブルは人に押し付けがちなキャラクターである。

各々武装する中、ショットガンと拳銃を一丁ずつという欲張りセットを抱えていた。自分たち以外に人は居なさそうだ。

「ドアの鍵のあたりを拳銃で撃ちます」

私は宣言した。GMから許可が降り、倉坂くんは扉に向かって思い切り発砲した。鋼鉄の扉は銃弾を弾き返す。さらに、セキュリティが作動し階段からセキュリティチームが駆けつけてきて、我々に発砲してきた。

戦闘。ショットガンを抱えたセキュリティチームが二人、バンバンショットガンを撃ってくる。

結果、我々はセキュリティチームを四人で力を合わせて二人撃ち殺し、一人重症、一人軽症となった。

倉坂くんはめちゃくちゃ怒られた。自分より一回り年下の男の子にそれはもうガッツリ怒られた。一応私は軽症者だったので応急手当もしてくれたが、ダイスの出目もあってかショットガンで撃ち抜かれたのに絆創膏だけで済まされた。

「人の命を軽んじているのですか!」

「すいません」

「死ぬところだったんですよ!」

「はい……でも、ちゃんと撃ち殺したんで……」

「そういうことではありません!」

一方で、別のPLは「この人のショットガンの弾、回収できますか?」とGMに訪ねている。

ロールプレイと確認が混線する状況で、倉坂くんは正座させられていた。

しかし、こうして倉坂くんと年下くんの関係性が際立ち始め、倉坂くんが徐々に情けなくなっていく。彼が活躍できる日は来るのだろうか。

こんな感じで、ゲームを遊んでいる。今週末には、パラドックスポケモン限定バトルを大学の頃に知り合ったメンバーたちと行う。

専用の計算機片手に「これ、このパターン来たらどうしよう」と泣きついては「全ての可能性を潰すのは無理だ」とたしなめられている。

格ゲーもした。

「何だそのリーチはぁ!?」

私は口が悪くなっていた。

「その射程はオカシイだろうがっ!」

キャラクターの性能に文句を言いながらゲームをしていた。

実に情けなく、理不尽に対してキレる。そんな大人に、ゲームの中ではなってしまう。当たり散らすことはないが、なにかに飲み込まれそうな感覚がある。

ポケモンで、ひたすら道具プリンターを回しているときの虚無感。ゲームをしているときでしか味わえない感情がある。

ギャンブルは絶対ゲームの中だけにしよう。

無言でガチャガチャボタンを押しているとき、切にそう思うのだ。

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