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「美しい彼」について語らせてくれ3

ドラマ「美しい彼」にドンハマりしたライターによる、どこにも頼まれていない勝手な全話レビューをお送りしています。

今回はシーズン1の3話レビューです! 過去回はこちら〜。

いつも「美しい彼」のレビューを書くときは「2000文字くらいにまとめるぞ!」と心に誓うのですが、軽く4000文字はオーバーしてしまいます。そして今回は問題の3話です。そう! あの! 問題の!! 3話です!!! なので2000文字どころか4000文字にまとめられるかどうかも怪しい。先に謝っておきます。

そして今回ももちろんネタバレ配慮はありません!!!!!!

今日も今日とてキングはキング

平良(萩原利久)の家で清居ことキング(八木勇征)の応援グッズを作る面々。みんなが手を動かすなか、ひとりで椅子に座り優雅にスマホをいじる様は、誰がなんと言おうとまさに選ばれた者の御姿ですね。ここまでは平常運転で当たり前の光景。後光がさして見えるのは私だけじゃないはず。

ああ、今日も今日とて、我らが王は健やかなり。ポケットが3つ付いた服かわいい。

ここで平良と倉田ちゃん(眼鏡をかけた女の子)がイジられる展開になるわけだけど、清居が颯爽と助け舟を出す(本人はそう思ってないっぽいけども)。「そういうの面白い?」ってこれはもうさ〜〜〜倉田ちゃんじゃなくても目が釘付けになりますよ。これは仕方ないよ。だって清居なんだもん。キングなんだもん。「清居」って辞書で引いたら「キング」って載ってるし、「注意点:多くの人を恋に落とす」って注意書きされててもおかしくないもん。「清居」にルビをふるとしたら「キング」だもん。

いじめとか人をバカにするとか、シンプルに「下劣だ」と思う行為は人としてしないっていう育ちの良さを感じるし、見ていないようで周りを観察している思慮深さが出ちゃってる! 隠そうとしたって出ちゃってるよ! あとやっぱりどうしたって「平良を助けてくれたのでは……?」っていう妄想をしちゃうよね、私たちとしては

(2/13 21:45 追記:ここはシンプルに「平良と倉田ちゃんがカップル扱いされるのを邪魔した“ジェラシーの発露”」といった見方が有力のよう)

そしてもはや当たり前のように清居のためにジンジャーエールを注ぎに台所へ向かう平良。ちゃんとジンジャーエール買ってあるんだね……清居に言われたとおりにしてるんだね……「尊い」ってこういうときに使う言葉だったんだね……。みんなも清居が飲むジンジャーエールの気泡になりたいよね?

清居が落ちたコンテストって開催された意味ある?

清居が挑戦したコンテスト、グランプリを逃したこと自体は「人生そう甘くはないよね〜」みたいな展開だと思うんでまあ理解できるんですけど、シンプルに考えて清居が落ちるコンテストってありえます?? そんなの開催された意味あるのかな??? いったい誰が優勝できたのか興味あるんですけど。横浜の大学生がなんぼのもんじゃい!

清居、もしかしたらそのトゲトゲのネックレスじゃなくて、何か別のやつだったらグランプリだったかもしれなくない? そんなことないか……。清居を落とした審査員の永遠の不幸を願います。

清居の心中を慮り、そっと後を追いかける平良。しっかりジンジャーエールを持ってるあたり、一兵卒の心構えが仕上がっている。ここで初めて「悔しがる清居」を目の当たりにするわけだよね。

ダンススクールといい、この悔しがるシーンといい、「二人の秘密」「自分だけが知っている清居の姿」をキャッチするのに長けている平良。それもそのはず、平良が四六時中、清居のことを思って追いかけてるからなんですけども、きっと清居だって「また尾けられててもおかしくない」って思ってたはず。見られても、アイツなら、いいか……って一ミリでも思っててほしい。さすがに妄想が過ぎるけど。

マシンガンの演出だいすき

今回に限ったことじゃないですけど、3話はとくに萩原くんの「目の演技」がすごすぎて、すごいな〜! と思ったんです(誕生日にほしいプレゼントは語彙力です)。妄想のなかでマシンガンをぶっ放すシーンとかさ、据わった感じの目がほんとうに怖い。彼はもともと目の演技で印象を残していくタイプの役者さんだなあと思ってはいましたが、フルスロットルで本領発揮! という感じです。

それにしてもこの同級生たちはさ〜心底イラつく演技をしますね〜! それほど上手ってことだよなあ。何度私も妄想のなかでマシンガンを携え、援護射撃要員として加わりたいと思ったことか……。

最初のファミレスでのマシンガンシーン、撃たれたら血じゃなくて黒い紙が舞う演出も好き。血液よりもおどろおどろしさというか、心をメッタメタに殺しにいってる感じが伝わってくる気がする。あとトマトジュース事件のときのマシンガンシーンも、影にだけマシンガンが映ってる演出カッコいいよなあ〜。好き。

撃たれる同級生たちを平然と眺めやる清居、その佇まいはまさに王。品格と風格がどっちも備わっている。「こちら、一国の王です」と紹介されても「やっぱりそうでしたか」としか言えないと思う。

「俺はお前が死ぬほど嫌いだ」

はい、山場がきますね。ここですよ。ファミレスでの打ち上げをそっと抜け、ひとり外で動画を見る清居を追う平良。「WE❤️清居」のTシャツをテコでも脱ごうとしないあたり、キングに誓った忠誠の深さがうかがえます。

ていうかここのシーンの清居、なんの動画見てたんだろう。自分のダンス動画を見直して反省してた、とかだったら私の情緒がどうにかなっちゃうんだけど。そして「ストーカー!」って叫んだところ、割と本当にびっくりしなかった? 私はちょっとビクッとした。

このあと徐に清居は自分の過去の話をするわけですね。平良に対して少しは心を開いている気持ちの表れのようでもあり、コンテストに落ちてさすがの清居も落ち込んでいる様子が垣間見えるようでもあり。

私が注目したのはこのあと、城田たちと一緒の枠に嵌められた平良が、いてもたってもいられず「好きだ」と言ったことに対し、清居が「俺はお前が死ぬほど嫌いだ」と返すシーンです。

やっぱ落ちたあとでショックも大きいし、城田たちに遠回し(でもないか)にバカにされたことへの苛立ちもあっただろうし、そういう感情を全部ひっくるめて「しょせんお前もそっち側の人間か」と諦めも入り混じった「俺はお前が死ぬほど嫌いだ」だったんでしょうか。つらいよね……一国の主にも束の間の休息は必要ですよ……。

トマトジュース事件

そしてクラス内のヒエラルキーが入れ替わる「トマトジュース事件」が勃発。このシーンについては(も)言いたいことがあり過ぎるんですけど、ひとまず再び「萩原利久くんの目の演技がすごい」って話をしてもいいでしょうか。

いや、ほんとすごいと思う。クラスの女子が掲示板の噂をしてるシーンとかも、目の色とか動きだけでイラついてるのが伝わってくるじゃん。平良ってとくにモノローグで心境を入れることが多いから、心の声は後からつけるわけでしょ? ってことは演技をしてるときはセリフなしってことだよね。なんかもう、すごいよね……。

そして周りが騒々しいなか、ひとり整然としている清居もすごいの一言。神々しい……後光がさしすぎてもはや見えない。この凛とした佇まい、生まれ持ってのものだとしたら神様は良い仕事しすぎ。

でもそんな清居だって、さすがにトマトジュースをぶっかけられたら胸ぐらも掴みますわ。バケツだって落とされてるんですから。ていうかこれさ、わざわざ上からトマトジュースかけるために、「大パックのトマトジュースを買ってくる→バケツを用意する→入れる→清居が階段を上がるタイミングまで待機する→タイミングよく落とす」って工程をたどったってことだよね? たかが嫌がらせのためにかける労力ではない。

(2/13 21:46 追記:すみません! ご指摘いただいたところによると、ここで落としてるのは紙パックでした!)

ここでキレた平良が暴れに暴れまくるわけですが、3話の時点では叫び声だけで、実際の様子は描かれない。このあと5話の「清居回想回」(いま付けた)でその様が詳しく描かれるわけで、こういう伏線回収的な演出も大好物です。

右手にチュー事件

さあさあ忙しいよ! 3話は(も)触れたいシーンがいっぱいあるよ! トマトジュース事件のあと、あの思い出の教室(キングがお眠りになっていた教室)でふたりっきりになる「右手にチュー事件」ですよ!

トマトジュースを洗い流すために石鹸で髪を洗ったから「ゴワゴワする」「触ればわかるよ」と言う清居。はい。誘導していますね。自分の髪に触るよう平良を誘導していますね? ここテストに出ます。石鹸で髪を洗うワイルドなところも好き(それしかなかったんだろうけど)。

ことあるごとに「ごめん」と反射的に謝る平良に対し、いちいち「謝るな」と注意するのは、清居自身「平良と対等に接したい」気持ちがちょっぴりあるからなのかな〜〜〜とか考え出すと白米3杯は余裕だね。自分が上に立ててるって快感も少しはあるんだろうけど、でも平良が必要以上に自分で自分を貶めるのは許さない! お前が本来いる場所はもっと違うところだぞ、元いた場所に戻れ! って気持ちもあるのかもしれないよな。

平良に「男が好きなの?」「なあ答えろよ」って顔を近づけるシーンも無視できませんね。無闇に顔を近づけるのをやめなさいって何度言ったらわかるのこの子は。っは〜〜〜〜〜美し…………。こんなに美しい人見たことない。「黄金比」のウィキに今すぐ載せたほうがいい。

ここでやたらと平良に「男が好きなのか」確認したがったのは、自分もそういう自覚があるからだったんですね。「清居だけが特別」って言われてわかりやすく目を泳がせるところも良いな〜〜〜。

ねえよくよく考えたんだけど、手にチューするのって、これ「チューされる側=姫」「チューする側=騎士」だよね。平良、ひざまづいてるし、この構図はもうそういうことなんだよね……? 手を差し出した清居はちゃんとそこまで考えて手を出していたんですか!?!? あまりにも軽率すぎやしない!?!?! なんかときめきが暴発しすぎて怒りになってきた。

この教室もめちゃくちゃ良い感じじゃないですか、陽の光が入ってきて空気全体が柔らかくて、清居の髪や目の色が余計に映えて美しいよ……上野動物園で長時間並んでパンダを見たときよりも感動がデカい。あとこのシーンの効果音? BGM? が好きです。時計の秒針の音みたい。ふたりの間に流れるゆっくりした時間を表してるみたいで良い。

あと音で言ったらさ! 清居が平良に「ん」って右手を差し出して、1回目はフェイントだったけど2回目はさせてくれたでしょ、このとき平良が清居の手をとるときに、ちゃんと皮膚と皮膚が触れる音がするんだよ……しかも2回も……。これ自然に出た音じゃないよね? だとしたら後から効果音として入れてるってことじゃない? 芸が細かすぎて脱げる帽子がもうない(脱帽ってことです)。

平良が「……清居」っていうのも好きだよ〜〜〜萩原くんって良い声してるよね〜〜〜毎朝この声をアラームにして起きたいよ〜〜〜〜!

スピンオフドラマにしてくれませんか?

さて、右手にチューが終わったあとのふたりには、彼らだけの特別な時間が待っている。放課後に待ち合わせして帰ったり、ブランコに乗ったり、一緒に課題をやったり(やってるのは平良だけだけど)、ひたすら平良が清居の写真を撮ったり。ダイジェスト的に流れていくこのシーン、1話10分でいいのでスピンオフドラマにしてくれませんか……? 有料コンテンツでいいんで……。

ちょっと可愛さが限界突破してきたので、「かわいい清居」を箇条書きにしてお送りしてもいいでしょうか。

・帰るとき、ちゃんと平良を待ってる清居かわいい
・自転車の後ろに乗って平良をトントン→「いけ」っていうのかわいい
・平良「尼になりたい」清居「きも」の笑顔かわいい

平良が尼になりたいと言うのなら、私は仏か仙人になりたい。

問題のシーン

問題のシーンがやってくるぞ……問題のシーンが……!!!! なんかもうこのシーンについて書くことを考えただけで手が震えてくる。これ書くためにザッと30回は見直しました。何回見てもビタミンが体内に注入されていく感じがする。そこらのサプリよりも断然に効くぜ。

あっけなく卒業式を迎えた平良と清居。校舎裏でふたりっきりになるんですが、ちょっと言わせて。これはきっと、清居はわざと、平良がついてくることを見越して、校舎裏でふたりっきりになれるように、仕組んでいますよ、ね……?? 私の見立ては間違ってないですよ、ね!!??? だとしたらもう、いろいろ無理。

この後半のシーン、ほんと何度見直したことか。注目すべきは、まず清居が右手で持っていたカバンを落とします。そのあと、左手をアップで撮っているのです。ここは普通に考えたら、物理的な距離が近づきつつあるふたりの横顔をカメラにおさめたくなるところでしょうが、あえての左手です。

その左手が動き、カメラがその後を追う。私たちは本能的に「清居の左手が向かう先」を想像します。何する? 清居、何するの? と期待とボルテージがうなぎのぼりです。そして…………

両手で

顔を

挟んでの

チュー………………。


…………………………。

「ネクタイを掴んで」でも「手を引っ張って」でもないんですよ。両手で! 顔を! 挟んで! ねえ! 「絶対に逃さない」みたいな強い独占欲が見えるよねえ! 口と口が重なったところも上手いこと左手の影になってて見えそうで見えない! この演出がこれまたニクい! つらい!!!!!!!

ふたりの揺れる心を表すかのようにカメラも揺れていますよ。つらい……。

そして清居は平良を突き飛ばし、「じゃあ、またな」と言って去っていく。のちのち5話で描かれることですが、清居にとっての「じゃあ、またな」は決別の意味なんかじゃなく、卒業後も会おうという意思表示であり、ふたりの関係を将来につなげるための言葉だったわけですよね。それを平良は見事に真逆の意味でとってしまうという……。

っは〜〜つら〜〜〜つらい〜〜〜〜誰か酸素〜〜〜〜〜!

なんていうか当たり前ですけど、1〜2話と比べるとふたりの心境も変化しつつあるというか、ともに過ごす思い出が増えたぶん、思うことも増えたというか……。こっち側はふたりの心境がわかるからこそ、つらいし切ないんですよね……。はあ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ーー

ついに6000文字近くになってしまいました。すみません。最終回レビューはどうなってしまうのでしょうか。先が思いやられます。

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・原作「美しい彼」読み終わりました。良いですね……ため息が出る……ドラマと合わせて読むと、いかに作り込まれた脚本かがわかって、より味わい深いですね!
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