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「美しい彼」について語らせてくれ6

いきなり沼にハマり込んだドラマ「美しい彼」の全話レビューを自主的に書いています。

つ、ついに……シーズン1-6話のレビューです!! 最終回!!! なんとか5000文字には収めたい。過去のレビューはこちらです。

例によってネタバレ配慮はありませんので、よろしくどうぞ!!!

グレーの帽子になりたい

そろそろ私の思考回路については筒抜けだと思いますので最初に言っちゃいます。清居(八木勇征)が被ってるグレーの帽子になりたい……あれすごくかわいくないですか? 清居にめちゃくちゃ似合ってる……あの帽子をチョイスした衣装さんと朝まで語りたい……。

明らかに稽古に集中できていない清居の元へ、なんと小山くん(高野洸)が襲来!!! 「待って、行かないで!」「さよなら、平良」と乙女全開だった小山くん、思い余って清居に復讐しに来たのかしら……嫌味のひとつでもぶつけに来たのかしら……と勘繰ってしまいましたが、小山くんはそんな子じゃなかった。

なんと小山くん、平良(萩原利久)には好きな人がいて、その人は平良が唯一ポートレートを撮ったことがある人で、ものすごく綺麗な人だって言ってた、とつらつら語り出す。

そんなの聞かされたら、清居からしたら「俺のことじゃん」ってすぐわかっちゃうようなことを教えてあげる小山くん。ハ? いくらなんでも優しすぎない? いい子検定何級持ってんの? 山でいったら富士山超えて余裕でエベレストじゃない?

「理由なんてないけど、好きなんだって」と告げる小山くんにとって、これは清居への優しさというよりは、平良への優しさの表れなんだろうなあ。「好きな人には幸せになってほしい。ただ、それだけ」って言ってたもんね。もうすでに泣いてるけど泣けてくる。清居と平良には幸せになってほしいけど、小山くんにだって幸せになってほしいよ。小山くんにも「理由はないけど、いちばん好き」な人がこれから現れるのかな!? 願いが叶うようにお百度参りしてこようかな。

さらにさらにびっくりなのはさ〜〜〜小山くん、兄の手伝いを辞退して平良にその役目をあげてるのよね……。これって絶対に清居と会わせるためだし、なんなら「ちゃんと話をしろよ」って背中を押してあげてる行為でもあるわけじゃん。むり。もうむり。1シーンでもいいから幸せな小山くんを映してほしい。

私だってライトになりたい

多分これも絶対に多くの人が同意してくれると思うけど、私だって清居を照らすライトになりたいよ……そんなのなりたいに決まってんじゃん!!!!! いつでもどこでも彼を照らしていたいよ。「どうしようもないくらい、お前が好きだ」とか言われちゃうんでしょ。そんなの来世はライト一択でしょ。そのために徳積むわ。

そしてあの、問題の、倉庫裏のシーンに繋がっていくわけですけど……はあ……この先を書くのがこわい……

これまでいろんなシーンがありましたね。神社とかさ。自転車二人乗りとかさ。水掛け合いとかさ。右手にチューとかさ。平良を撮る清居とかさ。ブランコとかさ。「……清居」「呼べたじゃん」とかさ。そのたびに私は脳髄を暴発させてきたよ。それを抑えるのに苦労してきましたよ。

これでも私30年以上生きてきてるので、大学生の頃からボーイズラブのコンテンツには触れてきましたので、ある程度の耐性というか心の準備はね、できる素質はあると思うんですよ。人並みくらいにはね。

でもこんなに急速にハマって深みから抜け出せそうにないの、ほんと初めてに近いんだよね……だから怖いのよ! 何が言いたいかって怖いの! この先のシーンについて書くのが怖いから、わざと過去を振り返ってんの!!! でももう後には退けないね!? ここまで来たんだしね!?!?! よし、行くぞ、行くぞ、行くぞ…………。

「中指」のチョイスに拍手

 拍手の準備はできていますか? 場所は倉庫裏です。片付けに駆り出され、倉庫裏でふたりっきりになる平良と清居。私は例のごとくダンボールになって清居に運ばれたいと反射的に思いましたが、ここでは雑念は置いておきます。

なぜまた自分の前に現れるのか(必死で忘れようとしているのに!!)と訴える清居、平良の態度にイライラして机を蹴った拍子に、積まれていたものがドカドカドカドカ落ちてくるハプニング。ここまでは大丈夫。いままでも似たようなの見たことあるから。うん大丈夫。ぜんぜん平気。

清居のうえに倒れ込む平良。衝撃で清居は「中指」に怪我をしてしまいます。ハイ!!!!! ちょっと手止めて!!!!!! 教科書だったらこの「中指」に赤のアンダーライン引くところです。めちゃくちゃ重要ですこの「中指」というチョイス。

なぜ中指なのか? 怪我をするだけなら他の指でもいいわけです。親指でも人差し指でも薬指でも小指でもいい。そこであえての中指!!!!!! このチョイスに拍手したい!! 拍手!!! 鳴り止まない拍手をどうか!!!! この中指に!!!!!!

怪我した清居の中指をさあ、平良がさあ、ケアしてあげるじゃん(わざとオブラートに包んだ言い方をしています)。こんなもん私はどうすればいいの? どこに持っていけばいいのさこの気持ち? 放置? 宙ぶらりん? 清居がちょっと「お前……」って声を漏らすしもうむり、とっくにこっちの理性だって吹っ飛んでます!!!!!!

このシーン清居の中指ばっかり見てたけど、平良の指も長くて綺麗ですよね〜〜〜〜美しい〜〜〜〜美しさ夢の共演〜〜〜〜〜〜!!

そしてそのまま覆い被さってチューしそうになるけども、途中で我にかえる平良。ねえ、すごいよ。このタイミングで理性の糸を繋ぎ止めるなんて、どんな訓練積んできたの? 精神と時の部屋は実在したの? どんな精神力だよどんなヴィランにも勝てるよ。

そのあと、「俺はお前のなんなの?」「恋人でもないやつにこんなことすんのかよ?」「お前が理想の俺を追いかけるのは構わないけど、現実の俺のことは放っといてくれ」の三段攻撃が決まる。そりゃそーだ。清居からしたら何度も焦らされてるようなもんだし、言ってほしいことも言ってくれない平良に対してイライラが爆発してもおかしくないよね……。

どうやって夜の学校に入れたんだろう

「お前は! 俺がお前のこと好きだって、一回でも考えたことあんのかよ!?」→「ありえない……」を皆さんは何回ループしましたか? 切なさとトキメキがぎゅうぎゅうに詰まってるシーンですよね……食材詰め放題のプロもびっくりだと思う……。

そのあとまたもや距離が開きそうになる二人ですが、平良から清居へとんでもない留守電が入ります。

「今晩は、清居が助けてくれた場所で、朝まで清居への想いを捧げようと思います」

皆さんはこれ最初に聞いたとき、どう思いましたか? 私は深夜にひとり部屋で見てたんですけど、自分の耳がキャッチアップした言葉が信じられなくて、思わず巻き戻してもう一回聞き直しました。「朝まで?」「え、朝まで?」って何回も独り言を繰り返しました。

朝までってすごいじゃん……助けてくれた場所ってことは、学校ってことでしょ? 学校で一晩過ごすってこと? すごすぎ……。平良の清居に対する気持ちはまさに宗教の信仰に似たところがあり、そのクレイジーさも合わせて魅力だよね〜! と思ってはきたけど、一人のことを思いながら学校で夜を明かすってだいぶ極まってるって……。ご一緒していいですか?

どうやって夜の学校に入れたのかな〜って気になるところはありつつも、そこはご愛嬌でしょうか。日付が変わっても清居が教室に現れないのを悟り、そっと音楽室へ場所を変える平良。

そうだよね、ここも思い出の場所だわ……眠り姫がいらっしゃった場所だもの、思い出すなあ……。マフラーを枕に、一番愛した人のことを思いながら眠ろうとする平良。「清居の目からは、どんな世界が見えるんだろう?」とモノローグが入ります。おそらく平良が初めて清居の目や耳になってみようとした(清居の立場になり、彼が考えていることを想像しようとした)シーンでは? と思うと、もう私にはアーメンとしか言えない。神に祈りを捧げ続けることしかできない。

それにしても平良、そのまま寝たら身体バッキバキになっちゃうよ……? と思った矢先、登場する清居!

稽古を終えて急いで来たのかなあ、最初は教室に行ってみたけどいなかったから、音楽室に探しに来たのかなあ、とか考えてるだけで朝から夜になるよ……。

深夜の学校で追いかけっこ

このあと平良と清居が追いかけっこするじゃないですか、ここもめちゃくちゃ良いよね……何回も見ちゃう……お互いに必死なのは伝わるんだけど可愛さ余っちゃう……。

そして平良が清居に追いつき、渾身のバックハグ、そして…………「好きだ、清居!!!」と叫ぶ。ハア…………………………………………。

「好きだ、清居!!!」

「好きだ、清居!!!」

「好きだ、清居!!!」

何度だって聞きたい。繰り返しリピートしたい。こんな思いが込められた叫びさあ、泣きたくなるほんと。萩原くんはすごい、ほんとすごいよ。

そして八木くんもすごいですねえ。「何がキングだ、ふざけんなよ!」の叫びとか、平良の「清居は、好きな人がいるの?」の問いかけに対し「お前だよ! 何回も言わせんな、バーカ!!」とか、熱量が充満してる。

ずっとずっと言いたくて、でも言えなかったことを一気に放出してて、たぶん心のどっかでこんなこと言いたくない恥ずかしいって気持ちもあるんだろうけど、そんなことを自覚する余裕もないくらい止めどなく思いが溢れて、もうコントロールが利かなくなってる感じよね……。

あとここのシーンでね、八木くんってほんとにすごいなと思ったのはさ、「卒業式の日、俺からキスしただろうが」「なのにお前は追いかけても来ねえし」「電話番号変えられたときの俺の気持ち、お前にわかんのかよ!?」のところさ、ほんとに涙ぐんでるんだよね……。

曲がりなりにも私、これまで映画やドラマのレビューを書くお仕事をさせてもらっている関係で、おそらく人並み以上に映画やドラマを見てきてるんです。とくに日本のドラマは小さい頃から好きで、それなりに「お芝居の上手・下手」を察知するのは得意なほうだと自負してまして。

そのなかでね、「泣く演技」って相当難しいんだろうな〜って思うことが多いんです。よく映画やドラマに出ている有名な役者さんでも、泣くシーンであまり泣けてなかったりとか、声を張り上げたり顔を伏せたりして、あくまで泣いているように表現する手法をとってたりとか、そういうのが感じられることもよくあって。

そりゃ私は演技未経験者だし、素人がわかったふうな口を聞くな! ってのが大前提なんですけど、そういう背景を踏まえたうえで、八木くんの演技は贔屓目なしにすごいと思いました。私が清居を飛び越えて八木くんの演技を好きになったのも、このシーンがきっかけです。

本当に感情がのってるというか、泣きそうになるのを堪えながら喋るときってこういう感じになっちゃうよね、わかる、ってのが表現できてるんです。末恐ろしいってこういうことを言うんだなと……。

「やだ」

さて……珍しく真面目に語ったところで…………私はラスボスのいるダンジョンに挑まなければならないな………………!!!!!! とは言いつつ、ここは深くは語りませんよ。言葉を尽くしたら野暮ってもんです。

俺は普通の男だ、好きな人とは付き合いたいし触れ合いたい、神様でもなんでもないと言った清居に対し、平良は「清居、俺、清居に触ってもいいかな……?」と言います。

八木くんの演技もすごいけど、さすが萩原くんの演技も圧巻、もはや声をなくすレベルですね。いまにも泣き出しそうな目と声。画面越しでもこれだけ伝わってくるくらいなんだから、肉眼で見たら相当なパワーなんだろうな。

平良がようやく俺様ネガティブから片足を出し、本当の意味で清居に向き合った瞬間かもしれない。

「清居、俺、清居に触ってもいいかな……?」

この問いかけに対し、清居はこう返します。

「いままでと同じなら、やだ」

「いままでと同じなら、やだ」

「いままでと同じなら、やだ」

……………………………………

………………………………

…………………………

……………………

………………

…………


そして灰になった

ほんとはこんな程度の爆発じゃ済まないんだけどさ、このセリフの破壊力を表せるフリー素材がなかったもんですから……すみません……。いやでもほんとこのセリフは全方位どの角度から見てもすごすぎる。

だって……「いままでと同じなら、やだ」ってことはさ……当たり前だけど清居は平良との「いままでとは違う関係」を望んでるってことなんでしょ……要は付き合ってくれるなら触ってもいいよってことを暗に示してるわけで、そんなのもうむり……。記憶喪失になってもっかい見たい……。

そのあとのシーンについては本当にもう詳しくは言葉を尽くしません。めちゃくちゃ良いよね、すごい神々しいシーンだよね……。このシーンを作り出すのに時間と労力をかけられた制作陣の皆さまにはもちろん足を向けてなんて寝られませんよ……本当にありがとうございます……。

ごめん一言だけいい? 急いで上の服を脱ぐ平良がめちゃくちゃツボです。

ときめきと感動をありがとう

学校でのシーンもすこぶる良かったんだけどさ、やっぱり最後の自転車二人乗りのシーンが好きだな〜〜〜! 誕生日ケーキ食べ終わったらお口直しのゼリーまで用意されてたみたいな喜び……。ここの平良と清居のやりとり何度だって見られる……ビデオテープだったらとっくに擦り切れてる……。

「お前さ、写真以外に何か大切なものとかないの?」と訊く清居に対し、「どうして?」と返す平良。この「どうして?」の言い方とっても好きだわ〜〜〜! 突然ですけどここのシーンでのツボポイントを箇条書きにしてお送りしてもいいでしょうか。

・「知りたいと思って」と言う清居、それに「かわいい」と言う平良
・「なんでお前みたいなキモいやつ好きになったんだろ」と言う清居
・「もっかい言って」と何度もせがむ平良
・微笑みながら「ほんと、きも」と言う清居
・平良の背中に頬をつける清居
・後ろに乗ってる清居が、前に乗って漕いでいる平良の首元に手を当てるとこ

そして芸術的でアーティスティックなラストショットで大団円です。最後の最後まで美しいよ……もはやスタンディングオベーションくらいじゃこの感動を伝えきれない……これはもう彫刻以外の何物でもないじゃん……お願いだから近代美術館に寄贈させて……。

ーー

「美しい彼」にハマってから約1週間、衝動と思いつきで書き始めた全話レビューでした。読んでいただきありがとうございました!

ファンの方から「読みました!」「面白い!」と言ってもらえて、なんとサポートまでしてくださる方もおり、心の底から嬉しさに打ち震えております。それを受け、私もあらためて「美しい彼」は多くの人に愛されてる作品なんだな〜と実感した次第です。

シーズン2放送中ですし、これから劇場版もありますね! まだこの作品に出会えていない方にも届くよう、微力ながらせっせと布教活動に努めて参る所存です。

過去回のレビューはこちらから〜!

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・シーズン2、好きな役者さんばっかり出ててほんと嬉しい
・ついに私のiPhoneに「八木勇征」フォルダができてしまった
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