母の祈り

うちの母は信仰心が強いほうだと思う。
かといって、決まった宗教に入っているわけではないのだか、毎日のお祈りは欠かさない。

母の家には、神棚のほかにもう1箇所お祈りスペースがあって、毎日その2箇所に向かって
ぶつぶつ唱える。
居間の横の部屋にある神棚の隣には祖父母の写真が飾ってあり、そこにお供物をする。

もう一つのお祈りスペースは居間にあり、お姑さんの写真が飾ってある。
私が見る限りでは、自分の実の親よりもお姑さんの方を大事にしている気がする。

母は、お姑さんのことを「かあさん」と呼び、
実の母のことを「ばあさん」と呼ぶ。

私がお菓子を買っていくと、
「これ、かあさん好きだったから上げてあげて」
大体は、最初にお姑さんにお供物したがる。

母の元夫…つまり私の父はろくでなしだが、
お姑さんはとても良い人だったんだそう。
私が生まれる数年前に亡くなったので、私は会ったことがないのだが、「あんたはかあさんそっくりだよ」とよく言われて育った。
顔立ちが似ているらしい。
写真の「かあさん」を見ても、似てるようには見えないが…

私はと言うと、信仰心のかけらもない人間だと思う。
「幽霊」とか「生き霊」「念」などの存在は信じるほうである。
この目で見たことはないけど…
でも、神さまの類はあんまり信じていない。
仮に神様が本当にいるのなら、ずいぶんと意地悪な存在だと思う。

意地悪な神様に向かって、
母は毎日どんなお祈りをしていたのかな。

最近では、トイレに入って何か悪態をついていたかと思えば、「トイレさんは悪くないね、ごめんね、トイレさんいつもありがとうね、今日もよろしくお願いします、お願いします…」

トイレにまで祈りだしたよw
と吹き出してしまった。

窓に向かって祈っているのも見かけたことがある。というか、話しかけてる?
面白いなぁと思いながら眺めていた。

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