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ありがとう が降りそそぐとき

その日乗ったバスは心地よさであふれていて

松葉杖をついた若い女の子が乗って来て
両手ふさがっているので料金タッチするのも
一回立ち止まってとかなのだけど
運転手さんも乗客の人たちもゆっくり待っていて
その子がちゃんと席に座れてから
扉が閉まってバスが走り出す

別のバス停で補助具を頼りに歩けるくらいの
老年男性がお一人で乗って来たけれど
とーってもゆっくりな歩みなのだけど
やっぱり席に座ったのを確認してから
扉が閉まり発車する

時折耳にする
「危ないからつかまってください」という
アナウンスもなく
そうならないような流れになっていて
バスの中に苛立ちとかモヤったものは
感じられない空間になっている

その方たちが降りるときも
やはりゆーっくり安全が確認されてから
バスは動き出した


別の日には
何かの日だったのか分からないけれど
私立らしき制服を着た沢山のちびっ子達が
どどーっと乗り込んできて
バスの中は一気に賑やかさん

後部に乗ったお子達は思いつくまま話していて
女の子の声で
「はんたいがわだから うんてんしゅさん きぢゅかなかったのね」
という言葉が聞こえてくるけど
それに対しての反応の言葉は聞こえてこなくて
けれども ゆっくりとまた
「はんたいがわだから うんてんしゅさん きぢゅかなかったのね」
と聞こえ 3回目に聞こえて来た時には笑ってしまった

そのお子らが 皆
「ありがとうございました!」と言って
帰る停留所に着くと
パラパラ降りて行くのだけれど

どこぞやのバス停で残りの子殆どが降りた時
「ありがとうございました!」が次から次へと
輪唱のように車内にコダマして響いて
何だかあったかい気持ちになって嬉しくて



その後乗り換えたバスでは
初老間近くらいのご婦人が
自分が座るまで発車しないでいてくれた事に
運転手さんに向かって
「ありがとねー」と大きな声で言って
降りた時も(降車は後ろ扉からなのだけど)
まだ開いていた乗車用の前扉から運転手さんへ
「ありがとうー!」と投げ掛けて
それに対して運転手さんが車外向けマイクで
「お気をつけてお出かけください」と
軽やかな優しい声で返して発車した

そのやりとりの場に居て
ああ なんて優しさが溢れてるんだろう と
じんわりハートがあったかくて
素敵な国に住んでるなぁーとありがたくて

この日私は
どれだけの「ありがとう」という言葉を
聴いて浴びたんだろう


自分に対してではないし
その場に居合わせただけだけど

作為を含まない真っ直ぐな
「ありがとう」という言葉は

もしエネルギーというものが見えるならば
きっとピカピカに
光り輝いているんじゃないかしらと思うくらい
とっても軽やかで優しくて和やかで

その場そのものをゆるめて綺麗にする
そんなパワーがある言霊ことだまだと感じていて

だから
そんな言霊がキラキラしながら
意せずして降り注いでくることが
本当にありがたいなーと

それだけの事だけど

あーなんていい日なんだと
何に対してだか分からないけれど
感謝がいっぱいあふれてきます



少なくともその時のバスの中に
ヤな空気は感じなかったので
たまたま乗り合わせた「ありがとう」で
その場にいた人たちの心が
少し軽やかになってそれぞれ降りたとして

降りた先での各々の日常の場所で
その軽やかさがまた伝わって
誰知らずの「ありがとう」パワーが
あちらこちらに散らばって
ちょっとした心地よさがいつの間にか
拡がっているのでしょう

自分が心地よく居る
自分が心地よく在る
ということは
そういう事なんだろうなーと



だからといって
それが「やらねば」になると
また違うのだけれど

自分がご機嫌さんでいることが
知らずとも いつの間にかそうならば

なんだか嬉しいなあ~で
気軽にご機嫌さんでいられそうで



ふふふ と
こころが 笑っています

ありがとうございます。 お受けしたサポートのお気持ちは、この巡りのなかで循環させられるよう、ありがたく使わせて頂きます。感謝致します。