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2024/2 バンコク旅行記 ep5:ほくそ笑みの国・タイ

前回までのあらすじ

まだバンコクに着いていませんでした。

バックナンバー(直近3回)

本編

“微笑みの国”の洗礼

タイは“微笑みの国”とも呼ばれ、親日国とされる。そんなことを言われると、優しい人ばかりに感じる。しかしタクシーだけは違う。

朝飯を食った我々は、バンコクに向けて空港のタクシー乗り場に向かった。空港からタクシーに乗るにはいくつかの方法がある。例えば、配車アプリの「Grab」や「Bolt」を使う。あるいは、空港にたむろしているタクシーに乗るなど。

アプリの場合は手数料が乗っかっているので、後者よりは基礎料金が高い。可能なら早めにホテルへ行きたかったし、車が捕まらないと困るので、我々は空港にたむろしているタクシーに乗ることにした。これがいけなかった。

前情報として、タイのタクシーはメーターを使わないナメたドライバーが多く、その場合は言い値に従わないといけない。それを防ぐには、乗り込む際に「メーターを使ってくれ」と伝え、使わない場合には鋼の意思で車から降りる。こうした防衛策を仕入れていた。とはいえ微笑みの国である。親日国である。そして発展著しく、ぼったくるような輩も浄化されているだろう。そう思っていた。

果たしてそんなことはなかった。空港からタクシーに乗る場合は、発券機を使って乗り込むタクシーの指定を受ける。「空港側が認可しているのだし、レシートには車番も控えられている。まさかぼったくらないだろう」と筆者は思った。果たしてそんなことはなかったのである。

マシンガントークに気圧される

指定された乗り場へ向かい、タクシー運転手と目が合う。陽気な感じで声をかけてくる。やや訛った英語で「Welcome to Thailand!」とかいっていた。なんだ、やっぱりいい感じじゃん。安心してトランクに荷物を入れて、後部座席に乗り込む。

運転手はまたもや「Welcome to Thailand!」とか抜かしてベラベラまくしたててくる。まあいいや。とりあえず目的地を示して車は動き出した。はてさて、メーターはどこじゃろな。車内を見るが、特に見当たらない。まさか?

言い出すか言い出すまいか迷っていると、「どこから来た?」「春節で中国人がかなり多い」とかなんとかマシンガントークを仕掛けてくる。タイタクシー界の明石家さんまとは彼のことだろう。ここで筆者は感づいた。「こいつ、こちらに反撃のスキを与えないつもりだな」と。そしてあまりのトークの圧に押し込められてもう反撃の意思はなくなっていた。

こちらが黙っているところから察したのか、絶妙なタイミングで料金表を渡してきやがった。見ると、空港からバンコク中心地までは「700-800バーツ」とのこと。前情報によると、空港からの発車手数料が50バーツ、あとは通常のタクシーメーターで300バーツくらい、さらに高速に乗ったらもう少し加算されるとかで都合400バーツ強。「差額300バーツなら、まあいいか」と筆者は耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍ぶことにした。

華麗な中抜き、貪欲なダメ押し

しかし微笑みの国の洗礼はまだ終わらない。せんだって提示してきた料金に加え、高速料金も要求してきた。まあいいか。そういって言い値の75バーツを渡したところ、料金所で払った後でデカデカと「25」と印字された領収書をノールックで渡してきた。タイ・タクシー界のロナウジーニョとは彼のことだろう。ってか、え、何? 確信犯で50バーツ中抜きしたってこと?

無の境地に達した筆者は、横にいる妻と会話もせずに道路をかっ飛ばしていく車を眺めることにした。トヨタにマツダ、日産と日本車が多い。そしてバンコクが近付くにつれて高層ビルが増えていく。もしかしたら日本よりも全然都会かもしれない。タイ・タクシー界の明石家ロナウジーニョが「この時間はラッシュで道路の渋滞がすごいんだ」みたいなことを言ってくる。こういうちょっとしたコメントが気に入ったので、もうぼったくられたことは不問にしてやる。

高速を降りて街中へ入ると、道路の脇には露店がちらほら。高層ビルと正反対の営みが混在している。目的地直前でタイ・タクシー界の明石家ロナウジーニョが「このホテルはチープじゃないしめちゃくちゃおすすめ」的なことを3回くらい言ってきた。どうせホテルと手を組んでいて送客するとマージンをもらえるのだろう。先ほど不問にしたのは撤回せざるを得ない。

目的地に着いて支払い。今度こそ本当にバンコクに到着。700-800バーツの提示だったところ、下限の700バーツを払う。何も文句は言われなかった。まあ相場の倍以上もむしれて、微笑みどころかほくそ笑んでいるだろう。足早にホテルへ向かう。道路の舗装は日本ほどではない。スーツケースがガタガタとなり、引きにくい。何より暑い。まだ日が昇り切っていないが、2月なのに日本の夏レベルだ。

数分歩いて、1日目の宿であるJWマリオットホテルバンコクに到着。今回はここまで。

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